ファイント
どうも、どこぞの委員長です。
前回は、悠樹が少女と約束して、パフェおごりに行くところで終わったので、今回はその続きからです。
では、どうぞ!
朝のHRが始まる前に、散々少女とのことを聞かれた俺は、正直疲れていた。
時間は4時限目、これが終わると昼休みだ。
(あぁ、またあの二人にいろいろ聞かれるんだろうな・・・)
俺はそう考えながら、ぼんやりと授業を受けていた。
もう授業終了までは、あと五分ほどだった。
俺は早く終わらないかなと思って、なかなか針の進まない時計を見た、するとまたやつが出現していたのだ。
「っ!!」
俺は危うく声をあげてしまうところだった。
だが、何とか耐えて授業終了を今か今かと待っていた。
やはりというか何というか、やはり俺以外には見えていないらしかった。
そして俺は、授業が終わると同時に全力疾走でそいつのもとへと行くため、中庭へと向かった。
するとそこには、ありえない先客がいた。
「おい、お前どうしてここにいるんだ。」
「別に、ただ中庭に得体のしれない化物がいたから、見に来ただけよ。あなたこそなんでいるのよ、悠樹先輩。」
そう、先客は今朝の少女だった。
「俺も化物がいたから見に来たんだが、まさかお前あれが見えてるのか?あと、先輩ってどういうことだ?」
「ええ、見えてるわ。あたししか見えてないと思ってたんだけど、まさか悠樹先輩も見えていたなんてね。えっと、先輩って呼んでるのは私が1年だからだけど、ダメだったかしら?」
「いや別にいいけど、お前後輩だったんだな。」
「お前お前ってなんかいやね。そう呼ばないでくれない。」
「いや、そう言われても俺、お前の名前知らないんだけど・・・」
「あら、言ってなかったかしら?私は1年3組の神薙 穂乃香よ。」
「じゃあ、神薙さんは、これからあいつをどうするつもりなんだ。」
「穂乃香でいいわ。あいつ、今は動いてないみたいだけどいつ動き出すかわからないから、とりあえず見張っとこうと思うんだけど。」
「俺も賛成だ。でも、メシ食わなきゃいけないよな。穂乃香は弁当か?」
「ええ。」
「じゃあ、交代で弁当を取りに行って、ここであいつを見張りながらメシ食おうか。」
「そうね、先輩から行って来て。」
「わかった。すぐに戻る!」
そう言って、俺は弁当を取りに教室へ走って戻った。
教室で弁当を出していると、孝輝たちが俺のところへ来た。
「なあユウキ、その弁当はどこで誰と食うのかな?」
「ユウ、まさかとは思うけど今朝のあの子とかじゃないよね・・・」
「いや、そのまさかだ。でも、ちょっといろいろ事情があって急いでるから、また後でな!」
何かとめんどくさそうだったし、何より穂乃香を一人で待たせるわけにはいかない。
そう思って、俺は二人の質問を半ば適当に返事し、急いで穂乃香のもとへと戻った。
「待たせたな。何か動きはなかったか?」
「なかったわ。じゃあ、お弁当取りに行かしてもらうわね。」
「ああ。」
穂乃香が弁当を取りに行っている間、何もないことを祈りながら、俺は化物を見張っていた。
「お前とあの少女、あいつが見えているのか?」
すると、不意に後ろから誰かの声が聞こえた。
「っ!!誰だ!」
俺は一瞬で後ろを振り返り、いつでも相手を攻撃できる態勢をとった。
「おっと、別に怪しいもんじゃないよ。私は、君たちがあの化物{ファイント}が見えているのか気になってね。でも、見た感じ見えているようだが・・・」
俺が返答していいものかと悩んでいると、弁当を持った穂乃香が帰ってきた。
「先輩、遅くなってごめん。ってこの人だれ?」
「どうやら、この化物が見えるらしい。だが信用はするなよ。」
「ええ、わかってるわ。いきなり出てきたやつを、信用しろっていうほうが無理よ。」
「ならよかった。で、お前はいったい何者なんだ。」
「私は、君たちがファイントを見ることができる、それが分かればそれでいいんだ。」
どうやら、俺の質問に答えるつもりはないようだった。
「見えるということが分かった以上、ここにいる必要はない。では、またいつか会えたら、その時はよろしく。」
そういって、そいつは俺たちの前から姿を消した。
「結局何だったんだあいつは・・・」
「何だったんでしょうね・・・そういえば先輩、あの人が言ってたファイントって何?」
「ああ、どうやら化物の名前らしい。まあ、あいつが勝手に決めた可能性はあるけどな。」
「そうだったのね。でも、いつまでも化物って呼ぶのもなんだし、私たちもファイントって呼びましょうか。」
「ああ、そうだな。でも、ファイントってどういう意味なんだ?」
「さあ、私にもわからないわ。」
そんなこんなで、俺は穂乃香と話しながらファイントを見張っていた。
あと十分くらいで昼休みも終わり、俺たちもそろそろ教室に戻らなければいけない時間だ。
「穂乃香、そろそろ時間もヤバくなってきたし、あいつは特に動かないし、教室に戻ろうぜ。」
「そうね。結局、あいつ動かなかったわね。」
「まあ、危害を加えるつもりじゃないのならそれで・・・」
俺は、その言葉を最後まで言い切ることができなかった。
なぜなら、ファイントの体が、いきなり光り始めたからだ。
「くそっ、なんで時間ぎりぎりで動き出すんだ!」
「ちょっと待って先輩、何か様子がおかしいわ。」
「そりゃあおかしいだろ、光ってんだから!」
「そうじゃないわ。よく見て、あいつ何かに引っ張られてるわ。」
「何!本当だ、だが何に?」
その時、ファイントが一層強く輝いた。
そして、その光が消えた時、そこにファイントの姿はなくなっていた。
「何だったんだ今のは。しかも、ファイントが消えた・・・」
「何だったのかしら。それにファイントはどこへ・・・」
そのとき、昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。
その音で、俺たちは我に返った。
「穂乃香、時間がヤバい!続きは放課後、パフェ食いながらでも話そう!」
「ええ、そうね。ひとまず教室に戻りましょうか。」
「じゃあ、また放課後に。」
「ええ、放課後に。楽しみにしてるわ。」
そう言って、俺たちは急いで自分たちの教室へと戻った。
そのとき俺は、自分のミスに気付いた。
「あ、集合場所決めるの忘れてた・・・このままだと、穂乃香が放課後教室に来ちまうな・・・」
俺は、そう呟き(でも、仕方ないか。昼休みはファイントのせいで、決めれなかったんだから。)と心の中で思っていた。
教室に戻ると、授業開始一分前だった。
そして、孝輝たちが(後で説明してもらうから、覚えとけよ)という顔をして俺を見てきた。
俺は(ああ、穂乃香が来る前に軽く拷問にあうかもしれない。)そう思いながら、自分の席へと戻った。
そうして、授業が始まった。
俺は、授業終わるなと願ってみたが、そんなことは起こるはずもなく、授業が終了した。
終了するとともに、孝輝たちが俺の席へとやって来た。
「なあ、ユウキ昼休み何をしていたか洗いざらい白状してもらおうか!」
「ユウ、あの子とはどういう関係なのかな?」
「お前ら、なんか怖いぞ。あと、穂乃香とは何の関係もないぞ。」
「穂乃香?ユウ、名前で呼んでるのかい?」
「ああ、あいつが名前でいいって言ったからな。」
「そうなのか、ユウキはずいぶん気に入られてるみたいだね。放課後もどこか行くみたいだし?」
「お前、なぜそれを知っている!」
「へぇ、ほんとに行くんだ。」
そこで俺は、自分の失言に気付いた。
「お前、はかったな!」
「いやいや、答えてくれてありがとう。で、どこに行くんだい?」
「それは、言ったら、絶対お前たちがついてくるから言えない。」
この後、休み時間中ずっとこの調子で質問攻めにあい続けた・・・
はい。
今回も読んでいただきありがとうございます。
パフェおごりに行く話を書こうと思ったら、なんかこうなってました。
しかも、この前の二倍以上あるという・・・
次回は、ちゃんとパフェおごりに行きます。たぶん・・・
次回も、よければよろしくお願いします!