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武器召喚士  作者: どこぞの委員長
第一章~ファイント~
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オブサーバー=リメイカー

どうも、どこぞの委員長です!


すごく長い期間この作品を放置してしまいすみませんでした。


また、ぼちぼち書いていこうと思っていますので、よろしくお願いします!


今回は、あの敵のお話になります!


どうぞ!

時は西暦2100年、その男は歓喜に震えていた。それもそのはず、男が行ってきた研究が最終段階までもう少しというところまで来た上、その研究は思ったよりも早く進んでいたのだ。


「あともう少し、あともう少しで私の悲願が叶うのだ!もう少しで、あの日死んでしまった私の妻を、家族を取り戻すことができるのだ!」


男の前には巨大な装置があり、その横に設置されたいくつもの水槽のような物の中には、何かが動いているのが見て取れる。人のような物や、獣のような物、なかには得体のしれない生物、いや生物なのかもわからないような物もあった。男は、その中の人のような物の一つに近づき話しかけ始めた。


「ああ、我が愛しの妻、幸奈(ゆきな)よ。お前はもうすぐ生き返ることができる。私もお前に触れられる。ああ、神は私に味方をしたのだ!」


そうして男はパソコンの前に戻り、何やらプログラムのようなものを入力し始めた。


何分そこに座って作業をしていただろうか、その男が時計を見ると作業を始めてから10時間ほど立っていた。あともう少し作業をしたら、研究室を出て遅い晩飯にでもしようと思いパソコンの画面に視線を戻した時だった。緊急のアラームが鳴りだしたのだ。そのアラームが鳴る条件、それは研究室に続く第一扉を突破されたときのものだった。この男の研究室は地下にあり、数枚の扉を抜けないと到達することはできない。その上、各扉は

地下に張り巡らされた迷宮の中にあり、ここに到着するのにはかなりの時間を有することになる。男もそう思い、監視カメラを起動させた。すると、その目に飛び込んできたのは恐ろしい光景だった。侵入者たちは複数で、迷路の答えを知っているかのように、こちらへ向かってきていたのだ。迷路を知っていれば、この場所につくのにさほど時間はいらない。男は少し考えた後、行動を始めた。まずは、研究室へ続く最後の扉を完全にロック、次に金庫並みの大扉を閉める。これで多少なりとも時間稼ぎはできるはずだ。その間に研究データの削除、及び研究結果の破棄をしなければならない。


「くそっ!あともう少しで、もう少しで完成したのにっ!」


男は悪態をつきながらパソコンの中のデータの完全削除を開始した。それと並行して、研究室に爆弾を設置していく。こういう事態に備えて準備しておいたおかげだろう、爆弾設置作業は物の数分で完了した。しかし、膨大な研究データの削除はそんな簡単にいくはずもない。早く消えろと辛抱強く待っていたが、それがすべて消える前に最終の警報が鳴り始めた。警報が鳴る条件は、侵入者がこの部屋へ続く扉の前に来たとき・・・。


「どうして、あいつら迷宮の答えを知ってやがるんだ!悔しいが、もう時間がないか・・・」


研究データが盗まれるとまずいが、あらかた消去は終わっている。それより、実験途中の個体が盗まれる方がまずい。最終的には爆発でパソコンごとデータも破壊できるはずだ。そう判断した男は、緊急避難用の通路へと歩いて行った。そして、そこに入ると入り口と同じように大きな扉を閉めてロックした後、駆け足でそこから離れながら爆破ボタンを押した。自分の後方でかなり大きな音がすると同時に地響きが起こった。


「爆破完了・・・。研究は振出しに戻ったが、私が生きている限り研究は完成させて見せるさ。私の家族のためにも・・・な」


男はそうつぶやき、その通路を抜け無事に外への脱出に成功した。男の名前は神永雄也かみながゆうや人類初の人造人間ホムンクルスを作ることになる男であり、神永悠樹、神永雪穂の父親にあたる男である・・・。



神永雄也が脱出に成功するのと同時刻、神永雄也博士の研究所に侵入していた男たちのリーダーである白露烈(しらつゆつよし)は、部屋の中から聞こえてきた爆音に驚いていた。


「烈、なかで爆発が起こったみたいだぜ!」


仲間の一人で、烈が最も信頼を置いている男、有塚峰章(ありつかみねあき)が話しかけてきた。峰章は烈がこのグループ「闇の黒猫達(シャドーキャッツ)」を結成したときからいる唯一のメンバーである。今回の作戦は、5人で来ているが峰章以外は全員、結成数年後に入った者たちばかりなのだ。


「ああ、どうやら俺たちに気付いて逃げたみたいだな。ご丁寧に研究室まで爆破してくれちゃって・・・。はぁ、めんどくさいね、あの男は・・・」

「まあ、奴は、自分さえ生きていれば研究は続けられると踏んだんだろう。一応、室内も見ておこうぜ。なにかのこってるかもしんねえからな。」

「ああ、そうだな・・・」

「おい、お前ら!この扉をぶっ壊せ!」


烈の声が響くとともに、烈を除く全メンバーが扉を壊しにかかった。そこから扉が壊れるまでにかかった時間はたったの数分だった。


「ボス、開きました!」


そういう仲間の声が聞こえ、その大扉が開いた。烈は仲間に下がるように命じ、自ら先にその部屋に乗り込んだ。部屋の中は無残なもので、家具はバラバラに壊れ、研究していたものなのであろう大型の機械は完全に壊れていた。


「ボス、大丈夫ですかい?」

「ああ、大丈夫そうだ、お前らも入って・・・・待てっ!入ってくるな!撤退だ、今すぐこの場を離れろ!」


烈は仲間に撤退を命じながら、入ってきた扉に走り始めた。烈がそうした理由、それは機械の陰から生物なのか生物でないのか分からない、何か得体のしれないドロドロした液状のものがこちらへ向かってきたからだった。烈は、扉の外に出ると仲間とともにさっき開けた大扉を閉めにかかった。なかなかに大きくて重いそれを何とか閉めると仲間の一人が声をかけてきた


「ボス、何があったんです!」

「得体のしれない何かが俺に向かってきていた、即刻ここから脱出するぞ!早く走れ!俺は、一番後ろからついていく!」

「了解!」


仲間全員の声が重なり、闇の黒猫達(シャドーキャッツ)のメンバーは急いで研究室を後にした。しかし、10mほど走ったところで後ろからグジュグジュと何か気持ち悪い音が聞こえてくる。何だろうと思って後ろを見た烈は転びそうになった。そこには、さっき襲ってきた得体のしれない生物がいたのだ。


「お前ら、急げ!奴が、奴が追って・・・うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ボス!どうし・・・・」


後ろを振り向いた闇の黒猫達(シャドーキャッツ)の構成員が見たものはおぞましいものだった。緑色の液状の何かがボスの体にまとわりつき、そして口にたどり着くとそこから中へと入っていったのだ。それを見た彼らは、皆が一目散にそこから逃げ出した、ただ一人有塚峰章をお除いて。峰章は、他の構成員とは逆向き、つまり今しがた謎の生物に襲われた烈のもとへと向かったのである。峰章は烈のそばへ行くと、倒れてしまった烈の顔の近くに座ると、応急手当を開始した。


「おい烈、返事をしろ!俺だ、峰章だ!おい、烈!」


峰章は応急手当をしながら、何度も何度も烈の名前を呼び続けた。そうして10分ほどたったころだろうか、いきなり烈が起き上がったのだ。


「つ、烈、大丈夫なのか。お前は烈なんだよな?」

「烈、誰のことだそれは?俺の名前はオブサーバー=リメイカー、神永雄也とかいうクズのせいで、あんな生物なのかもわからないものとしてこの世界に生まれ落ちてしまった者だよ。だが、今はこうして動くことのできる体を手に入れることができた。これであいつに復讐することができるのだ!そうだ、そこのお前、俺の復讐を手伝ってくれないか?一緒にあのクズやろうを殺してやろうぜ!ククク・・・・フフフフフ・・・」

「お、おい!烈、どうしちまったんだ、烈!」

「あ?烈じゃねえって言っただろうが。それで、お前は手伝ってくれるんだよな?」

「手伝うって、俺をどうするつもりなんだよ!」


峰章は目の前にいる、オブサーバー=リメイカーと名乗る、烈だったものへ、そう問いかけた。すると、それは満面の笑みを浮かべながらこういったのだ。


「そうか、手伝ってくれるか。じゃあ、そこにうつ伏せに寝てくれるか」


それを聞いた峰章は烈のいない世界なんてどうでもいいとその場にうつ伏せになった。するとその瞬間、何か機械的な音が聞こえ峰章の意識は消え去り、そこに立っていたのは峰章の体をバラバラに分解したオブサーバー=リメイカーだった。


「これで、あれを作る準備は完了した。あのクズも役に立つものを一つだけ作ってくれたからな。そう、人肉を媒介とした生物兵器{ファイント}というものを!クククク・・・・ハハハハハ!」


オブサーバー=リメイカーはひとしきり笑うと、どこからか持ってきた袋に肉塊を詰め研究室へと戻って行った。こいつこそが、あの時、神永悠樹とその仲間に襲い掛かってきたオブサーバー=リメイカーなのである。

読んでいただきありがとうございます。


なんか、実際書いてみるとすごい話になってしまいました・・・


今回はこんな話でしたが、次回は悠樹たちの話に戻る予定です!


次回もよければよろしくお願いします!


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