セカンド
どうも、どこぞの委員長です。
前回は、理事長が登場して終わりましたね。
では、その続きです。
どうぞ!
「理事長だと・・・」
俺は、学長であるマリアがこのセントラルバージスのトップだと思っていた。だから、それより上の理事長がいるなんて思ったこともなかったのだ。だが、今目の前にいるのはまぎれもなく理事長らしい。そして、見た感じこの二人はかなり仲が悪いみたいだ。
「フフフ、マリア君久しぶりだね。元気だったかい?」
「元気だったかですって?ええ、元気でしたとも、あなたがあんなことをしなかったら、私は学長なんてしなくてよかったんですよ。」
その言葉に、俺は一つの疑問を感じた。そう、「あんなこと」という言葉だ。マリアは、もともと学長ではなかった。だが、そのことをきっかけに学長となった、ということか・・・
「マリア、まさかそれは・・・」
俺は一つ思い当ることがあってマリアに問いかけた。
「そう、そのまさかですよ。こいつは前の学長を殺したんです。」
「っ!」
俺のカンは当たっていたようだ。だが、何のためにこいつは前の学長を殺したんだろうか?今度はそれがわからなかった。だが、その答えはその本人から知らされた。
「なぜ殺したか知りたいかい?」
「ああ、どうしてそんなことをしたのか聞かせてもらおうじゃないか!」
「フフフ、じゃあ聞かせてあげよう。」
「ダメです、悠樹さん!そいつの話を聞いてはいけません!そいつは悪魔のようなやつなんですから!」
マリアが俺が話を聞くのを止めてきた。だが、俺はもうこいつの話を聞くと決めていたのでその制止を聞かなかった。
「じゃあまずは君たち兄妹について、具体的に何をされたのか教えてあげよう。まず、君たちの今の状態についてだ。今、君たちは超越者と呼ばれる存在になっている。超越者というのは人間のヴンダー許容量を超越した者のことを言う。そしてその方法だが、実に簡単なのさ。ファイントを喰うこと、これをすれば超越者になることができるんだ。もちろん、適応者でなければならない、という規制はあるがね。君たち兄妹は適応者なのさ。だから、超越者になることができたんだよ。」
理事長の話は、俺にとって訳の分からない話だった。ファイントを喰うとか言っていた気がするが、俺たち兄妹はそんなものを食べたはずがないのだから。
「信じられないような顔をしているね。でも喰ったんだよ、あの晩あの研究所にいた私と私の助手の手によってね。」
「ふざけるな、証拠はあるのかよ!」
「本当だよ、証拠はあるの?」
俺たちは、証拠がないことを祈りながらそう理事長に問いかけた。だが、現実とは理不尽なものなのだ。
「証拠かい?それは君たちも知っているはずだよ。もう気が付いているんだろう、ここが君たちの住んでいた時代と違うことに・・・」
そう、俺たちはわかっていたんだ、ここが自分たちの住んでいた時代じゃないなんてことは・・・そして、それを知ってしまうと、今の自分が終わってしまうような気がしていたことも・・・ だが俺は、今を受け入れることを決心した。
「なあ、今は何年の何月何日だ?」
「限暦150年、6月6日だよ先輩。」
「そうか、ありがとう。」
やはり思った通りだった。俺たちが住んでいたのは西暦2000年代、それも初頭だったはずなのだ。それが西暦すらなくなって、限暦なんてものになっているうえ、それももう150年たっているのだ。
「フフフ、現実を受け入れたかい?君たちはもう300年以上生きていることになる。西暦は2200年代で終わってしまったからね。」
「じゃあ聞くが、貴様は何で生きてるんだ?俺たちの実験を行った張本人だろう。300年以上たってるって言ったよな。」
「確かにそうですわね。どういうことですの理事長さん?」
「そんなこと聞くまでもないだろう?私も超越者だからだよ。」
理事長の言葉は、簡単な一言だった。だが、それは理事長も300年以上生きていることを示す確実な一言でもあった。
「話を続けようか。私が前の学長を殺した理由だったかな。それは、私が超越者セカンドだということを知られたからさ。というわけで、ここにいるお前たちにも死んでもらおうか!」
いつの間に出したのか、理事長の手には一丁の拳銃が握られていて、その銃口はこちらに向けられていた。そして、パァンという乾いた音が教室に鳴り響いた。
「うそ・・・よね。先輩・・・?」
その弾丸は穂乃果の心臓を正確に打ち抜いていた。
「うそ・・・だろ?穂乃果、死ぬな!おい、返事をしろよ穂乃香!」
俺は穂乃果のもとに駆け寄って、何度も名前を呼んだ。だが、血は一向に止まらず、穂乃香が再び起きることはなかった。
「貴様、何してくれてんだよ!」
俺の怒りは頂点を超えていた。だってそうだろう?仲間を殺されたんだから。
「だから殺すといっただろう?聞いていなかったのか?」
「貴様!」
俺は相棒であるカオスカリバーを召喚すると、右手を前にだし叫んだ。
「次元破壊」
その言葉にこたえるように次元の渦が発生し、理事長を飲み込んだ。
「神永悠樹、貴様何をしやがった!」
「拉致」
俺が呟くようにそういうと、その渦は理事長を飲み込んだまま消えた。そう、俺は理事長との決闘をするつもりでいるのだ。そのことが分かったのだろう、後ろにいた皆の視線を背中に感じた。
「私たちもついていく。」
皆からこういわれたが、俺はこれ以上仲間が目の前で死ぬのを見たくなかった。
「ついてこないでくれ、これ以上仲間が死ぬのを見たくないんだ。」
「私たちは死にませんわ!あなたにもしものことがあったら、私たちはどうしたらいいんですの?」
「それでも、ダメだ。もし俺が死んだら、その時は俺がいなかったことにすればいいんだから。」
「そんなの、そんなのってないよ、悠樹!」
だが、俺はもう心に決めていた。あいつは俺が殺すと・・・後ろでまだ何か言っている仲間たちに、穂乃香を頼んだ、とだけ言うと俺はゲートを開いた。
「門開放」
そして俺は、生死をかけた戦いへ向かった。
ゲートを抜けると、そこはSクラスの教室そのものだった。どうやら無意識にあの教室を作ってしまったようだ。なので、理事長にはいきなり人が消えたように見えただろう。理事長は、教室にいた時と位置は変わっていなかった。
「よくも、よくも仲間を殺してくれたな!」
俺は、理事長めがけて切りかかった。だが、相手が持っているのは銃なのだ。こちらに銃口を向けられれば、よけるしかなくなる。だから、初手でつぶそうと思ったのだが、怒りに任せて叫んでしまったため、こちらに気付かれてしまった。
「ちっ!」
俺は、理事長の銃の照準から逃げながら攻撃することになってしまった。こうなると、決着はついたようなものだ。俺は、逃げ回りながら攻撃していたが圧倒的に押されていた。
「あれあれ、どうしたんだい悠樹君?攻撃が全然来ないよ?来ないならこっちから行かせてもらうね。」
「貴様、何をするつもりだ!」
「見てりゃわかるよ、変換!」
理事長がそういうと同時に、理事長の持っていた拳銃が巨大なミニガンになった。
「おい、貴様何しやがった!」
「仕方ないから説明してあげるよ。冥途の土産にでもすればいいさ。私の武器は見ての通り銃だ。でも、銃といっても私はすべての種類の銃を使うことができるんだよ。私は超銃召喚士マスターガンナーとよんでいるがね。土産話はこれで終わりだ。死ね、神永悠樹!」
その声にこたえるように理事長のミニガンが動き出すのと、理事長の背中に何か刺さるのはほぼ同時だった。
「ぐぁ、これは・・・矢?なぜこんなところに矢が飛んでくるんだ!」
矢が刺さって、手元が狂ったため理事長のミニガンは明後日の方向に球をばらまいた。俺は今しかないと思い、理事長との間合いを詰めた。
「これで終わりだ!」
俺が叫びながら振るったカオスカリバーは、理事長の体を真っ二つに切り裂いた。そして、俺に血の雨が降ってきた。理事長は死んだ、いや殺されたのだ俺と俺の相棒によって・・・
「これで、よかったんだよな穂乃果・・・」
俺はそう一人つぶやいた。そして皆のもとへ帰るためゲートを開こうとしたその時だった。
「ちょっと待って!」
そういう声が聞こえたので振り返ると、そこには俺のよく知っている人物が立っていた。
はい、今回も読んでいただきありがとうございます。
なんか、ほんとにすごい展開になってきましたね。
ということで、次回もよければよろしくお願いします!