ある過去の日
どうも、どこぞの委員長です。
年末年始は忙しいですね・・・(書けなかった言い訳)
この前は、神永兄妹ファイント疑惑みたいな感じで終わりましたね。
では続きです。
どうぞ!
セントラルバージスに戻った俺たちは、Sクラスの部屋で会議をすることになった。もちろん議題は俺たち兄妹のファイント疑惑についてだ。だが、短い間とはいえ、これまで世界中の人々を助けるためにファイントと戦ってきたはずの仲間がファイントかもしれないと言われると、やはり多少なりとも裏切られた感はあるのだろう。誰も口を開こうとしなかった。だが、俺たちもこのことは初めて聞いたのだ、自分たちがファイントかもしれないなんてことは・・・
「あなたたちは、自分たちがファイントだという自覚はないんですよね。」
ついにマリアがその静寂を破り俺たちに質問してきた。
「ああ、もちろんだ。というか、その話信じてるのか?あいつがこれからの計画を進めやすくするために吐いた嘘かもしれないだろう?」
「私もおにいちゃんと一緒だよ。自覚なんかないし、あのよくわからない人が付いた嘘だと思う。」
「そうですよね。私もその可能性が一番高いと思っていたんです。ですが、もし万一のことがあればと思っていましたので・・・」
どうやらマリアも俺たちと同意見だったようだ。だが、他の皆はどうなのだろうか?俺はそれが気になったので質問してみると、どうやらみんな俺たちやマリアと同じ意見だったみたいだ。
「みんながあいつの言うことを信用していなくてよかったよ。でも、もし仮に俺たちがファイントだったらどうするつもりだったんだ?」
「私も気になる。どうしていたの?」
俺たちのこの質問の答えは全員一緒だった。
「殺してたわね・・・」
そう、この一言。しかもみんな口をそろえて言うのだから、すごく恐ろしかった。
「ハハ…ま、マジですか・・・」
「ま、まさか思ってた通りの答えが返ってくるとは思わなかったよ・・・」
俺たちは、もう苦笑い状態だった。だが、ほんとに冗談でもファイントだとか言わなくてよかったと思った。
「でも、あの男の言ったことが嘘だとすると先輩たちは何で固有結界を作れたりするのかな?」
穂乃香の質問に思い当たるものを、俺は一つ知っていた。というより、ついさっき思い出したといったほうがいいだろう。そう、あのオブサーバーとかいう、わけの分からない男と話した時に。
「穂乃果、そして皆、このことについて一つ思い当ることがあるんだ。」
「先輩、本当なの?」
「ああ。長い話になるだろうけどいいか?」
「いいよ。」
答えはみんな一緒だった。
「なら話そうか、俺たちの過去について。そう、俺たちもついさっきまですり替えられていた、俺たちの過去の話を・・・」
そういって俺は、そのことについて話し始めた。
「俺はごく普通の家に生まれ、ごく普通の生活をしていたんだ。親は共働きで、両方とも海外を飛び回っていた。でもさすがに俺を生んでから、母親のほうは仕事を辞めて専業主婦をやっていたんだ。そしてある日、一人の子供が俺のうちに来たんだ。そいつの親両親は事故で死んでしまったらしく、知り合いだった俺のうちに引き取られたってわけだ。それが雪穂だ。確かあれは俺が5歳の時だったかな。」
「おにいちゃんそれは本当なの?」
あまりにショックだったのか、雪穂が聞いてきた。その顔は、幽霊でも見たかのように真っ青だった。
「ああ、本当のことなんだ。悪かった、今まで誰かに記憶を改ざんされていたらしいんだ。」
「そう・・・なんだ。私とおにいちゃんは実の兄妹じゃなかったんだ・・・」
「本当にすまない雪穂」
「謝らないでおにいちゃん。」
俺はすまないという気持ちでいっぱいだったが、雪穂にこう言われてしまったのでこれ以上謝れなくなってしまった。
「私もそのほうが都合がいいし、だっておにいちゃんを好きになっていいんだもの・・・」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、何でもないよ。」
雪穂が何か言ったような気がしたが、まあ大したことではなかったのだろう。
「じゃあ、話をつづけ・・・どうしたみんな?」
そこで俺はみんなの異変に気が付いた。そう、みんなありえないといった顔をしていたのだ。
「つ、続けてもいいかな?」
俺は恐る恐る質問した。
「悠樹」
「悠樹さん」
「先輩」
「お、おう、どうしたんだ、みんなそんな怖い顔をして・・・」
そして俺の言葉から一呼吸おいてから・・・
「「そんな大事なこと忘れちゃダメでしょ!!」」
大声で、ものすごく責めされた。
「だ、だって記憶改ざんされてたんだぜ・・・」
「そんなことはどうでもいいんです。忘れてたことが問題なんです。」
そんなむちゃくちゃなと思ったが、このことを言うともっと大変なことになりそうだったので、何とかこらえた。
「まあ、みんな今は悠樹の話を聞くことにしないか?」
そこで、レイナが助け舟を出してくれたのでお礼を言うと、あとでたっぷり聞かせてもらうよ、と返ってきた。なので、もうこのことはあきらめて、続きを話すことにした。
「それでだ、俺のうちの子となった雪穂は俺と一緒に育てられた。でも俺が13歳、雪穂が10歳の時に、帰ってきていた父親と母親が俺たちに留守番をさせてちょっと出かけたんだ。どこに行ったのかは知らないが、それっきり両親は帰ってこなかった。そう、事故にあって死んじまったんだ。それから俺と雪穂は二人で暮らしていたんだよ。そしてある日、俺と雪穂は二人で散歩に行くことにしたんだ。でも、俺が方向音痴なもんでちょっと迷ってしまって、近くにあった家に道を聞くことにして、家を探してたら、何かの研究所みたいなところに着いたんだよ。でもまあ、やっと見つけた人がいそうな場所だったし日も暮れてきたしで結局そこで道を聞くことにしたんだ。そんで、そこのドアまで行くと中の話が聞こえてきたんだ。確か、通常の人間一人のヴンダー許容量を上回るための方法とかなんとかだったような気がする。で、そこの家のチャイムを押したら、中で慌てたような音がして、出てきた奴が俺たちを無理やり中に連れ込んだんだ。そんで、のど乾いたでしょとかなんか言われて飲んだ飲み物に何か入っていたらしくて、すごく眠くなってきたんだ。そこで最後に聞いた言葉が、この子たちを実験に使ってみましょう、だったんだ。その次の日、いや次の日かどうかもわからないけど、次に起きたとき俺たちは病院にいたんだ。どうやら森で倒れているのを保護されたらしい。で、それからは普通にすごしてたわけだけど、雪穂がここにきて、俺もここに来たって感じだな。」
話し終わると、みんなまさかそんなことはないだろうという感じだったが、雪穂も同じことを覚えていたのでみんな納得したようだった。
「それで、その研究所っぽいところでされていた研究は何だったんですかね?人ひとりのヴンダー許容量増加なんて聞いたこともないですよ。」
マリアの発言にみんながうなづいた。やはりみんなそのことが気になるのだろう。俺もそのことについては興味があった。
「ほんとに何だったんだろうな。というかそんなことどうやってやるんだよって感じだもんな。今になって、何されたのかすごく心配になってきたぜ。」
「私も心配だよ。ほんと、何されたんだろう・・・」
「それは心配でしょう。私だってそんな経験があれば心配になりますわ。」
「気になるのかい?その研究について・・・」
俺たちの教室の入り口のほうからそんな声が聞こえた。
「誰だ!」
レイナが一番初めに振り向きそいつに問いかけた。俺たちもそいつを確認したが、だれかはわからなかった。ただ一人、マリアを除いて・・・
「理事長、こんなところに何の用ですか?」
明らかに敵意むき出しのマリアが、その男にこういった。その言葉はみんなを驚愕させた。そう、この学校に理事長と呼ばれる人がいたということについて・・・
はい、今回も読んでいただきありがとうございます。
悠樹は昔、こんなことあったんだなって書いてる自分が思っております・・・
さあ、次回はどうなるのやら・・・
もう、中のキャラが勝手に動いております(そんな気がするってだけですけどね)
では、次回もよければよろしくお願いします!