レベルⅥファイント
どうも、どこぞの委員長です。
前回は、レベルⅥファイントとの戦闘へ行くところで終わりましたね。
では、その続きです。
どうぞ!
俺たちSクラスのメンバーは、全員ダイレクトテューア前についた。
そこには、藤林先生が立っていた。
「これで全員か?」
「はい、全員です。」
藤林先生の質問に、マリアが答える。
「よし、敵はレベルⅥファイントだ。出現場所は、狩野見川の近くだ。では、討伐に向かってくれ!」
「はい!」
みんな一斉に返事し、ダイレクトテューアに入っていった。
ダイレクトテューアを出ると、そこは藤林先生が言った通り、川の近くだった。
「みなさん、あれを見てください。」
マリアがそういうので、その方向を見た俺は、一瞬言葉を失った。
そう、そいつは俺の身長の5倍はありそうな大きさだった。
俺の身長が、175㎝なので単純計算でざっと875㎝、8m75㎝にもなる。
そして、蜘蛛みたいなやつだった。
いわゆる、超巨大蜘蛛だ。
「なんでこんな大きいんだよ・・・俺たちが倒したレベルⅣだと、本物の虎ぐらいの大きさだったのに・・・」
「こんな敵、勝てるの?」
「そういえば、2人は初めてでしたね。レベルⅥは、ふつうはもう少し小さいんですけど・・・どうして今回はこんなに大きいんでしょうか?」
「大丈夫ですわ。とにかくHLKバリアを張らないといけませんわよ!」
「そうだね!行くよ、HLKバリア展開!」
「落ち着いたら行けるはずだ。落ち着け俺!よし、行くぞ!」
「うん、私も大丈夫よ先輩!」
みんな準備が整ったようだ。
「では、行きましょう!3・2・1・GO!」
マリアの掛け声で、俺、マリア、レイナが一斉に走り出す。
「マリア、後ろに回って!正面は、私と悠樹で行く!」
「わかりました。では任せます!」
「じゃあ行こうか、悠樹。」
「ああ。」
穂乃果とアリスは後方支援担当だ。
「どうやって攻める!」
「左右に分かれよう。まずは脚を攻撃する!私が左に行く。悠樹は右へ行ってくれ。」
「ああ分かった。じゃあ頼むぜ!」
「そっちもね!」
そういって俺たちは、左右に分かれる。
そして俺は、カオスカリバーを召喚した。
「まだ気づいてねえみたいだな。じゃあ、こっちから行くぜ!」
俺はそう言い、ファイントの脚に切りかかった。
SSランク級の武器だけあって、ファイントの脚はあっさりと切れた。
そこでファイントは、俺たちの存在に気付いたようだ。
ゆっくりとこちらを見下ろし、俺を見つけるとまだ無事な脚で攻撃してきた。
俺はそれを、剣で弾いて受け流す。
「くっ!さすがにこれだけの大きさとなると、一撃の重さが違うな。」
俺は、体勢を立て直し、反撃の姿勢へと入る。
そのとき、反対側で何かが落ちたような音がした。
どうやら、レイナも脚を一本落としたらしい。
俺はレイナのほうを見て、タイミングを合わせて二本目の脚へと切りかかった。
ドゴン、というものすごい音がしてファイントの脚が2本落とされる。
「これであと4本だ!」
俺がそういったとき、一瞬ファイントの体勢が乱れた。
これは好機だと思って、俺は叫んだ。
「マリア、いまだ!」
「わかりました!」
そういって、マリアはミョルニルをファイントの背中にたたきつけた。
ものすごい音がして、ファイントの体が下へ沈む。
そして、そこにアリスのケラノウスの雷が追撃する。
「やったか?」
しかし、相手もレベルⅥ、そんなにたやすくは倒せなかった。
「まだ生きてやがるか・・・」
俺がそうこぼした時だった。
「先輩、危ない!」
そういう声とともに、穂乃果の放った矢が飛んでくる。
そして、俺を攻撃しようとしていたファイントの脚を見事に射抜いた。
「すまない。ありがとう。」
「もっと気を付けてよ!」
(少し油断してしまったな。もっと気を引き締めなくちゃ・・・)
俺は、もう一度ファイントを確認する。
「っ!どうして・・・」
みんなもそう思ったようだ。
そう、切り落としたはずのファイントの脚が再生していたのだ。
みんな、少しの間動けなかった。
しかしファイントが待ってくれるはずもなく・・・
「ひゃあ!」
「うわあ!」
マリアとレイナが、ファイントの攻撃に対処しきれず吹き飛ばされてしまった。
「マリア、レイナ!」
俺は助けに走った。
しかし、ファイントはおれに助けに行かせようとしない。
全力で、俺が助けに行くのを阻止してくる。
だが、俺は一人ではなかった。
その隙をついて、アリスと穂乃果が救助に向かってくれたみたいだ。
なら、俺にできることはこのファイントを足止めしておくこと。
「さあ、来いよ!返り討ちにしてやるぜ!」
ファイントを挑発し、こちらに完全に注意をむかせる。
ファイントは、俺に連続で攻撃を仕掛けてくる。
俺は、一撃一撃を何とか防いでいく。
「このままじゃもたねえ。」
そう思った矢先、俺は剣をはじかれてしまった。
それによってできた隙をついて、ファイントが攻撃してくる。
(よけられねえ。畜生、ここまでなのか?)
おれは、思考を放棄しかけた。
だが、そこであの時の記憶がよみがえった。
(カオスカリバーがあるなら、これもできるかもしれない。)
俺は恥ずかしさも忘れ、ヴンダーを集中させた右手をファイントに向けて叫んだ。
「次元破壊!」
どうやら、効果はあったようだ。
ファイントの前の次元が崩れ、ファイントの脚は異次元に突っ込んだ。
これは、あの時の俺が考えた技の一つだ。
次元を破壊し、俺自身の固有結界を作り出す。
つまり、このままファイントを固有結界内へ突っ込めるということだ。
「ラプタル!」
俺がそういうと同時に、次元の歪みがファイントを飲み込んだ。
「はあ、はあ、一時しのぎだがこれで何とかなったな。」
そうつぶやき俺は、みんなのもとへと歩いて行った。
どうやら、大した怪我ではなかったようで、マリアもレイナも大丈夫そうだった。
みんなのところへ着くと、穂乃果が聞いてきた。
「先輩、今のいったい何なの?」
みんなも聞きたそうにしていたので、俺は話すことにした。
「実は、これは俺が昔に考えた技の一つなんだ。簡単に言うと、次元を破壊し、そこに俺の固有結界を作る。そういう技なんだ。」
「どうして、そんなことできるんだい?」
「俺にもわからない。たぶん、大量のヴンダーで無理やり起こしたことだと思う。だから、あいつはすぐにでも倒しにいかなくちゃならない。みんな、大丈夫ならついてきてくれ。」
「いいわよ、先輩。」
「構いませんわ。」
「いいよ。」
「いいですよ。みんなであのファイントを倒しましょう。」
「みんな、ありがとう。じゃあ、まずは作戦会議だ。」
そうして、俺たちはあのファイントを撃破すべく、作戦会議を始めた。
「まず、あの再生能力が厄介ですわね。」
「そうですね。でも、あれはどのような仕組みなのかわからない限り、封じ込めることはできなさそうですね。」
「そうだね。じゃあ、必然的に再生される前に倒すということになるね。」
「それなら、もう、みんなで一斉攻撃するしか方法はないんじゃないかしら?」
「そうだな。じゃあ、穂乃果は矢を大量に、できるだけ頭を狙って射ってくれ。」
「ええ、わかったわ。」
「アリスは、雷でできるだけ多く攻撃してくれ。」
「よろしくてよ。」
「そして、マリアはさっきみたいに上から思いっきりたたきつけてくれ。」
「いいですよ。」
「そして、俺とレイナで、できるだけ早く脚をすべて切り落とす。いいか、レイナ?」
「いいよ。」
「よし、じゃあリベンジマッチと行こうぜ!」
そうして、俺の周りにみんなが集まった。
俺は、固有結界への門を開けるために右手を前に出して叫んだ。
「ゲート解放!」
すると、空中のある一か所を中心に空間が渦を巻き始めた。
あともう少しで開くというときに、後ろから声が聞こえた。
「ねえ、それ私も参加させてもらえない?おにいちゃん。」
俺たちが振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。
はい。
今回も読んでいただきありがとうございます。
ラプタルはドイツ語で「拉致する」です。
次回は、この少女は誰なのか、みたいな感じになるかと思います。
では、次回もよければよろしくお願いします!