表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一話

前々から考えていた小説を書いてみました。


更新は不定期ですが。

 目が覚めた時、視界に入ってきたのは巨大な木々だった。


「……は?」













 自分の名前は多々良(たたら) (そら)。21歳独身で引きこもり暦5年になるニートだ。


 何故自分が引きこもりになったというと簡単な事だ。自分、コミュ障なんだ……


 小さい頃からどうにも自分が思っている事を言葉にして言うのが苦手で出たとしても相手に聞こえなかったり言葉が文章にならず単語だけになってしまったりとどうにも上手く人と会話ができなかったんだ。そのせいか小さい頃から友達ができず殆ど学校生活では殆どボッチだった。


 幸いにもいじめとかはなかったのだが言語による意志疎通能力、つまりコミュニケーション能力を学ぶべき時期である学園生活でボッチだったせいで自分のコミュニケーション能力、略してコミュ力は無いに等しくむしろコミュニケーション障害、つまりコミュ障と言う状態になってしまった。


 ここまではまだいい。まだ自分から会話していけば、会話をしていこうと努力すればまだ改善ができたかも知れなかったのだが、ここでさらにもう一つの障害が立ちはだかる。


 その障害とは、対人恐怖症である。


 そう、自分はコミュ障と同時に対人恐怖症も患っているのだ。コミュ障ゆえに相手とうまく会話が成立せずそのせいで相手を怒らしたり不機嫌にしてしまった事が多々ありその繰り返しで他人と顔を合わすことさえできなくなってしまった。


 さらに自分の家は両親共に共働きで小さな頃から家で一人でいる事が多かったせいで両親とでさえ目線を合わせて話すことさえできなくなってしまった。


 こんな自分が就職できるわけも無く高校は高1で中退、その後は自室に引きこもりただ毎日をすごす日々だった。両親も自分とどう接していいのか分からず家族でありながらお互いに一歩どころか二歩三歩引いた距離を保っていた。


 そんな自分が唯一長い事続けている事がある。それは小説である。


 小説と言ってもオリジナルの物ではなく既存のアニメやゲームマンガに自分が考えたオリジナルのキャラクターを登場させるいわゆる二次創作という物だが。


 二次創作内で登場させたオリジナル主人公、つまりオリ主は自分の理想像である事が多かった。


 現実の自分よりもカッコよく、会話上手で誰からにも慕われるそんなオリ主ばっかり作り出していた。作り出してマンガやゲームのキャラクター達と会話させるのが楽しかった。


 自分の思った通りの会話をさせるのが楽しかった。この小説内では誰もオリ主(じぶん)と会話させても怒らないし不機嫌になる事もない。それに思った通りの言葉を話せるのが楽しかった。


 そんな自己満足の小説を書く日々が続いていた。


 そんな中、既存の小説の続きで煮詰まってしまい気分転換にと完全なオリジナルの小説を書き始めた。これが自分自身の生活、いや現実を変えるとは思いもしなかったが……



 オリジナルの小説のオリ主は今までのオリ主のように自分の理想像ではなくあえて現実の自分をモチーフに考える事にした。


 世界観はありがちな剣と魔法のファンタジーの世界でその世界では人間以外にもエルフやドワーフなどの亜人がいて、ドラゴンがいて、魔物や魔族、魔王が存在する世界。


 そんな世界でオリ主は現実の自分と同じ姿かたちなのだがこの世界では黒と言う色は不吉の象徴とされ黒髪黒目のオリ主は人や亜人たちからは迫害され魔族からは魔法の生贄として命を狙われる存在、と言う設定にしてその設定のせいでオリ主は幼い頃から迫害され碌に会話する事が無くコミュ障になり迫害や命を狙われた事から対人対魔恐怖症になってしまった。


 そんな人生を送ってきたオリ主は誰にも会わないように深い森の中でひっそりと一人っきりで細々生活するようになった。満足に食事もできない場所で昼は食料を探し回り夜はくるかどうかも分からない魔族や野生の獣達の襲撃に脅える日々。そんな生活が何年も続きオリ主は精神を病んでしまう。


 精神が病んでしまったオリ主はうろ覚えの記憶と知識を頼りに召還魔法を実行する。


 呼び出すのは異世界の邪神。生贄は自分自身の血肉と魂。オリ主は自分を迫害する人を、命を狙う魔族を、そして自分を生み出した世界を呪い、この世界全ての命を滅ぼすために自分のずべてを捧げて邪神召還に……





 なんだこれ。なんで自分(オリ主)が邪神なんか召還しようとしてるんだ。自分自身をモチーフにした小説なのにこれじゃあ自分が現実世界を滅ぼしたいと思ってるみたいじゃないか。


「止めだ止め。息抜きで書いたのに何でこんな暗い話になってるんだ。こんな話じゃ続きを書く気になん、て…」


 書きかけた小説から目を離し座っていた椅子から立ち上がろうとした時、世界が揺らいだ(・・・・・・・)


「な、ん!?」


 揺らぎは大きくなり、自室の部屋にある物全ての輪郭がぼやけあらゆる物の色が混ざり合う。


「ウッ、エエェェェ」


 脳味噌を激しく揺さぶられたような感覚に胃の中の物を吐き出す。


 揺らぎはさらに大きく激しくなり自分自身が立っているのか倒れているのかすら分からなくなる。


 そして視界は真っ白に染まった。

コミュ障で対人恐怖症で邪神様で不吉な色持ちの四重苦。


この主人公、どうしよう?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ