第一話 ハブ
こんにちは。あなたはいじめにあったことはありますか?いじめは時にはかわいく、恐ろしいもの。あなたにもし、子供がいたら見てください。覚えのない痣がたくさんありませんか。あなたもいじめを知って、この悲しいストーリーを見てください。
少年は崖の前に立っていた。何回も下を見ている。
波は激しくなっている。
少年の足下には子犬が寄り添ってくーんと言っている。
少年は子犬を見て笑っている。その後、抱いて言った。
「おまえも行くか?」
子犬が喜んで
「ワン!」
と泣いている。
「おまえは、いつでも一緒だ」
また子犬は
「ワン!」
と鳴いている。
少年は手に何かを握っている。紙だ。
「オレは、資格がない。だから、だから…」
少年はどんどん崖に近づいている。また下をみる。
少年は唾をごくりと飲んで、頭から下に落ちた。
子犬の鳴き声が聞こえた。
彼の名前は俊樹。
中学2年生だ。友達は多いし、顔もイケメンなので、結構もててた。
しかも頭がいいからテストの時は助かると言う人もいる。
でも、そんな人でもクラス全員を敵にすることはある。
でも俊樹は、とりあえず笑えること言って、みんなに勉強でも教えとけば、とりあえずいじめられないと思ってた。
次の日みんなは変わった。
でも、みんなが変わったと感じるのは俊樹だけだ。
みんな、俊樹とは話をしない。てか避けてる。昨日勉強を教えてもらって
「この御恩は忘れません」
とか言ってた奴も避けてる。
そうハブだ。
ハブとは、ハブにされた人は、もう人間として扱ってもらえない。
しかもハブは毒があるから避ける。
ハブは特殊ないじめの一種でどんな人でもされてしまう。
俊樹は困っていた。
なぜ、なぜみんなオレに話しかけてこない?ねえなんで?
すると、学級委員の小島が立ち上がった。
「ははは!昨日までの人気者がハブにされてやがんのははは!」
俊樹はそんなことは気にしない。
俊樹は小学校ですごいいじめにあっていた。
理由は頭がいいことをえばってるから。
何回もボコボコに殴られていた。
不幸の手紙も何枚も来た。開けてみるとカミソリメールで痛かった。
俊樹はそれが脳裏に残っていた。
小島は座った。ずっとニヤニヤしてる。
休み時間、いつもなら話しかけてくる奴がいるはずだが、誰も来ない。唯一、話しかけてくるのは、
「誰も話しかけてこないねぇ!まあ、オレがこれだけで終わるなんて思うなよぉ!」
その後小島は仲間を集めて話しかけた。
小学校の時もあった。仲間を集めた時、何をされるのかドキドキする。
小声だが聞こえた。
「まあ、とりあえず無視だな」
とりあえず、勉強でも教えとけばいいだろ。俊樹はそう思っていた。
数学で一番難しい直角三角形の証明だ。
これは特殊な証明もあって難しい。
「じゃあ、この問題を誰にやって貰おっかなー……」
全員目をそらす。
先生はさっと林を指した。林は立ち上がったが、何をいえばいいのか分からない。 林のところに紙が来た。その紙には証明がズラズラ書いてある。俊樹だ。
林はいらついた。こんなやつに教えた問題なんか答えたくない。
「わかりません」
「そうか。まあ復習すれば分かるから」
「はい」
俊樹はショックが隠しきれなかった。
いつもならありがとうとか言ってたのに。
休み時間にまた話しかけてこない。俊樹は他のクラスに行った。
俊樹は鈴木の所に行った。
鈴木は、俊樹の小学校時代に受けたいじめを救った人、でもそれの反動でひどいいじめを受けていた。今でも黙っている。
俊樹が来ると、みんな俊樹を避けていた。
それは俊樹も分かっていた。他のクラスにもハブ扱いされたことが分かった。
鈴木の机の周りが広い。まだいじめが続いている。
「どうした俊樹?」
「なんかハブ扱いされちまって、ハハハ」
「それ、いじめだぜ」
「えっ?」
ひそひそ声が聞こえる。俊樹が気づいて集中して聞いてみたら、
「ハブがしゃべるなよ」
「鈴木とハブ、お似合いだな」
「沖縄いけよ!沖縄」
おいおい、まあハブは沖縄出身だからって、もう押さえられなかった。
俊樹は自分のクラスに帰った。
机が出ていた。
俊樹はさっき鈴木のクラスにいた時、なんかに机が当たった音がしていたから、なんとなく予測していた。
俊樹は机を持ち上げると、中からネズミの死体がボコボコ出てきた。
「うわっ!」
小島がそれを聞くと、立ち上がって、
「おい!ハブ!ネズミを食ってみろよ!食え!ほらおまえら!」
小島が言うと、みんなが食えコールをした。
俊樹は我慢しきれなくなって走った。
走ると、いろんな声が聞こえる。もちろん、ハブという言葉は入っているが。
俊樹は学校をさぼった。
荷物は学校にある。でも、ハブに荷物はいらない。
人間は恐ろしいものだ。
いじめという鉄砲がねらうものは、すべての人間だ。
そして、いじめの鉄砲は、いろんな弾が打てる。
無視、暴力、かつあげ、精神的苦痛、そして、ハブ。
特にハブは恐ろしいものだ。
いざとなったらすべての弾を装備できる。一つの弾で、3つは装備できる。
やはり、ハブは恐ろしいものだ。