~食材の視点~ レンコン三連星
この話は「単身赴任の食卓~学食編 EP24」のレンコン三連星のレンコンたちに人格を持たせたらどうなるか、を実験的に描いたものです。意外と話があっちこっちに散らかりました…
「おい、今朝は朝からなんかうるせぇと思わねぇか?」
俺は「レンコン三連星」のリーダー…茨城のハス沼から、北関東を制圧する目的で、当地に転戦をしてきた。
茨城は、よく茨城とよく間違えられるし、なぜか好感度調査でも苦杯を飲まされる土地柄だ。
…ふざけるな
俺はそう言いたい…メロンも納豆も常陸牛も…みんな大好きな白米も、戦車に載る女子高生だって、みんなみんな茨城だ。
レンコンだって、そんな中の一員…俺は茨城、という土地に誇りを持って生きている。
それがどうだ…北関東の地方都市の…小さな研修所の学食で…割安に飯にありついている初老のオッサン…こいつときたら、言うことがひどくないか?
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いくら霞ケ浦が近いといってもだな、東京方面に蓮田とかいう地名があったとしてもだな、このレンコン推しはなかろう!
しかも朝から、レンコンの三連星が「きんぴら!はさみ揚げ!ヤツに猛烈な流れの攻撃をしかけるぞっ!」な状態じゃないか!
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俺たちレンコンの進撃を受けて、視界が狭くなる、とか…しかも、食う前に、見ただけで文句言うとは何事だ!
そこまで言うなら…と俺は腹をしっかりとくくり…戦友たちに声をかけた。
「きんぴら!はさみ揚げ! ヤツにジェットストリームアタックを仕掛けるぞっ!」
俺たちレンコンの体に空いている8つの穴は飾りじゃないってこと、あの初老のオッサンに思い知らせてやる!
この穴で未来を見通せる、と正月の縁起物として食卓を飾る俺らの底力を思い知れ!
はさみ揚げが、バス―カーのごとく強烈な一撃をオッサンに食らわせる。
オッサンは何とかそれをかわし直撃を免れるが、それでも「はさまれて揚げられた肉の味わい」には、思わず体勢を崩してしまう。
だが、オッサンは負けじとすぐさま立て直し「はさみ揚げ」の頭越しに進撃をしてくる。
…やはりやるな…だが。これはどうだ!
レンコンのきんぴらが「先を見通せる、縁起物の穴」から、鷹の爪拡散空気砲をぶちかます。
オッサンは、すれすれ直撃をかわすが、あまりの刺激に視界が遮られる。
…よし、いただいた!
レンコンの青菜炒めが、ごま油の風味を振りかざしてオッサンを打ちのめしにかかる。
そして全機が三方向から同時に…胸に空いた八つの穴から「拡散拡散空気砲」を食らわせる。
全機最大出力の風圧を受けて、オッサンは完全に動きを止めた。
「ぐっ……なんだこれ……うまいじゃないか……」
その瞬間、俺たち三連星は確信した。
…勝った。
はさみ揚げが、衣をサクッと鳴らしながら「見たか、オッサン! これが茨城レンコンの底力だ!」と、叫ぶ。
きんぴらは、鷹の爪をピリッと光らせながら「朝から三連星で来る必要はあるのか、だと? あるに決まってんだろ!」と、笑う。
青菜炒めは、ごま油の香りをまとったまま「俺たちは、茨城の誇りだ! 北関東の朝を制圧するために来たんだ!」と、胸を張る。
オッサンは、はさみ揚げをもう一口かじりながら、小さくつぶやいた。
「…ちくしょう…うまいじゃないか…」
その言葉を聞いた瞬間、俺たちレンコン三連星は、泥の底で育った日々を思い出しながら、
静かに勝利を噛みしめた。
…茨城レンコン、北関東の研修所、制圧任務完了!
「単身赴任の食卓~学食編」から食材視点を持ってこられないかな、と思っていました。「単身赴任の食卓」とちがい、自分で作らない、ほかの方に作っていただくご飯なので、話の持って生きようがないかも、と思っていましたが…いや、やはり難しいですね…




