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第29話 限定付与

異常は、

 小規模だった。


 都市郊外。

 生活魔導ラインの一部停止。


「原因は?」


 俺が聞く。


「外部からの

 意図的な干渉です」


 リーネが、

 即答した。


「でも、

 規模が小さすぎる」


「様子見だ」


 勇者が、

 周囲を警戒する。


「罠?」


「テストだろうな」


 俺は、

 頷く。


「人間側が、

 どこまでやれるか」


 現場は、

 混乱していた。


 明かりが消え、

 魔導機械が止まる。


「修理班、

 来るまで待て!」


 現地の技師が、

 叫ぶ。


 だが――

 時間がかかる。


「……間に合わない」


 俺は、

 技師を見る。


「名前は?」


「カイルです!」


「経験年数」


「三年……です」


 俺は、

 少しだけ考えた。


「一時的に、

 補正を入れる」


「え?」


 《管理者権限:

 限定付与》


 世界が、

 静かに書き換わる。


 《対象:

 現地技師カイル》


 《効果:

 認識補正/作業精度向上》


 《制限:

 作業完了まで》


「……見える」


 カイルが、

 息を呑む。


「流れが……

 魔力の流れが」


「そのままやれ」


「は、はい!」


 工具が、

 迷いなく動く。


 周囲の技師たちが、

 驚きの声を上げる。


「何だ……

 今の動き」


「別人みたいだぞ」


 数分後。


 ラインは、

 復旧した。


 明かりが戻り、

 街が息を吹き返す。


「……終わった?」


 カイルが、

 呆然と呟く。


 次の瞬間、

 力が抜け、

 膝をつく。


「大丈夫だ」


 俺が、

 肩を支える。


「付与は、

 もう切れてる」


「今の……

 夢ですか?」


「現実だ」


「……また、

 欲しいです」


 俺は、

 首を振った。


「常用は、

 世界を壊す」


 勇者が、

 小さく笑う。


「管理者らしいな」


 リーネが、

 静かに言う。


「これ、

 知られたら……」


「ああ」


 俺は、

 頷いた。


「恐れられる」


 同時に。


 《観測ログ更新》


 別の場所で、

 誰かが

 興味深そうに記録する。


 ――付与型チート。

 危険だが、

 実に有用。

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