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第25話 聖なる嘘の終わり

裁きの場は、

 神殿大広間だった。


 だが、

 もはや“聖”の空気はない。


 市民。

 貴族。

 各都市の代表。


 全員が、

 神殿を見ていた。


「……これより、

 公開裁判を開始する」


 司会役の官吏が、

 声を震わせる。


 被告席に、

 高司祭たち。


 そして――

 証人席に、

 俺が立つ。


「管理者」


 司祭の一人が、

 憎悪を込めて叫ぶ。


「貴様が、

 世界を混乱させた!」


 ざわめき。


 俺は、

 淡々と答えた。


「事実を、

 時系列で示す」


 《管理者権限:

 公開ログ展開》


 空間に、

 記録が映し出される。


 同時多発障害。

 内部リーク。

 拘束命令。


「これらは、

 神殿の介入後に

 発生している」


「……捏造だ!」


「違う」


 俺は、

 即答する。


「神殿形式の署名が、

 全て残っている」


 会場が、

 ざわめく。


「勇者!」


 別の司祭が、

 叫ぶ。


「貴様も、

 証言しろ!」


 勇者が、

 一歩前に出た。


「俺は」


 短く、

 はっきり言う。


「現場で、

 何が起きたかだけを語る」


 破壊が、

 拡大した瞬間。


 保守局の判断。


 守られた街。


「……俺は、

 神殿の命令で

 世界を危険に晒しかけた」


 沈黙。


「二度と、

 同じことはしない」


 その言葉で、

 流れが決まった。


 最後に。


 俺は、

 一つだけ告げた。


「神殿は、

 悪魔と接触している」


 空気が、

 凍りつく。


「……証拠は?」


「ある」


 《管理者権限:

 深層通信ログ》


 闇の契約陣。

 会話記録。


 否定は、

 もうできなかった。


 高司祭が、

 崩れ落ちる。


「……我々は、

 世界のために……」


「違う」


 俺は、

 首を振る。


「権威のためだ」


 判決は、

 早かった。


 神殿の特権剥奪。

 高司祭の失脚。

 組織の再編。


 “神の代理人”は、

 その日、

 終わった。


 広間を出ると、

 勇者が並ぶ。


「……終わったな」


「ああ」


 俺は、

 空を見上げる。


「一つは」


 その先に、

 まだ影があることを、

 知りながら。

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