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第24話 横から来るもの

神殿前広場。


 管理者解放の報が、

 まだ完全には広がっていない。


 その“隙間”を、

 悪魔は見逃さなかった。


 空が、

 歪んだ。


「……何だ、あれ」


 誰かが、

 呟く。


 聖堂の上空、

 空間が割れ、

 黒い影が滲み出す。


「――やあ」


 軽い声。


 だが、

 空気が凍る。


「管理者。

 お帰り」


 悪魔。


 今回は、

 投影ではない。


 半実体。


 勇者が、

 即座に前に出る。


「下がれ」


「今回は、

 剣の出番じゃない」


 俺は、

 静かに言った。


「ほう?」


 悪魔が、

 楽しそうに眉を上げる。


「随分、

 落ち着いている」


「君が来ることは、

 予測していた」


 《管理者権限:

 干渉範囲確認》


 悪魔の存在が、

 世界の“端”に固定される。


「……チッ」


 悪魔が、

 舌打ちした。


「やはり、

 自由には動けないか」


「当然だ」


 俺は、

 一歩前に出る。


「ここは、

 “公開空間”だ」


 神殿。

 市民。

 勇者。


「君は、

 隠れられない」


 悪魔は、

 肩をすくめる。


「なら、

 用件を済ませよう」


 彼は、

 神殿を指さした。


「私は、

 この組織と

 契約している」


 ざわめき。


「管理者の拘束。

 世論操作。

 内部リーク」


「――私の助言だ」


 司祭たちの顔が、

 青ざめる。


「……貴様!」


「安心してくれ」


 悪魔は、

 笑う。


「君たちの名前は、

 伏せてある」


「今は、

 ね」


 俺は、

 静かに言った。


「なぜ、

 今それを言う」


「簡単だ」


 悪魔の目が、

 細くなる。


「神殿が、

 “使えなくなった”」


 その言葉で、

 空気が割れた。


「……つまり」


 俺は、

 理解する。


「次は、

 正面から来ると」


「ご名答」


 悪魔は、

 楽しそうに拍手する。


「管理者と、

 真正面から」


 空間が、

 再び歪む。


「今回は、

 挨拶だ」


「次は――」


 視線が、

 俺に突き刺さる。


「交渉か、

 戦争か」


 悪魔の姿が、

 消えた。


 広場に、

 重い沈黙。


 勇者が、

 低く言う。


「……敵だな」


「ああ」


 俺は、

 頷いた。


「だが」


 神殿の方を見る。


「一番厄介なのは、

 もう去った」


 司祭たちだった。

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