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第1話 保守を舐めた結果

本作は「戦わないけど世界が終わる仕事」をする主人公の物語です。

ざまぁは静かに進行します。

 警告音が鳴ったのは、結界制御盤のログを確認している最中だった。

 赤文字で表示されたエラーコードを見て、俺は小さく息を吐く。


「……やっぱり来たか」


 外周結界の負荷が、許容値を超えかけている。

 原因は分かっている。三日前に却下された、あの定期メンテナンスだ。


 俺の名前は佐倉直人。

 元・社畜プログラマーで、現在は王城直属――

 異世界インフラ保守課所属。


 魔導炉。結界網。召喚システム。

 勇者や騎士が派手に活躍できるのは、これらが“止まらない”からだ。


 もっとも、その重要性を理解している人間は少ない。


「まだ動いているじゃないか」


 会議室でそう言い放ったのは、担当貴族のバルド卿だった。

 豪奢な椅子にふんぞり返り、俺の報告書をろくに読んでもいない。


「今は、です。ですが――」

「問題が起きてから対応すればいい。

 それに君たちの仕事は地味だ。削減対象として妥当だろう?」


 その場で、保守課の縮小と俺の配置転換が決まった。

 要するに、不要扱いだ。


「分かりました」


 俺はそれ以上、何も言わなかった。

 説明しても無駄だと分かっていたからだ。


 王城を出る直前、制御盤に最後のログインをする。

 本来なら、俺が管理者権限で回すはずだった処理が、未実行のまま残っている。


「……仕様通りに運用していただけですが?」


 誰に聞かせるでもなく呟いて、俺はログアウトした。


 その数分後。


 魔導炉の出力が不安定化。

 外周結界が部分的に消失。

 各地で召喚障害が発生。


 王城中に非常警報が鳴り響く。


【エラー:管理者不在】

【システムは安全に停止しました】


 ――保守を舐めた結果だ。


 世界が、静かに落ち始めていることに、

 彼らはまだ気づいていなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次話から「追い出した側」が状況を理解し始めます。

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