ふふふふふふふ!
小説投稿サイト『小説でメシを食おう!』には、少ないながら今日も素人作家たちの作品が投稿されていた。
その片隅には掲示板がある。
アマチュア作家たちがそこで意見を交わしていた。
『ここに投稿される作品を褒めるやつらが気に食わない! ここに投稿される作品を褒めるのは“馴れ合い”だ! 何をしにここに来てるんだ? 精進するためだろうが? それならひたすら作品の悪いところを批判するべきだ!』
家猫チャリダーというハンドルネームの常連ユーザーの、そんな書き込みを見つけると、男は反論した。
『いいところがあったら褒めるのは当然でしょう。なぜ、悪いところばかり取り沙汰す必要が?』
すると相手からすぐにレスポンスがついた。
『いいですか? ここにいるのはアマチュアばかりなんですよ? まさかプロがこんなところには来ないでしょう。プロの作品なら褒めるべきだ、なぜならうまいから。でも、アマチュアの作品を褒めてはいけない。なぜならアマチュアは下手だからです』
男はモヤモヤするものを胸に感じ、さらに反論した。
『アマチュアの作品だから価値がないというのでしょうか? アマチュアといってもさまざまです。下手なひともいるでしょうが、ただ単にまだプロになっていないというだけの、うまいひともいる』
家猫チャリダーからまたすぐにレスポンスが返ってきた。
『つまり、自分のうまさを見せびらかすためにここへ投稿しているひともいると? なんていやらしい精神性だ!』
男はムカッとすると、すぐに書き込んだ。
『プロは売れないといけないから、自分の書きたいことがあっても書かせてもらえないことがあるでしょう。しかし、アマチュアは自分の正直な情念を作品に叩きつけることができます。それを読んでほしくて、ここに投稿しているのではないですか』
『自分がそうだと言いたいのですか? 自分の作品には価値があると? うぬぼれていては精進できませんよ?』
『“プロを喰ってやる”ぐらいの覇気がなくて、何がアマチュアか!』
男はそう書き込むと、ノートパソコンを閉じた。
丸海出版の、あの小太りの編集者からの電話を待っていた。
無聊を慰めるため、グラスに注いだストレートのウイスキーに口をつける。
「俺は……プロを喰ってやるんだ」
ぐいっと一息に、強い酒を飲み干した。
「あの原稿なら、プロを喰ってやれる!」




