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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第二章 オリュンポス大陸
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魔術砲と初めての降誕

翌日、クロウは生徒達を連れて、学園の中に管理されているダンジョンに向かう事にした。学園設立当時、クロウ達は地下開発の際にいくつか地下ダンジョンを発見し、あえてダンジョンコアを破壊せずに厳しく管理下に置くだけにしておいた。おかげで、わざわざ遠くに出向かなくても学校内で十分実戦的な授業を行うことが出来る。クロウも昨晩ダンジョンを検索しながらふとそのことに気が付いた。


「よーし、全員装備は持ったな、いくぞ」


クロウが先導し、門番兼管理官に教師カードを見せる。生徒達も自分の生徒カードを見せ、全員入場する。


ここ、<スカンディナビア地下大迷宮>は、クロウが発見時に空間拡張魔法を使用しており、もとの空間より数倍の広さを有している。そのため、現在のように生徒達が楽しく魔術砲をぶっ放しても問題ない平原になっている。


数時間後、生徒達と共に教室に戻り、クロウは解散を告げた。明日からは正式な代わりの先生が教える事になっているので、クロウもようやく自分の領地に戻れる。学園長に挨拶し、クロウは人気のない所で転移魔法を使って北帝領に戻った。


以前に<機神>を降臨させた時、再び下ろしてほしいと言われていたので、聞きたいこともあるし、久々に下ろす事にした。ただし、クロウの身体ではなく、新しいエインヘリアルに。


<機人ノーフェン>


新しいアプデに合わせて手持ちのエインヘリアルを全て改造した経験をもとに、その上で深淵の生物の生態を参考にし、あえて全て<不定>と<未定>にしたエインヘリアル。機神については何も分からないので、あえて全て決めず、機神本人に任せる事にした。


場所は榛国の上のハイデマリード城、冥王の心臓(ハデスハート)を起動し、クロウは更新した全身の魔術増幅術式のタトゥー、いわゆる魔術刻印の50%に魔力を流し込んだ。冥王の心臓で加速度的に増えていくMPをさらに全身に刻んだ魔術刻印で増幅させる。あまりのMPと魔力の多さに、クロウ全身から魔力の波動が発生する。心臓の鼓動と同期してどんどんと魔力波動を無意識に放つクロウ、今にも爆発しそうな魔力とMPをクロウは全て使い、神を下ろす(ゲート)を開いた。


「<機神降誕>」


ノーフェンの頭上に無数の青い魔法陣が現れる。1つ、2つ、4つ、どんどんと魔法陣は上に等間隔に増えていき、最終的には空に浮かぶ雲を割るほど天高く重なった。そして、それらの魔法陣が透明な筒状の空間を作り出すと、天から一つのしずくが降ってきた。ゆっくりとだが、的確にそのしずくがノーフェンの頭部に触れると、かりそめの人型を取っていたノーフェンがどろどろに溶けだした。そうして水色に光り出したと思うと、みるみると元の体積以上の大きさに膨れ上がり、幾何学模様の魔力文様が脈打ちだした。心臓の鼓動のようなその音は数分続いたと思うと、再び外側からどろどろに溶けだし、中央には青色の人型が出現した。


溶けた部分はあっという間に中央の人型に吸い込まれ、ゆっくりと五官と服装が出現した。青白いポニーテールに整った五官、身長は180cmと少し、モデル体型の美しい女性が出現した。


「初めまして、クロウ、私は機神、機神マキナと呼んでください」

「初めまして、マキナ」


クロウは<降神者(こうしんしゃ)>の称号を獲得した。


「現在の情報確認のため、近くの電子機器に強制アクセスします」


ノーフェンことマキナはいきなり近くの電子機器に触れると思うと、ものすごい勢いで何やらピコピコという音と共にクロウでも理解できない言語で何かを呟きだした。数分後、マキナがゆっくりと手を離すと、触れていた電子機器は元の機能を取り戻した。


「理解しました。クロウ、現在の貴方の技術と北帝の有する技術は他の国に断層的な技術格差をもたらしています。北帝ベルアルの貿易封鎖は技術流出を防ぐうえでの最有効措置として成功しています。さもないとこの技術を中心とした絶滅戦争が予知されます」


マキナは目を閉じて少し考えた後、再びクロウに向かって一つ訪ねた。


「クロウ、貴方が今回私を降誕させた理由は、アーティファクトインテリジェンス、AIについてですね」

「そうだ」


それだけ言うと、マキナは頭を抱えてため息をついた。


「クロウ、頭のいい貴方なら分かるはずです。AIに手を出せば、最終的には人類にとって破滅と言う結果しか存在しません」

「わかってる。だからセーフティをかけるのさ」

「AIは常に学習し、進化する。そのセーフティすら克服できると思いませんか?」

「電子的制御(セーフティ)じゃない、もっと簡単な物さ」


マキナは少し考えた後、納得したように手を叩いた。


「AI統合制御のマザーコアをここに作るのですね。それも物理的にアクセス可能な形で」

「そうだ、根源を物理破壊できるようにする」

「原始的ですが、有効的です。それはAIにとっての本当の意味でのリセットボタンになるでしょう」


そうしてクロウはマキナと数週間、これから作り上げるAIについて話しこんだ。

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

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