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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第二章 オリュンポス大陸
92/227

授業代行

***


北帝ベルアルの一日は早い。辺境部隊の報告によれば、西にも北にも東にもさらに大陸が広がっていると言う。同時に新しい蛮族も発見され、西にいたのは涅藩(ねはん)族、北には氷柳(ひょうりゅう)族、東には武苗(むびょう)族がいた。ベルアルの密偵はすぐに新しい蛮族達の大きさ、頒布領域を確認し、敵対する意がある事に気が付くと、すぐさま軍を差し向けた。


***


PvPを遊びつくし、クロウは北帝領に戻って久しぶりに内政に勤しんでいた。とは言うものの、先ほどのアプデで北帝領にちょっかいをかけてきた蛮族達は既にモンスターや魔力を持つモンスター、魔獣の餌になったり北帝軍に征服されたりと、クロウの出る幕もないので、新しいビジネスを始めた。それは、各国の僻地に巨大なショッピングモールを作り出す事である。僻地にいるさまざまな職人を勧誘し、大きなショッピングモール内に彼らの店を構え、モールへ続く大通りも修理し、交通も改善した。代わりとして、僻地に咲く特別な植物やモンスターの素材を通常よりも安く買い取る事に成功し、エインヘリアルの改善と新装備、新アイテムの開発に当てる事に成功した。


新しい売り上げは北帝領僻地の開発に充てられ、新しい資源開発も進み、ベルアルにも新アイテムと装備をシェアした後、暇になったクロウは再びベルアルに一言言って、南国サウフォードへと向かった。


「はい、と言う事で皆さんお久しぶりです。クロウ先生です」


ちゃちゃ丸が暫く休暇を取るとのことで、クロウが代わりの先生として暫く授業を引き継ぐことになった。


授業内容の本は<魔法基礎>と<魔術基礎>、もっと難しい本を教えていると思ったら、意外にも基礎的な授業をしていた。


だが双方共にちゃちゃ丸の独自の見解が織り交ぜられており、大筋はクロウがアマネ達に教えたのと同じだが、細かい所でクロウの理論とは違っていた。恐らくは彼女がLvアップした事や、新しい技術を手に入れた事に起因するのだろう。道理で魔導砲の小型化にも成功したわけだ。


ならばと思い、クロウは最初の数日は基本のみを復習し、ちゃちゃ丸の授業ノートを熟読する事にした。

翌週、ちゃちゃ丸のクラスのメンバーを連れて、クロウは校内の兵器廟にやってきた。彼らの為に武器を作るわけではないが、ちゃちゃ丸は元々この数か月で生徒達に魔杖やオリジナル武器を作らせる予定なので、丁度良かった。


どうやらちゃちゃ丸のノートによっては、<魔導砲>の省エネ版である<魔術砲>を発動できる杖を製造させるつもりらしい。クロウは普段は立ち入る者のいない兵器廟第9工廟に生徒達を連れて来た。ここは学園内では開かずの間と言われているようだが、実はここを使えるのはちゃちゃ丸とアマネ達3人とセシリアとクロウだけである。なぜならここにはクロウの作った<賢者の石>があるからだ。工廟の実験ゾーンを抜け、製作ゾーンに向かう。数多くの大型施設を潜り抜け、素材保管庫の裏にやってくる。小さな部屋に中央には円柱が座っており、目の前の壁にはベルトコンベアと、そのベルトコンベアがどこの製作スペースに続くか看板が設置されていた。


生徒達にはそれぞれ2人1組になって製作ゾーンの椅子に座らせる。最大4人まで座れるが、どうせなら贅沢に使おう。


クロウは円柱に自分の手をかざす。<認証成功、おかえりなさい、クロウ>

その言葉と共に円柱の中央が沈んでいき、代わりに四角いケースに固定された虹色のコラテラル・クリスタルが出現した。<賢者の石>、MPを注ぎ込むことによってあらゆる鉱石を作り出す事が出来る。円柱の側面にふれ、クロウは賢者の石の固定を解除する。そして代わりに用意した<賢者の英石(えいせき)>をはめ込んで固定する。鉱石内部の虹色が常時うごめくこの石は、鉱石だけではなくあらゆる物体、物質を生み出す事が出来るようになった。固定した後、クロウは各製作ゾーンへの通信を開始する。


「よし、全員見えるな、まずは魔術砲が使える汎用型の魔杖を作る。必要な材料を送るから、全員メモするように」


クロウは賢者の英石にMPを送り、材料を生成する。汎用型に必要な材料は確かに高価なものが多いが、今の生徒達の実力でも回収できるものが多く、製作不可能でもない。必要な材料を送った後、クロウはすぐ横の部屋の特殊製作ゾーンに移る。室内全体を生徒たちのテーブルに投影しながら、汎用型を実際に組み上げる。付随した切断ペンや研磨アーム、魔光式魔法刻印装置などを駆使して、あっという間にクロウは汎用型魔術砲の魔杖を作り上げた。その後、生徒達の番になり、クロウはテーブル1つ1つを丁寧に行き来しながら全員の完成を見守った。そうして全員作り終えた後、ひとまず授業はお開きとなった。


これで一応の目標は達成できたので、いつちゃちゃ丸が戻ってくるか分からないが、とりあえずは生徒全員に実習も兼ねて今度からは近くのダンジョンに連れていく予定だ。


魔術砲を彼ら彼女らも早く撃ちたいと思うので、平原のような広いダンジョンがいいだろう。自分の領に戻ったクロウは、自室で膨大な数の踏破済みダンジョンの中から広々としたエリアの多いダンジョンを探し始めた。


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