表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第二章 オリュンポス大陸
89/227

PvP踏破その2

次は攻撃魔法によるPvPだ。こちらは魔法使いと撃ち合うタイプで、先に攻撃魔法を当てた方の勝ちと言うシンプルなルールだ。場所も平原に固定されており、遮蔽のないフィールドでは純粋な魔法発動速度が問われるようだ。


最初の相手は土魔法を使う魔法使い、生成の早い土魔法に土の広がる平原ともなれば、こういうPvPではかなり優位だろう。だが<グランドメイジ>の職業に偽装したクロウの前では子供の砂遊びに等しく、初級風魔法である<風球>から不必要な魔法効果をすべて取り除いた自作の<風球>で、一瞬で結果が付いた。


8位まではこれで通じたが、7位のプレイヤーには<自動防壁生成>のアイテムを身に着けているようで、1秒経たずに発動したクロウの<風球>は相手に当たる5cm前で見えない壁に弾かれてあらぬ方向へ飛んで行った。


その後相手の魔法も飛んでくる、クロウも同じように常時<魔法防壁>があるので、魔法はクロウの前方1mで何かにぶつかり消滅した。


クロウは再び相手に<風球>をぶつけたが、またもや相手のアイテムに防がれれてしまう、相手の防壁は恐らく耐久力型の防壁だろう。つまり相手の相手の防壁の残りの耐久力を削り切ればいいわけだ。


「<風砲(ふうほう)>」


相手の魔法を防壁でかき消しつつ、クロウは風球より巨大な魔法陣をいくつか生成した。そこからポンと筒を手で叩いたような音と共に、大きな風の砲弾が飛び出した。相手は躱そうと横に飛んだが、地面に着弾した風砲は着弾地点を中心に無数のかまいたちを放ち、あっけなく相手は被弾した。


どんな防壁も風砲のかまいたちを防げず、防げたとしても直ぐに第2第3の風砲を打ち込む。風砲が通用するのは第3位までで、ついに第2位との試合が始まった。


「<風砲(ふうほう)>」

「<反風砲>」


クロウの魔法陣は風砲を発動する前に砕かれる。なるほど、<反魔法(カウンターマジック)>の使い手か。反魔法(カウンターマジック)はクロウが時たま魔法使い相手に行う手法でもあり、魔力やMPがあるプレイヤーや冒険者ならだれでも使える高等テクニックだ。自身の<知力>と<敏捷>を生かし、相手の生成した魔法陣の隙をついて魔法陣を瓦解させたり、詠唱途中に魔力を込めた詠唱を割り込ませ、魔法発動を阻害させたり、魔術使い殺しのテクニックの代表的な1つともいえる。


「面白い、ならば深淵(アビス)の一端をお見せしよう」


四の五の言わずにクロウは詠唱と魔法陣構成を同時に開始する。相手は見たことのない魔法陣と聞いたことのない言葉による詠唱に驚いたが、まずは魔法陣を砕こうと集中しだした。


深淵(アビス)

異世界の一つであり、黒い巨大な穴が広がるだけのまがまがしい世界。穴の中には下へ降りる階段と無数の異世界にモンスターがいるだけの世界だ。下に下れば下るほど強力なモンスターが生息しており、それと同時に異世界の魔法やアイテムも存在する。


「クッソ!クッソ!なんだよあれ!」


相手は必死にクロウの深淵魔法を砕こうとしているが、隙も穴も見つからず、詠唱にも介入できず、詠唱を終えたクロウは魔法陣から黒い粘液をぼとりとこぼした。相手はそれを見ると、攻撃魔法ではないことに安堵したが、その粘液は一瞬で相手の顔に張り付き、顔の穴と言う穴から体内へ侵入した。相手は「!?」と言う驚きを表していたが、すぐさま白目をむいてポリゴンと化し、クロウの勝利のアナウンスが響いた。


臓物食い(オーガンイーター)


相手は倒れる前、体内の臓器が溶けて食われる痛みに耐えきれず、そのまま気絶して敗北したのだろう。だがこんなモンスターは深淵の第1階層に生息するモンスターであり、本当に一端でしかない。


1位の相手はやはりと言うか、久しぶりと言うか、ちゃちゃ丸だった。


「あっ!クロウ?久しぶり!」

「ちゃちゃ丸じゃん、おひさおひさ、南国どう?」

「もう最高~、ミナト領もすっかり強くなって、今ではもうずっと先生しているよ、ゲームの師弟システムのおかげか、自分の生徒がモンスターを倒すたびに私にも少し経験値が入るようで、今では毎日1000くらい何もせずに経験値が入ってくるよ」

「え、なにそれ知らない...」

「え?ヒノカちゃん達と師弟登録してないの?」

「してない...」

「あらら、もったいない」


少し2人は話し込んだが、ずっと話しているわけにもいかず、決闘開始の合図が響いた。


「魔導砲!」


ちゃちゃ丸の魔導砲は小型化されており、威力はそのまま、長いレールガンのような機械から電子音と共に飛んでくるようになった。相変わらず地形を塗り替える凶悪な威力を誇るが、以前のような長いチャージを必要としない今、より驚異的になっている。クロウも流石に正面から受け止めたくはないので、<短距離瞬間移動>、通称<ショートテレポート>で回避する。その間クロウも負けずと<フレイムランス>を次々と打ち込むが、ちゃちゃ丸の背後から更に出現した魔導砲レールガンに次々と打ち消されてしまった。


「ちゃちゃ丸!容赦しないよ!」

「ばっちこい!」


一言言ってクロウも攻撃を緩め、以前に使ったトマホークミサイルを発動する。遥か上空に出現させ、相手の注意を引くために引き続き<フレイムランス>を打ち込む。


ちゃちゃ丸が上空の脅威に気が付いたときはもう遅く、自由落下の影響を受け、どんどんと加速したトマホークミサイルはちゃちゃ丸の頭上で10本の魔導砲レールガンに攻撃され、その場で爆発を引き起こした。ちゃちゃ丸はたたのミサイル攻撃だと思っていたらしいが、本当に恐ろしいのは爆発してだ。そうして再びクロウは目をつぶると、再び待合室に戻っていた。


「なにあれ!もう核兵器じゃん!」


ちゃちゃ丸からをメッセージを確認すると同時に、クロウは自分が魔法PvP1位になっていることを確認した。魔法PvP報酬は好きな魔法を書き込める魔導書1冊と100万金貨。この魔導書はいわゆる使用した瞬間100%Lv差関係なく使用できるようになる魔道具で、これさえあれば図書館からクラスⅩの魔法を書き写し、自分に使用すれば強力な切り札となるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ