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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第二章 オリュンポス大陸
88/227

PvP踏破その1

***


場所:小型廃墟

制限:同レベル、魔法無、スキル有

賭け:なし

勝利条件:HP0もしくはどちらか一方の降伏


***


クロウは承諾すると、直ぐに小型廃墟へ転移される。対戦相手の名前は...伏せておこう。結果から言えば瞬殺だった。相手は短剣使いの盗賊、廃墟の中では高所の登って空中から奇襲を狙っていたようだが、<潜伏>スキルを持つクロウ相手には意味がなく、後ろから<弱点特攻><急所直撃><捨て身の一撃>を発動したクロウに1撃でHP0にされ、あえなく終了。


同じ条件でもすぐに何回かマッチしたが、短剣使いや短剣の魔法剣士、盗賊などなど、誰も彼も1撃で終了だった。


時々同じく暗殺者の職業とマッチするが、<潜伏>や<隠密>のスキルLvがクロウよりも低いため、直ぐにバレてしまい、すんなりとクロウは短剣PvP10位内にランキングインした。その後、第10位にマッチを申請する。相手もすぐに承諾した。対戦相手は双短剣使いと言う特殊な職業だ。ただの短剣両手持ちではなく、両手それぞれ独立した剣戟の軌道で攻撃を繰り出すことができるらしい。


「決闘開始」


条件はずっと変わらず、クロウはあえて<隠密>や<潜伏>をせずに、正面から戦うことにした。


双蛇双剣(そうじゃそうけん)


相手はスキルを発動すると、双短剣を蛇のように這わせながら下から斬りかかってきた。右手で足を狙ってきたかと思うと、左手は首を突き刺そうと襲い掛かってくる。上を防げば下への攻撃、上下を防げば相手は腹部に蹴りを入れてくる。なるほど確かに厄介だ。


「<影踏み>」


隙をついてクロウは相手の影を踏む。相手は動きをピタリと止めた。


「<影縫い>」


すぐさま次のスキルへと繋げる。これで相手は影がクロウの足から離れない限り、動くことはできない。


「<弱点特攻><急所直撃><捨て身の一撃>」


ぶすりと相手の首に短剣を差し込み、クロウは勝利した。


3位までは誰もこのコンボを突破できず、クロウはPvP報酬を数えながら2位への申請を出した。


2位の相手は職業<武器大師(ウェポンマスター)・短剣>

たった1種の武器を熟練度999になるまで使い込んだプレイヤーのみ着くことができる職業。ありとあらゆる短剣スキルを習得できるこの職業でPvP2位まで勝ち上がった相手に不足はない。ないが、


「<完全隠蔽>」


マスターアサシンのスキルは持ってないようだ。


「短剣PvP1位争奪戦が始まります。皆さま振るってご観戦なさってください」


1位のプレイヤーは同じく<武器大師・短剣>、だがこのプレイヤーには<風魔の加護>と言う祝福が付いており、<敏捷>と<筋力>が40%上昇するチート級の祝福だ。


「<影踏み>」


同じようにクロウは相手の影を踏む。そのまま動けなくなった相手に一撃を加えようとしたが、


「<変り身>」


相手はどこからか丸太とすり替わった。影踏みも無効化されており、相手は何の躊躇もなく背中に短剣で突きを入れてきた。クロウは左手でもう1つ短剣を装備し、反転しながら相手の攻撃を弾く。恐らくだが、相手の変り身のスキルはポンポンと使えないはず、クロウは<痺れ息>のスキルを発動し、体勢を立て直そうとしている相手の顔に吹きかけた。すると相手はその場でぴくぴくしたまま動けなくなり、クロウは<急所突き>を発動して相手の心臓へ一突きを入れた。


そうしてクロウは短剣使い1位となり、これから随時短剣PvPの上位10名からPvPを申し込まれるようになった。


短剣PvP1位の報酬は100万金貨か好きな属性を付与できる短剣2本、クロウは迷わず好きな属性を付与できる短剣2本を選択した。


次のPvPは何にしようか選ぶクロウ、今の所興味あるのは魔法威力と魔杖とかの魔法のPvP、それと召喚獣を競う召喚術師(サモナー)、ギルド戦規模のPvPも面白そうだ。


ひとまずは魔法威力を競い合うPvP会場に向かう。ここの会場は人と競うと言ってもプレイヤー同士で打ち合うわけではなく、絶対に壊れないと噂の的(耐久力999999999)に打ち込んだ魔法ダメージを競うものだ。遠距離魔法のみ許されており、アイテムでブーストしてもよし、どんな武器をしようしてもよしと言うあらゆる手を使って自分の持てる最強の魔法の1撃を競い合うと言う何とも心躍る競技だ。


早速魔法使いに偽装して、と言うか本来の姿だが、エントリーする。直ぐに空いた部屋が見つかり、クロウは白い案山子がいるだけの部屋に転送された。早速衛星兵器を使おうと思ったが、


「目標探知不能、探知不能、目標を再設定してください」


と言われた。どうやらどこか異次元の中にいるようだ。仕方ないのでクロウは自力で衛星兵器レベルの魔術を作ることにした。


「クラスⅩ大規模オリジナル戦略魔術、<トマホークミサイル>起動、<威力上昇LvⅩ><威力超上昇LvⅩ><使用MP増加LvⅩ><爆発強化LvⅩ><魔力強化LvⅩ>...」


のべ5分、クロウは自身の背後で出現したミサイルに数々の魔法陣を通し、次々とバフをかけていく。

更にそこから魔法陣を立体化させ、高位の<魔導強化>を加えていく。


更に5分後、ようやくバフをかけ終えた背後のミサイルはぶるぶると震えだし、今にも爆発しそうになっている。クロウは手を的にかざすと、「バン」と子供のごっこ遊びのような声を出し、ミサイルを的に撃ちだした。一瞬で的に当たったミサイルは、クロウですら目を閉ざすようなまばゆい白光を発し、次に目を開けた時、クロウはいつのまにか待合室に戻っていた。


何が起こったかわからないクロウであったが、魔法威力ランキング1位にクロウの名前と共に999999999の結果が表示されているのを確認すると、安心して次の会場に向かった。


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