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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第二章 オリュンポス大陸
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燕州旅行と大宣言

ハイデマリード城の自宅で、クロウは次の行先を考えていた。洋州に行くのもいいし、北の燕州に行くのもありだ。ゆっくりと天空城を動かしながらクロウは榛国の更新した全域マップを眺めていると、久しく運営から全大陸へ告知が響いた。


<プレイヤーが5000万人を超えました、運営から感謝のプレゼントを皆様へ贈ります!>


クロウはアイテムボックスを開くと、金貨100枚と、好きなスキルを1段階だけ上げられるスキルの書が1冊入っていた。続けて運営からの告知その2が発表される。


<来週の木曜日、大型アプデが開始します。それと当時に()()()へポータルが開かれます。こうご期待ください>


「お、異世界か」


時空間魔法を手に入れ、あらゆる場所へ自由に行き来できるようになったクロウは既に異世界で暴れまわっており、精霊界や魔界、地獄界など既に数多くの世界に行ったことがある。クロウの時は時間の流れの差を生かして気にせずに遊びまわれたが、恐らく運営の介入により、時間差によるメリットは強制消去されるだろう。


まあいけるとしてもどうせ安全な精霊界や獣人界、海底界くらいなので、特に気にしはしない。クロウは考えた結果、北の燕州に向かうことにした。


***


燕州首都<藤苑(とうえん)

鉄雲屠が均した3国を統一し、新しく設立した州。自然を重きに置いた都市開発をしており、大きな滝や荘厳な山脈、長閑な農地が広がった平和そのものである。誰もが数年前まで少数の貴族に支配されていた国とは思えないだろう


***


藤苑に降り立った2人、再開発は済んだものの、今だ人口が不足しており、燕州はよく言えば閑散、悪く言えばがらんとしていた。首都に降り立った途端、感じたのは自然。山の中を開発したのか、周囲は綺麗な木々に囲まれ、どこからか聞こえてくる滝と川が周囲に心地よい音を響かせていた。


「ご主人!すっごく気持ちいいね!」


鑑定してみると、なぜか2人とも<自然の恵み>と言うバフがかかっている。全ステータス10%向上。破格のバフだ。そのまま2人は近くにある無人の山中茶亭に行き、クロウはそこで働いている番頭にウーロン茶とほうじ茶を注文すると、枝垂れ柳に囲まれた小さな滝に面した席に座り、窓を開けてゆっくりと景色を堪能した。数分後、クロウはウーロン茶を、クロはほうじ茶を飲み、ホッと一息つく。番頭さんはクロウ達は初めて来た客だと言い、縁起のいい手作りの大福餅を2つ持ってきてくれた。2人は礼を言い、クロウは抹茶味の大福、クロは苺味の大福にかぶりついた。


「ご主人!すっごくおいしいねこれ!」


もっちりとした大福に程よい甘さの餡子、クロの抹茶の中には小豆も入っており、これ一つで150%の満足感をもたらす。クロも口元にクリームを付けながら元気に大福を頬張っており、気になって再び鑑定すると、<運気向上LvⅡ>が付いていた。こちらは流石に時間制限付きだが、8時間と時間は長く、クロウは番頭が料理スキルを極めた伝説の隠れたシェフではないかと疑いだした。急いでクロウは<戦乙女達>のアマネ達にメッセージを送って連絡する。


「了解、ちょうどメンバーの旅行先に困ってた。今度そっちに行く」


アマネから肯定的な返信が来た。ならば彼女達のためにも隠れた名所を探しに行かなければ。2人は少し多めにお代を払った後、無料配布していた紙の名所マップを自分のマップ機能にアップロードし、クロウは早速マップ上に記された名所に向かう。綺麗な観光スポットも美味しい名店も堪能し尽くし、メモに記しておく。その日の晩、燕州の遊びつくした2人はハイデマリード城に戻り、クロは風呂へ、クロウは今日1日中遊びつくしたメモをアマネに送った。その後、風呂を済ましたクロは暖炉の前に座るクロを抱きかかえると、近くのブランケットを彼女の被せ、丸まったクロを猫のように撫でながら共に眠りについた。


翌日朝、ハイデマリード城はゆっくりと紫榛宮の頂上にたどり着いた。クロウとクロは紫榛宮に降り立つと、国父の令札を見せ、アベリーとナベリーに会いに行った。


「お久しぶりです先生」


アベリーとナベリーは共にクロウに一礼する。


「おう、久しぶり、今日は全国に言いたいことがあってな。暫く実家に戻ってなかったから、そっちに戻る前に色々としておきたくて。()()()、まだある?」

「もちろんです。こちらへ」


ナベリーは近くの者に言いつけると、クロウとクロを連れて更衣室に行った。30分後、国父帰還のための臨時朝廷会が開かれた。国父がいると聞いて、榛国創立時からのメンバーは大至急紫榛宮に集まった。四方軍全将軍、虎咆将軍、常勝将軍、毒舌卿、才媛、その他多くのメンバーが正装を着てやってきた。その次にのろのろとやってきたのはこの数年新しく入ってきた大臣達。遅刻はしていないものの、先にやってきた開国大臣達に睨まれ、急いで然るべき場所に立つ。


「よく来た諸君、今日は偉大な我らの国父から全国へ伝えることがある。全員心して聞くように」


紫榛宮の謁見の間はわかりやすく作られており、朝廷会の会場も双帝が一番高い場所におり、そこから下に1段低い大きな踊り場に開国大臣達が、そこから更に下に1段下にここ最近採用された新人達が経つ踊り場がある。そしてアベリーとナベリーは後ろの隠された襖を開ける。そこには暖簾で隠された、双帝よりも高い段差があり、中には2人の人影はうっすらと写っていた。


「ハイデマリード城、顕現」


いつも使っている隠密魔法を解除する。その瞬間、紫榛宮の上空に巨大な天空城が出現した。


「投影魔法発動」


オリュンポス大陸を覆いかぶさるほど巨大な人影が紫榛宮から出現する。


「双帝アベリー、ナベリーの元、我らが榛国は永久の繁栄を謳歌するだろう。だが、覚えておけ、如何なる者も、榛国を破滅に追い込もうと思うならば、何者であろうとも我がその魂までも永劫の苦しみに晒されると」


双帝よりも煌びやかな服を着たクロウは、世にも恐ろしい顔でそういった。そうして全国に住まう国民、双帝、開国大臣含めてクロウに平伏すると、クロウは満足して魔法を解除した。その後、紫榛宮の中の人たちに別れを告げ、クロウはクロとハイデマリード城を紫榛宮の上に固定し、再び隠蔽したハイデマリード城で紫榛宮を守るように言いつけると、長く戻っていなかったクロウ領の自宅に戻ることにした。

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