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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第二章 オリュンポス大陸
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新大陸で活動開始です

新大陸、現在では8つの王国が支配する巨大な大陸。聖王国以外にも7つの王国が存在するこの大陸は、そこに住まう人々には<オリュンポス大陸>と言われていた。対照的に、クロウやベルアルがいる大陸はアズガルド大陸と言われている。


「ベルアル、しばらく新大陸行きたいんだけど」

「!?」


現実世界でも某ウィルスは沈静化し、クロウはこれから昔のように会社に出勤するようになった。そして金曜日夜、クロウはいつものようにログインし、開口一番ベルアルにそう言った。


「なぜだ?」

「え、なんでって..新素材のため?」


ベルアルに言うか迷っているが、現在、期間限定イベントが開催されている。恐らく運営は新大陸で活動するプレイヤーが少なすぎたのか、<オリュンポス大陸で捕まえて>と言うイベントを開催した。てっきり何かの捕獲イベントかと思っていたら、新大陸でのモンスター討伐の際の獲得経験値上昇やドロップ品の品質と確率アップ、さらにはサブクエスト増加などなど、数多くの優遇が現在行われている。また、新大陸には数多くの他種族もおり、猫族やトカゲ族を始めとした獣人種やアインⅠ型を始めとする機械種などなど、ファンタジー世界の特徴たっぷりだ。


「そうか..」

「まあまあそう落ち込まないでベルアル」


新大陸と言っても、物理的に滅茶苦茶遠いのでポータルで移動しなければいけないだけで、同じ星の中にいるので衛星兵器も使えるし、<魔導通話機>も使用できる。


「暫くあっちにいると思うから、頑張って<魔導通話機>に慣れてくれ。まあ無理そうならいつものようにシャドー・スライムでもいいけど」


シャドー・スライムでの通信も悪くはないが、聞くときになぜかスライムは話し手の姿になってから話し出す。少し目立つんだよなぁとクロウは思った。通信水晶でもよかったが、通話機は登録した相手に直接かければいいので、水晶のように魔力を込めるとか、話したい相手を思い浮かべるだとかしなくともいいのは便利だ。


「じゃ、期間は長くなるけど、定期的に顔を出しに来るから、行ってきます」

「わかった、無事でな」

「おう、向こうでの拠点ができたらこっちに通じるポータル作っておくから、いつでも遊びに来てね、じゃ」


クロウも長い間ただベルアルの横でぼーっとしてたわけではない。エインヘリアルのさらなる改造や新型衛星兵器の打ち上げ、戦略級兵器の小型化やプレイヤースキル向上のための特訓、新魔法開発などをして腕を磨いていた。いつものように、南国領からポータルで新大陸に赴く。今回、クロウは新大陸を渡り歩く<傭兵>として活動する予定だ。職業は大剣使い。サブ職業は鍛冶師。称号は<一般傭兵>。冒険者と似たような業務をこなすが、ギルドは仲介せず、直接仕事を引き受けることができる。しくじれば報酬はないし、身分や安全の保障もないが、仲介料は天引きされないし、名声によっては膨大な報奨金が出ることもある。ハイリスクハイリターンな職業だ。クロウはひとまず転移ポータルのある施設から外へ出る。ここは確か、貿易都市<マイータ>だ。新大陸では珍しく、多種多様な種族がここに住んでおり、大陸中の商品や商業が存在するこの町は、大陸でもっとも発展した、闇も深い都市だといえる。奴隷を引き連れた人は普遍的に存在し、中には悪質な身売り契約なんていう裏契約も存在する。ゲーム上、そんな本物の奴隷のようなことがなぜできるのかわからないが、ゲームの穴をつく、いわゆるグリッチのような行いは根絶できないのが電子遊戯の難所ともいえるだろう。


傭兵斡旋場。

所謂ギルドのような場所だが、こっちは傭兵専門のギルドのような場所だ。普段は駆け出し傭兵のための小さな仕事や比較的安全で報酬も少ない、本当に腕試しのような依頼を斡旋している場所だ。そんな場所にクロウはやってきた。そして暇そうにしている窓口の人に声をかける。


「<一般傭兵>のクロウだ。仕事を斡旋してほしい。なんでもいい」

「カードをお預かりいたします」


窓口の人はカードを受け取り、読み込み用の魔法陣にかざすと、急いで奥へ誰かを呼びに行った。そして奥からなにやら偉そうな人が腰を低くしてやってきた。


「これはこれはクロウ様、よくぞお戻りになられました」

「???」


誰こいつ?全く印象にない。


「俺たちどこかで会った事あるか?」

「いえいえ、滅相もない、ただ私たちが一方的に知っているだけです」

「なんで?」

「現在、大陸最強と言われている傭兵ギルド<アルテマの集い>その中でも四英傑と言われる方々がおります。クロウ様は、彼らを育て上げたお方でしょう?」

「違うと思いますが?」


(いや知らない知らない、なんだよ四英傑とかアルテマの集いとか、俺こっちでそんなすごい人たちの師匠になるほどこっちの大陸でプレイしてないし)


「なるほど、彼らの言う通りでしたね」


目の前の男はまるでクロウが否定するのを事前に予想していたかのように話す。


「ではこちらの依頼を、名指し依頼です」


クロウは貰った依頼を見てみる。


---


依頼者:アルテマの集い

指名:<一般傭兵>クロウ

内容:マイータ地下ダンジョンの踏破

報酬金:3億金貨


---


「受けよう」


アホみたいな数の報酬金にクロウはあっさりと承諾した。億程度クロウ領なら数時間で稼げるが、貰えるものは貰っておくのがクロウの流儀。傭兵団<アルテマの集い>の本部の場所を教えてもらい、クロウは早速向かうことにした。

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