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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
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クロウの居らぬ間に

「セシリア女王、此度は魔王動乱を乗り切ったこと、おめでとうございます」


ベルクは南国の礼節に則り、女王の目の前で跪いて祝辞を述べた。


「貴方が勇者ヒノカですね。魔王討伐おめでとう」


ベルクは南国の礼節に則り、お辞儀をした。


「急な訪問失礼した。では」


ベルクはクロウに「外の馬車で待ってます」と<念話(テレパシー)>で伝え、一足先に晩餐会から立ち去った。晩餐会はセシリアとヒノカの締めの言葉を持って終了し、クロウは外でベルクと合流した。


「久しぶりベルク、何してたんだ最近?」


ベルクは馬車を走らせながらクロウに返事をする。


「お久しぶりですクロウさん、自分はべオスさんに連れられて北帝領の各地で魔獣討伐や開拓、それに技術開発に勤しんでいました」


ベルクはそう言いながら御者席の横に座っているクロウに自分の指輪を見せる。


「クロウさんのおかげで自分も専用エインヘリアル<冥凍龍>を手に入れました」


クロウはベルクの指輪のコラテラル・クリスタルにベルク専用のエインヘリアルが入っているのを確認する。恐らくはベルクの努力が認められ、ベルアルに貰ったんだろう。空飛ぶ冥府の凍龍を体現したその青藍のエインヘリアルには、弱者は近づくことすら叶わず、ただその場にいるだけで周囲の環境を永久凍土に変えていく。最強の龍種のエインヘリアルの一つだ。


「やるじゃん」


ベルクとクロウは親友のように拳を軽く突き合わせる。そしてついでにべオスの事も話し出した。


「最後に会ってから大分時間が経ってますからね。どこから話しましょうか、えーと、あの後自分とべオスさんはリョウマさんから剣術や刀術、近接格闘術や古代拳法も学びました。それから薬草学や心理学、金融学なども習い、クルーリの街をべオスさんと発展させました。自分はリョウマさんから習った格闘技術のおかげで警備隊長になり、べオスさんはリョウマさんから学んだ心理学や金融学のおかげで街をすごく発展させました。女帝様もそれを見て、自分とべオスさんを表彰し、他のいろいろな遅れている都市を発展させてほしいと言っていました。なので、いろいろな辺境の街の赴いて、べオスさんはその街の特徴を生かした発展を、自分は辺境防衛兵の訓練や狩りなどを教えていました。そんな感じでだいたい8割くらいの街を軌道に乗せた後、クロウさんが新しい鉱石を発見したじゃないですか、なんでクロウさんに貰った<冥凍鉄>や<獄凍鉄>での都市城塞化計画にべオスさんと参加しました。かなり多くの金が動く計画でしたが、空いていたクロウ領をべオスさんが管理してたんですよ。べオスさんは当初、驚愕ばかりで日に3回は顎が外れていたんすけど、時間をかけてクロウさんの作った機械や工場の仕組みを理解すると、あっという間に全力生産体制を整え、作り出した品々は人間大陸各地の王国に買いこまれ、クロウ領の生産する服や食べ物、高級品がブランド化し、高額な値段で数多く購入され、都市城塞化計画や新鉱石兵器開発の膨大な資金になりました」


ベルクが水を一口飲む。クロウは自分の知らないところで滅茶苦茶大きな計画が動いていた事に驚いた。いやまあ丸投げしたのは自分だから別に気にしていないが。


「そこから辺境の街とかは蛮族や他国と何度か小競り合いがあったんですけど、既に新鉱石で城壁を覆っていたので、敵は近づくだけで凍死するし、魔法砲撃も近づくだけで霧散するか凍って砕けるし、おかげで滅茶苦茶安全になりました。あとはそうですね、クルーリの街を改築するときに、敵が攻め込んできてたんで、べオスさんと作戦を立てて、住民を周囲の街に逃がして、どうせ建物も全て立派なものに作り替える予定ですし、あえて敵を入れて、建物ごと焼き払う作戦を立てましたね。無事に成功して、クルーリの街も今では滅茶苦茶立派になりましたよ。その後は着々と都市の改築が進み、全ての都市が城塞化した頃に、西部から突傑(とっけつ)族を名乗る蛮族が攻め込むようになっていましたね。幸い城塞化は既に終わっていたので、大きな被害はなかったですが、交通が不便になっていたので、どうにかしなければと考えていたころ、一緒に大規模な掃討戦を戦ったじゃないですか、おかげで超大きな西部の牧草地帯をまるまる入手して、全部農地にすれば一生飢餓に苦しむことも無くなるなー、って考えていたら、クロウさん達がまた新しい鉱石を発見したじゃないですか、あらゆる物体を収納できるクリスタルや、魔素を放出する鉱石に周囲から自動で魔素を吸収する鉱石とか、それからクロウさんは自分の研究室に籠るようになり、新兵器を作るぞー!って叫びながら設計図を書いては空中に向かって話し始めたり、急に工房にやってきて、独り言をぶつぶつ言いながら鍛冶を始めたり、はたから見たらクロウさんの気が狂ったんじゃないかと思ったんですけど、クロウさんができたー!って言ってぶっ倒れた時があったんですよ」


全く覚えていないクロウである。


「その時に、白い騎士と黒い騎士が出来上がってて、しかも中に人が乗れて、今とは違ってまだレバーとかで操作する必要があったんですけど、もうべオスさん含めて驚愕しちゃって、その後クロウさん達が試運転をしたり、核心技術である魔力炉の話とかをべオスさんとしてて、自分はさっぱりだったんで魔法の訓練したりしてました。その後はどうやら技術が足りないとかなんとかで、とりあえず小型化を目標にして、空飛ぶ機械を作ったりしてて、自分も驚きました。あとクロウさんが再び自分の研究室に籠りだして、暫くして出てきたら、急に空にポンポン機械を打ち始めて、これまたできたー!って言いながらぶっ倒れて、後々それが衛星兵器だって言う事を知ったんですけどね。その後、やっぱり諦められない!ってクロウさんが言い出して、白騎士黒騎士を元にまた新たなエインヘリアルを作り出して、確か2000機を超えたあたりから、クロウさんが急に、全てのエインヘリアルを起動してどこかへ持って行っちゃって、その後ホクホク顔で帰ってきては再び研究室に籠って、また倒れるんじゃないかと思っていたら、本を2冊執筆して、完成して原本を図書館に収納したじゃないですか、あの<魔導の全て>と<魔術理論と魔術術式の拡張性>の2冊。あれがなければ自分たちは一生クロウさんが何してるか理解できなかったです。今現在、北帝領の大学では技術職志望ならあの本を暗記理解するのは必然ともいわれ、学術界では世界を動かした本に堂々1位にランクインしてます」


恥ずかしい、機神に書けって言われた書いただけなのに、まさかこんなところで役に立っているとは


「今現在、現職の技術開発チームはあの2冊の本の写本を肌身離さずみんな持っていて、日夜、白騎士と黒騎士を解析してました。でもあの本のおかげであっという間にみんな解読し、おかげでエインヘリアルやエインヘリアルがもたらした技術により、巨大魔力炉を始めとしたより多くの衛星兵器、大陸間戦略級破壊兵器など、数多くの技術の元になりました。本当に全部クロウさんのおかげです」


ベルクは馬車から失礼と言いながら、クロウにぺこりと頭を下げた。クロウは慌てて頭を上げてくれと言う。好き勝手自分でやっていくことだ。感謝されるすべはないと思っている。


「最近ですと、クロウさんもより一層力をつけ、新たなに青白く冷たい炎である冥炎、地獄の業火のように荒れ狂うほどの熱さを持つ獄炎、この2つのほかに新たな魔術式や完全版賢者の石など、これらのアイテムにより以前は空想だけだったアイテムもほぼ全て作り出せるようになりました」


ベルクはそう言いながら、一本の槍を取り出した。青藍のその槍は冷たい冥気を纏い、ベルクが後方に放り投げても自動で手元に戻ってくる。


「これは<冥凍槍>って言って、クロウさんの発見した獄凍鉄を冥炎で打ち鍛えた槍です。自分の専用武器でもあり、これで氷白虎や冥凍龍を討伐しました」

「冥凍龍って野生もいるの?」


いつぞやの戦線で召喚した冥凍龍は戻したはずだが、もしや今の北帝領はそんな超生物まで出現するようになったのか?


「はい、もともと北部永久凍土の原生生物である凍龍が、長い時間、冥炎炉の近くにいたせいで、進化したようです。当初はなんとか使役しようとしましたが、誰の言う事も聞いてもらえず、女帝様に言われて退治しました。自分が着ていたあの鎧がその証です」

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