表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
60/227

勇者とクロウその6

この一か月間、ヒノカはと言うと、マイに連れられていつもの4人とマイの5人で各地のダンジョンの増援としてあちらこちらを行ったり来たりしていた。その間、4人もいろいろな事を学んだみたいで、長距離移動の辛さや野営、解体に油断や怠慢から来る絶体絶命のピンチなど、数々の経験から多くを学んだ彼女たちは、心なしか年齢以上に強くなっていた。


「久しぶり、ヒノカ」

「クロウさん!お久しぶりです!」


(え成長期?)


三日会わずば刮目してなんたらと言う言葉があったのを思い出した。奴隷売り場で出会ったときは身長120cmにも満たなかった彼女なのに、気づいたらあっという間に身長140cmを超えていた。年齢はまだまだ幼いはずなんだが、これも子供特有の成長の速さなのか。


「<鑑定>」


---

名前:ヒノカ

メイン職業:武器大師:短剣(勇者)

サブ職業:罠師

<ステータス>

Lv.62

HP:1980

MP:1800

筋力:65

体力:75

敏捷:94

精神:66

堅剛:62

知力:70

<スキル>

幻蝶乱舞

生活魔法

回復魔法LvⅣ

罠探知

罠作成

罠解除

(火蝶封訣)


<加護>

火神の加護

精霊蝶の加護


<呪い/祝福>

精霊蝶の祝福



火神の加護:火属性被ダメ-50%、火属性与ダメ+50%。熱耐性上昇

精霊蝶の加護:蝶の名を冠するスキル、魔法の効果が著しく上昇する。

精霊蝶の祝福:多種多様な蝶々を生み出すことかできる。蝶の名を冠するスキル、魔法を使用するとき、MP消費を著しく抑える。


---


(つっよ)


知らぬ間に加護2つと祝福1つを手に入れていた。まるで火蝶封訣のためと言わんばかりの火神の加護と精霊蝶の加護。身に着けている装備と武器もより良いものになっており、幻蝶乱舞に至っては既に大成していた。


「あっ、鑑定してます?」


彼女も当初に比べてずいぶん明るくなったようで、クロウも実娘が成長したような、そんな嬉しさが込み上げてきた。


「えへへ、どう?私強くなったでしょ?」

「おう、ヒノカすげぇ強くなったな」

「撫でて!」

「よしよし」


その後彼女は満足したようにどこかへ飛び出していった。回復魔法もクラスⅣになっており、恐らくエリアハイヒールまで習得しただろう。これなら教会へ行っても少なくとも司教クラスの扱いをされるはずだ。


さて、今回彼女たちを呼び戻したのは他でもない、魔王出現地点が特定できたからだ。現在、魔素は南国サウフォードの南方領域に集中している。2か月後にそこから魔王が出現するだろう。クロウは彼女たちをその環境に慣らすためにも、まずはマイやアマネ達も連れて魔王出現予定地点へ向かうことにした。


「うっ、なんですかここ」

「うえぇ、気分が悪くなるな」


立っているだけで魔素、つまりMPをがんがん吸い取られる環境下にいるため、常に体力をストローで吸い上げられているような精神的辛さが彼女たち4人を襲う。マイはと言うと、


「ふーん、こんなもんか」


と余裕な雰囲気だった。どうしてそんなに余裕なのかと聞くと、


「決闘場で見たあの悪魔より数百倍マシ」


と言った。あーあの魔術師殺しのエインヘリアルの事ね。どうやらマイもあの時クロウに負けんと降りてきた人の1人のようで、遠くから見てる分にはよかったけど、近距離まで近づくと、悪魔の機械に一瞬でMPを全て吸い取られ、おまけに事前に自分にかけていたバフ魔法も全て消えたという。


「あらゆる魔法を吸収できるようになってるからな。そりゃあね」

「あれ使えば魔王も殺せるんじゃないの?」

「もち」


そんな風に談笑していると、4人はついに立っていることも困難になり、その場に座り込んでしまった。マイはそんな4人を見て、すぐに切り替える。


「恐らく魔王が出現してもこの吸収状態は続くだろうな」

「だね」

「一旦ギルドハウスに戻るか」


マイは4人を軽々と持ち上げて、ギルドハウスに戻った。丁度アマネも戻ってきていたので、アマネにも簡単に挨拶をし、状況を伝える。


「なるほど、ではその環境に慣れる特訓が必要ね」


アマネはそういうと、先ほどまで特訓していた戦乙女達全員に向き直り、声を張る。


「今回、魔王と直接対峙するのは聖王国の勇者だけど、私たちは補佐役を任されているわ、だから私たちも長時間この環境下に晒されると思って、クロウ、お願い」


クロウは本当にいいのかと顔で聞くと、アマネはゆっくりとうなずいた。


魔王の心臓(デーモンコア)起動」


クロウは魔王の権能である2つめの心臓を構成し始めた。だが、あえて形成はせずに、吸収した魔素をMPに変換して再び魔素を吸収する。これにより、クロウは魔素を吸い取るだけのポンプになった。


吸い取る範囲は前方のみに指定しているので、後ろで座っているヒノカ達に影響は及ばないが、目の前の戦乙女達はそうはいかなかった。半分は気分の悪さからその場にへたり込み、半分は気持ち悪さから吐き、残ったメンバーは手に持った武器を杖にし、維持で立っていた。アマネも影響下にあるはずだが、どうやらマイとは違い、極めた<魔力操作>で体内の魔素が外に抜け出さないようにコントロールしているらしい。おかげで気持ち悪さも何もなく、さらには魔法も使える。クロウは様子を見て一度魔王の心臓(デーモンコア)を解除した。


「全員、魔王との戦いがどれだけ辛いものになるかわかった?今の貴方たちでは魔王の前で立っている事すら不可能だわ。だから今日から一か月、貴方達には毎日<魔力操作>の特訓をしてもらう。私のように完全に自分の魔素や魔力をコントロールできるまでね」

「「「はい!」」」


戦乙女達が声を揃えて返事をする。ヒノカたちはマイの方を見ると、マイもにっこり笑って、「当然、貴方達もよ」と言う事実を笑顔だけで泣きそうな4人組に伝えた。


そこから1か月、1週間おきにクロウに吸われては<魔力操作>の特訓に戻ると言う訓練を繰り返し、無事に1か月後には全員<魔力操作>が大成し、クロウに吸われている環境下でもいつもと変わらない模擬戦闘が行えるようになっていた。そして魔王復活まで残り1週間の時、聖王国からの勇者が南国サウフォードにやってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ