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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
56/227

勇者とクロウその2

---

名前:ヒノカ

メイン職業:(勇者)

サブ職業:村人

<ステータス>

Lv.2

HP:25/100

MP:30/50

筋力:4/9

体力:3/7

敏捷:3/6

精神:1/10

堅剛:2/8

知力:4/7

<スキル>

剣術:入門編

火蝶封訣(かちょうふうけつ)


<加護>


<呪い/祝福>

人体負荷の呪い:ステータスを大幅に引き下げる。

強衰弱の呪い:体が弱くなり、最終的に衰弱死する。

---


彼女のステータスを見たクロウは顔をしかめた。そしてさらに彼女に近づいてステータスをガン見する。括弧のついている部分は恐らく何かしらの原因で使用できない、発現していない現れ、だがまさか奴隷市場に未来の勇者がいるとは思っていなかった。いや、この様子だと、恐らく数日後に衰弱死する、つまり死亡予定の勇者というわけか。だが彼女の見たことのないスキルが気になる。未発現とはいえ、効果は見れるはずだ。


(<鑑定>)


火蝶封訣(かちょうふうけつ)焔御蝶(ほむらおちょう)の継承者のみが使える古代の呪術。火を纏った蝶を呼び出し、自由に行使する攻撃呪術であり焔系統の封印呪術でもある。


クロウはひっくり返りそうになった。とんでもない人材が見つかった。まだ子供とはいえ、彼女は公式の設定資料集にしかない、古代呪術の使い手の継承者だった。初代焔御蝶はクロウも呼び出せるし、後継者がいると知れば彼女も大喜びだろう。クロウは彼女の意思なんてお構いなしに、魔法剣士から商人に姿を変え、びっくりする彼女を他所に、鉄の檻がゆがむほどの力で彼女を檻ごと持ち上げ、急いで外へ向かった。金貨3枚、日本円にして3万円。それがヒノカの値段だった。奴隷商人に契約をヒノカに刻んでもらう。戦闘契約、いわゆる一緒に戦う契約だ。奴隷商人もこの少女に一体何の戦闘力があるか不思議に思っているが、彼らをお構いなしにクロウはヒノカは人混みのない所へ行き、南国行のポータルを開いた。


恵みの街<イリア>、南国に存在する街の一つで、いわゆる初心者用の街の一つだ。本当は久しぶりに<ベルガ>に行こうと思ったんだが、ベルガ行の飛行船も馬車もなく、もう既にベルガの街の様子も忘れてしまったので転移もできない。なのでクロウはヒノカを連れて<イリア>の街へ来た。小さな少女を連れてあちこち宿屋を探すクロウは正直他から見ると非常に怪しく。直ぐに街の衛兵がやってきた。


「すいません、少しお話よろしいですか?」

「あっはい」


かくかくしかじか、奴隷です。酷い顔をされたがゲーム上、つまり南国の法律上問題ないので彼らは何も言わずに持ち場に戻った。結局どこの宿も首を横に振ったので、南国にあるセシリアに貰った家に行くことにした。とりあえず長い時間檻に入れられていたようなので、風呂に入れる事にした。少女用の服もなく、とりあえず着替えとして適当なシャツを用意した。彼女ために簡単な食事を用意した。だが、食事を作り終えてもヒノカが風呂から上がってくる様子はなく、不思議に思って浴室の方へ向かうと、中から鳴き声が聞こえてきた。慌てたクロウは中に入ってみると、どうやらシャワーの使い方が分からなかったようで、仕方ないのでクロウはズボンと袖をまくり上げ、彼女に使い方を教える事にした。彼女を風呂に入れた後、一緒にご飯を食べる。今日のご飯は余り物で作ったパスタ。特に珍しいものでもないと思っているが、彼女は最初、その美味しさに年相応の笑みを浮かべていたが、食べているうちにボロボロと泣き出してしまった。どうすればいいか分からなかくなったクロウは慌てる事しかできなかった。


「クロウ!今日は来るの早かったじゃん!なにし...」


クロウが少女に自分の服を着せ、一緒にパスタを食べている。どこからなにをどうやって問い詰めようと考えていると、クロウが一足先に説明を始めた。


「なるほどね...少しその子からもお話を聞いてみようかしら」


クロウはセシリアが何か魔法を使うと思ったが、そんな事はなく、彼女はただヒノカを抱きしめて頭をなでているだけだった。ヒノカも彼女に抱かれ、堰を切ったように泣き出した。そうしてしばらくしてから彼女はゆっくりと話し出した。


「クロウさん、私を買ってくれてありがとうございます、私の名前はヒノカ、元々は蝶の里に住んでいました。でもある日、里に軍隊の人たちがやってきて....里を...」


なるほどなぁ、恐らく新大陸のどこかの国がヒノカの里の事を聞きつけて、攻め込んできたんだろう。


「軍隊の人は、みんな火の蝶々がなんとか言って、次々と里のみんなを..」


火蝶封訣(かちょうふうけつ)の恐ろしさを警戒したのか、それとも火蝶封訣(かちょうふうけつ)がこの世の残っていると何か不便な事があるのか。何かきなきな臭い匂いを感じた。それからもヒノカが自分の経歴を語ってくれた。クロウはこっそり<真贋検出>のスキルをしようしたが、全て本当のようだった。その後、セシリアに彼女に<解呪魔法>を使ってもらう。一度死んで天界に行ったおかげか、彼女の神聖魔法はクラスⅧになっていた。呪いが解けたヒノカは力が戻った事に驚き、そのまま嬉しそうに飛び上がってぴょんぴょんしたが、すぐに安心したせいか、倒れるように眠ってしまった。


「これからどうするのクロウ?パーティ組みたいとか言っていたけど、とんでもない子拾って来たね」

「知っているのか?」

「ええ、火蝶封訣(かちょうふうけつ)でしょう。昔、本で読んだことあるわ。妖王すら封印できる攻撃兼封印呪術、もしかして今回も異教徒達が?」

「その可能性はある、だけどまあ、まずはヒノカのLv上げが最優先だろ」

「それもそうね。でもいいの?貴方魔王でしょ?将来大きくなって封印されても知らないわよ?」

「いやまあそうだけど、たぶん魔王って俺じゃない魔王の事だから勇者の使命うんぬんかんぬんは大丈夫だと思う...」


言ってて天使焼き殺したり人工聖人殺したり、魔王認定されても何も文句言えなかった。とりあえずセシリアには誰か世話役を用意してくれと頼み、クロウは彼女を自分のベットで寝かせ、セシリアを見送り、自分もログアウトした。




---

名前:ヒノカ

メイン職業:(勇者)

サブ職業:村人

<ステータス>

Lv.2

HP:100

MP:50

筋力:9

体力:7

敏捷:6

精神:10

堅剛:8

知力:7

<スキル>

剣術:入門編

火蝶封訣(かちょうふうけつ)


<加護>


<呪い/祝福>


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