新イベント告知です
その後ちゃちゃ丸と帰り道で合流し、ちゃちゃ丸に第Ⅲ人工聖人を撃退した事も話した。恐らく教会派もこの事を知り、今後西部のシュレミー・チャーリー領から次々と人工聖人が反乱領に攻め込んでくるかもしれない。クロウは一つ、予防注射を打っておくことにした。
翌日、クロウは反乱領の中の少数精鋭を連れて、西部教会派の領域にやってきた。平和条約の東屋の一件、忘れてないぞシュレミー。やられたらやり返すのがクロウの信条だった。
「動くな」
西部教会派達がいる中央司令部に難なく侵入する。そして召喚獣と共にその場にいる全員に気づかれずに武器を突き付ける。幸い、チャーリーは前線にいるみたいで、ここにはいなかった。クロウはシュレミーを捕えている。
「何をしに来た、平和条約を結んだばかりだぞ」
「知ってるよ、別に命を取りに来たわけじゃない、ただやられたらやり返す質でな、召喚:<麻痺触手>」
司令部にいる全員の足元の召喚陣から黄色の粘液と分泌する赤紫の触手がうねりながら伸びてきた。
「な、なにをする気?」
「え?おしおき☆」
クロウは笑顔でそういうと麻痺触手でシュレミーを含めた司令部全員にお仕置きをした。麻痺触手の効果は強力な麻痺による拘束効果。Lv100以下の他の司令部メンバーはただ全身を襲う耐えがたい麻痺感に開かない口という凄惨なありさまだった。ダメージはないが精神的には酷いダメージだ。シュレミーはと言うと、
「くっ...うっ...くっ殺!」
Lvが高いので、麻痺効果は効きづらいが、触手による物理的な拘束もあいまって、彼女もなすすべなく拘束されていた。うーんこれ以上はこのゲームがR16になってしまう。30分後に自動で消滅するように設定し、全員このまま放置して色々バレる前に反乱領に帰る事にした。
それから暫くして、無事に緊急クエストは西部王国4分裂と言う結果と共に終了した。北部反乱領はミナト領、東部独立貴族領は代表人物であるヒューゴ領、南部と西部は南部教会領、西部教会領と改名した。
そうして北帝領に帰ったクロウはと言うと、ベルアルと今回の西部王国について話していた。
「どう?ベルアル、南国のセシリアはヒューゴ領を実質的な傀儡にしてるけど、ベルアルもミナト領を傀儡にしてみる?」
クロウとベルアルは西部王国の最新の勢力図と地図を見て、話を始めた。
「不要だ。傀儡など面倒ごとの避雷針にしかならない」
流石ベルアル、それもそうだ。クロウの大規模破壊兵器は人間大陸を8つ破壊してなお余りあるほど生産、配備しており、その他多くの防衛や文明レベルにおいて他の王国の2つ上の次元を行く。傀儡など作らなくとも、クロウが技術提供した大陸間魔導ミサイル1発で再び新しい地図を全国の国王に作らせる事も可能だ。
「してクロウ、いつ南国の女王を名で呼ぶほど親しくなった?」
「ん?」
流れ変わったな...もうトッププレイヤーの一人となったクロウをここまで焦らせるのはベルアルくらいしかいないだろう。
「あっいや、俺はずっと北帝領に属するからね」
それもそのはず、クロウ領は北帝領でしか思い切って魔導開発や魔法、魔術、魔道具開発ができない。1ミリも他国に行くメリットがない。
「そこではないのだが...まあいい」
西部王国の動乱のこの時期、北帝領はやはりあいも変わらず平和で、大きな戦争もないので、ベルアルの提案で、辺境防衛兵士を除く兵士達は北帝領のダンジョンや魔塔に向かっていた。そういえばどうしてクロウ以外のプレイヤーがやってこないのか調べてみたところ、どうやら現在北帝領には入国制限がかけられているんだとか。恐らく西部王国の一件だろうか。まあ北帝領はベルアルの領土なので、こればっかりはクロウも口が出せない。そうして暫らくベルアルと久しぶりにエインヘリアルで試合をしてり、北帝兵の魔法訓練をしたり、クロウ領で新しい酒を開発したり、面倒ごとから離れて楽しいゲームライフを送っていた。
4月、例のウィルスがついにクロウの会社にも襲い掛かり、クロウは暫く在宅ワークを強いられた。ある意味では長い通勤時間が無くなったので、それはそれでクロウのような重度のゲーマーには都合が良かった。今日から毎晩ゲームができると考えると、クロウはむしろラッキーくらいだと思った。1か月後、クロウは南部王国の聖セシリア学園に再びやってきていた。と言うのも、先の西部王国大反乱にて魔導砲を一つ入手したので、南国の魔法研究者や魔術研究者に研究を任せていたが、どうやら彼らもお手上げのようなので、魔導砲を持ってきた上、最高使用者をセシリアに上書きしたクロウが説明する事になった。
「いや、ちゃちゃ丸の方が良くね?」
なぜ開発者に聞かない。ミナト領のダンジョンでどうせ毎日魔法をぶっぱなしているんだ。開発者ならば意気揚々と教えてくれるだろう。確かに抑止力としてミナト領にいるのは大事だが、表立って攻め込んでくることももうないだろうし、裏でのこそこそはミナトが問題なく対応できているようだし。とりあえずミナト領からちゃちゃ丸を連れてきた。
「かくかくしかじかよろしくね」
「私の魔導砲を!?いいよ!何でも聞いて!」
ちゃちゃ丸には「南部王国の技術者たちが手も足も出ない、ちゃちゃ丸にしか教えられないと思うから頼んだ」みたいな感じで褒めちぎったらすんなり言う事を聞いてくれた。再び北帝領に戻り、ベルアルと魔法の研究をしていると、久しぶりに公式から新しいイベントの告知が発表された。
<妖王降臨>
どうやら1週間後に新大陸のはずれに新しい領域が出現するらしい。そこは妖王の領域と呼ばれ、妖怪と言うモンスターが出現する。その最深部に妖王と呼ばれるワールドボスが出現するらしい。新たな狩場として数多くのプレイヤーが訪れるだろう。また、イベント告知の最後には、妖王は新たに領土を広げる意思があるんだとか...




