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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
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西部王国大反乱その3

西部王国の東部と南国サウフォードの辺境地域は多くが準子爵や準男爵などの力と実績こそあるものの、中央貴族に毛嫌いされているか左遷された一代貴族が多く領土を持つ地域だ。セシリアも再編した密偵部隊をよくこの地域に派遣しており、クロウが何もしなくても、既に多くの実力がある一代貴族が南国に帰属する意思を示している。そこに丁度良く今回の反乱騒動が重なったので、セシリアも内密に彼らの独立を支援し、南国に帰属すれば爵位の保証と金銭面でも大きな支援をするという条件で交渉を済ませていた。


既に数多くの貴族が独立しており、彼らの住処には南国と独立した貴族たちの旗が立っていた。流石はセシリア、行動が早い。南国の旗が立っている貴族たちに会い、クロウは彼ら彼女らの必要なアイテムなどを渡しておいた。そして東部の魔導砲ももらいに行く。既に独立貴族たちが他勢力と戦っており、南国の国旗が入った服を着ておけば彼らは素直に通してくれた。誰も彼らが鹵獲した魔導砲の操作権を上書きできないため、すんなりとクロウは魔導砲を貰えた。東部の貴族たちが全て独立したのを確認し、セシリアの所へ向かい魔導砲を渡し、後はセシリアに任せた。


一旦北部の反乱軍本拠地に戻る。南部では既に教会派が蜂起しており、クロウ自らが行かなくても期待通りの結果になった。やはり西部王国の教会派は腐りきっていたようだ。さもなくば武装決起など、清廉潔白な教会ができるわけがないだろう。南部勢力も魔導砲は使えないが、どうやら封印を施しているようで、悪魔すら封じる教会の封印ならば、そう簡単に破られる事もないだろう。残りは西部。生き残った突傑族とのいざこざが残る西部をどうしようかクロウは迷っていた。ほっとけば恐らく一部の領土を突傑族に奪われるが北帝領やクロウ領ではないので別にほっといてもいいだろう。ほっといてもいいのだが、なんか気に食わないので西部に侵入して魔導砲を突傑族の方に向けておく。これで彼らもむやみには侵略してこないだろう。


これで西部王国の4大勢力は決まった。北部反乱領、東部独立貴族領、南部教会領、西部と中央の国王領。まだ完全に平和条約をそれぞれ結んだと言えないが、大きな石を盆水に投げ入れるほどの強力なプレイヤーが現れない限り、これ以上大きくそれぞれの領土が動くことがないだろう。そう思った矢先、南部教会領に<天使>シュレミーが加勢したと知らせが北部反乱領に入ってきた。同時に<移動要塞>チャーリーは国王派に加勢し、西部で突傑族と戦っているそうだ。東部の独立貴族領には<影武者>影丸が加勢し、西部王国派代表の<人間巨砲>ちゃちゃ丸はと言うと、


「あんたたちをここで吹き飛ばさない理由を教えて」


人間巨砲と言うからどれだけ恐ろしい存在かと思えば、丸メガネのツインテールロリっ子がやってきた。それだけならまるで恐れる事はないが、そのロリっ子の後ろに彼女が魔法で作り上げた魔導砲が三つこちらを向いて充填を開始している事は反乱領の本部にいる全員を震え上がらせた。だがちゃちゃ丸と同じプレイヤーとして、クロウは逆にちゃちゃ丸に一つ大事なことを尋ねた。


「今の自分の魔法に限界を感じてないか?」


ちゃちゃ丸が背後の空間から出現させている魔導砲と共にびくっと反応する。


「西部の国王は君におもいっきり魔法の研究を許したか?」


ちゃちゃ丸がうつむく。


「その強力な魔導砲、それより上の高みを目指したくはないか?ギルド<魔法威力愛好家>、彼らのように、君の好きな魔法を、好きなだけ研究したくないか」


ちゃちゃ丸の後ろの魔導砲が少しずつ空間へと引っ込んでいく。


「あんたたちは文句言わない?」


ミナト含めて全員が首を横に振る。設置するだけで蛮族を威圧できる魔導砲を同時に3つも操作できる上同時に充填できるほど膨大なMPを持つ魔法バカの少女の魔法に文句をつけるなど、火のついたダイナマイトにガソリンをかけるような行いだ。暫くして、ちゃちゃ丸はすんなりと魔導砲をしまい、年相応に大人しくなった。こうしてクロウは西部王国最強の戦力である<人間巨砲>ちゃちゃ丸を北部反乱領は手に入れた。ミナトの言う事は聞かないけれど、敵に回るよりはマシだ。そんな彼女が何をしているかと言うと、


「あははははは!クラスⅧ魔法<爆裂星球>!」

「バカバカおま!クラスⅧ魔法<豪流豪水>!」


反乱領の北部の広い平地にて、ちゃちゃ丸とクロウは魔法を撃ちあっていた。これも彼女が他の勢力の元へ逃げないようにするためのガス抜きだ。彼女はやはりと言うか、<魔導砲>と言う強大な力を抱えているにも関わらず、西部王国の国王はその力を恐れ、ずっと彼女を押さえつけていたと言う。なので逆にここでは思いっきり発散させてやれば、そのメリットが彼女を反乱領に留めるだろう。


だが、ずっとそういうわけにも行かず、ミナトの側近が話があると言ってちゃちゃ丸とクロウを呼びに来た。二人が戻ってきたのを見ると、ミナトが苦い顔をして他の人物たちと話をしていた。


「ああ、お帰り二人とも、少し状況が変わってね」


話によると国王派西部のチャーリーが南部教会派に加わり、教会派が西部王国の2分の1を占める事になった。しかも教会派が西部にある蛮族侵攻を食い止めていた魔導砲を同じく封印してしまった。クロウとミナトは非常にまずい状況になったとお互いに目を合わせたが、ちゃちゃ丸は全部吹き飛ばさない?と言っていたので、MPを固めて作った魔結晶のキャンディーでのんびりMP回復をしてもらいつつ、クロウとミナトの作戦会議を横で見ててもらう事にした。



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