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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
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西部王国大反乱その2

拠点に戻ったクロウは、速やかに奪った装備を反乱軍全員に渡す。国王派が使う優良な装備は、確実に反乱軍の力になるだろう。次にクロウが向かうのは反乱軍拠点の西部にある設置型魔導砲がある場所だ。未だ開発者であるプレイヤー、ちゃちゃ丸が戦線に加わった知らせはないが、この巨大な竜の首は致命的な脅威に変わりない。できればこれを持ち帰って使用者を上書き、それが無理なら破壊しなければいけない。


「こちらアルファ、聞こえるか司令」

「こちら司令、どうぞアルファ」

「我々は拠点近くの魔導砲の鹵獲もしくは破壊に向かう」

「了解した、魔導砲は我々にとって強大な脅威だ、頼んだぞ」


ミナトも魔導砲の脅威は理解しているようで、力強くクロウに頼み込んだ。


流石に西部王国の切り札、魔導砲が設置されている施設ともなれば警備は厳重で、なおかつ非常時と言うこともあり、さらに警備が増えている。だが<ニードルミキサー>が使えるクロウの相手にはならず、次々と警備員は倒れていった。だが精鋭なだけあって、異常を発見するとすぐに厳重警備体制に入り、熱探知魔石を含む装備もつけたが、残念クロウの本体は人間ではないため体温がない。手早く<ニードルミキサー>を打ち込み、警備員の装備と武器も剝ぎ取れるだけ剥ぎ取ってアイテムボックスに入れ、あっという間に魔導砲の近くにやってきた。


魔導砲の近くには一人の青年が立っていた。上質なモンスターの外套をかぶり、指にはいくつか魔法を増幅させる指輪を嵌め、手にはエルダートレントで作ったであろう魔杖を持っている。目をつぶったまま立っているが、彼に隙は無く、試しに<ニードルミキサー>を打ち込んでみたが、あっさりと躱された。


「おや?侵入者さん?姿が見せませんが」


目を見開いていないのに、侵入者がいることと、魔法を躱せることから、恐らく<魔力感知>を極限まで鍛えた魔法使いだということがわかる。詠唱、魔法陣ともに試したが、やはり難なく躱されてしまった。本当に文字通り<魔力>が見えるタイプなのかもしれない。


「おかしいですね、生き物のならどれだけ小さかろうとも体温があるはずですが...あなた魔族ですか?」


目の前の男が両目を開く。左目には赤い宝石、右目には青い宝石が埋め込まれており、恐らく左目は熱探知魔石、、右目には魔力探知魔石なのだろう。そうなれば、クロウは容赦なく彼に接近した。<隠者の外套>と<なで猫の靴>で透明無音の急接近からの攻撃、クロウは避けられないと思ったが、彼はなんなくクロウの攻撃を躱すと、


「ここかな?」


とだけ言ってクロウの外套を素手で引き裂いた。隠者の外套が破壊された今、もう隠れる必要もなく、クロウは破れた外套と意味をなさない靴の装備を解除した。


「むむ?何か脱ぎましたね」


クロウは再び目の前の男に近接戦で仕掛けることにした。あまり時間をかけては国王派の準備が整ってしまうので、クロウは少し本気で戦うことにした。装備を変え、5つの宝石が埋められた手袋を両手に装備する。近接戦用の装備に切り替えたクロウは、魔術格闘師と言う職業に切り替える。そうして二人は再び戦闘を始めた。先ほどと同じく急接近をするクロウ、右手を引き締め、攻撃をする瞬間に左手の宝石の魔法を目の前で発動する。


「!?」


男は魔法を躱したが、近接攻撃を躱す余裕はなく、初めて手に持った魔杖でクロウの攻撃を防御した。

だがクロウは攻撃を止めず、近接攻撃と魔法攻撃を織り交ぜ、時には設置型魔法陣による時間差魔法も発動させ、目の前の男はあっという間にクロウに倒された。


「はぁ、はぁ、負けました」


男は折れた魔杖の横で大の字になって倒れていた。右腕と左足はあらぬ方向へ折れており、右目の青い宝石は砕け散った欠片しか残っていなかった。クロウはそんな彼を横目に、魔導砲の使用権を抹消、初期化するとアイテムボックスに仕舞った。


「なるほど、プレイヤーでしたか」


男はしょうがないねという口調でそういった。クロウは去り際、男の一本のポーションを渡した。男がそのポーションを飲むと、折れた腕と足、それから眼は一瞬で完治した。よくよく見ると、ポーションには張り紙が付いてあり、「楽しかった、またやろう」とだけ書いてあった。男はそれを見て、楽しそうに笑うと、目を閉じて再び魔杖を頼りに盲人のように歩き出した。


反乱軍拠点に戻ったクロウは、魔導砲を入手したとミナトに伝え、使用者最高権限をミナトに登録した。設置型を無理矢理引っぺがしたため、転がして運ぶわけにもいかず、本拠地の後方の安全な場所に国王派本拠地である宮殿に発射口を向けて固定、設置した。


第4武器庫の装備と魔導砲警備員の装備を手に入れた反乱軍の戦闘力はなかなかに驚異的で、クロウがミナト達と次の目標を相談しているうちに、あっという間に他の西部王国北部の拠点制圧は完了した。だが時間的にそろそろ日が昇る。日が昇ると国王派魔法使いの魔法砲撃が始まるだろう。反乱軍一人一人の魔法防御力は保証されているが、拠点が持つかわからない。


「大丈夫、僕らにはこれがある」


そういうと、ミナトはテーブルほどの高さの巨大な魔石を持ってきた。


「この魔石には<魔法防壁LvⅥ>が刻まれている。クロウ殿が武器庫から持ってきた魔力水晶も多くあるから、3週間ほどは一日中発動しても問題ない」


魔導砲による攻撃はクラスⅨかⅩ相当の攻撃だが、一番近くにある魔導砲は既に鹵獲した。魔導砲の開発者が直々に打ってこない限り、こちらも同じタイミングで宮殿に向けて撃てば共倒れになる。現代で言う所の核抑止力となり、魔導砲による一撃壊滅はほぼありえない。


クロウは現在の反乱軍の領域内に危険がないことをミナトと確認すると、自ら打って出ると言い、西部王国の東部、南国サウフォードと隣している地域に向かった。隠者の外套はもう壊れてしまったが、代わり既に日が出ているので、<影渡り>のスキルで一気に向かうことにした。

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