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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
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イベント二日目

西部王国、ギルド<魔法威力愛好家>

西部王国に存在する純粋な魔法使いしかいない魔法系ギルドの一つ。

数多くの高レベル魔法使いを持つこのギルドは、ギルド<マジックマニアック>の分家にして、純粋な魔法威力のみを追求する奇人の集まりだ。彼らの多くは魔法威力向上のためなら何をしても構わないという者が多く、魔法増幅の術式を自分の喉に刻んだり、自分の腕を切り落としてより魔力伝導率と威力のあがる白銀(ミスリル)の義手にしたりする狂人ぶりだ。彼らが今回のイベントに参加した理由もたった一つ、自分たちの魔法威力向上のためのアイテムなどを他の魔法ギルドから奪うためと、他のプレイヤーの魔法威力がどれだけ高いかを見るためだ。そんな彼らの願いはすぐに叶うことになるだろう。


「<魔力練成LvⅦ><魔力純化LvⅦ><魔法巨大化LvⅤ><威力上昇LvⅦ><魔法出力上昇LvⅦ><火属性魔法威力向上LvⅦ><火炎段階上昇LvⅥ>」


クロウはそんな狂人達のギルドハウスの前で詠唱を開始する。その他にもどんどんとクロウは増幅術式を使用していく。右腕に刻まれたマナタイト文にもMPを通し、6%起動する。その間、<魔法威力愛好家>のギルドの正面で魔法発動の準備を阻止するメンバーは誰一人おらず、ただ全員が恍惚とその凶暴な魔法が見たいみたいと言う己の欲望に縛られ、その場で目を輝かせて立っているだけだった。


「召喚:<青い太陽(ブルーサン)>」


そう言った瞬間、クロウの右手に、いや正確には頭上に青い太陽が出現した。空間から突如現れたその太陽は、ただその場に浮いているだけだった。だがそれだけでも、己に魔法防壁やその他強力な防壁魔法で防御しようしなかった<魔法威力愛好家>メンバーは、息をする間もなく炭化し、なんとか生き残ったメンバーも、一瞬で防壁魔法が破壊され、一息で同じように炭化した。クロウの<青い太陽(ブルーサン)>が<魔法威力愛好家>のギルドハウスを焼き払うのに数分もかからず、魔法を解除したとき、辺りは夜になったと錯覚するくらい暗くなった。このギルドの宝物からは特に欲しいものは見つからず、MPポーションをいくつか拝借した。だがせっかく来たんだしと思い、クロウは<威力上昇LvⅡ>の増幅術式が刻まれた羊皮紙を一枚入れておいた。


東部王国、ギルド<神田将軍府>

ギルド<松田幕府>傘下のギルドの一つで、東部王国に存在する二大武力ギルドのうちの一つだと言われている。数多くの流浪の武士を討伐し、彼らの持つユニークスキル、<剣道>や<忍術>などさまざまなスキルや特技をメンバー

は習得しており、近接、白兵戦においては比肩するもの無しと言われている。さらに流浪の武士と和解してからは、彼らの持つ<太刀>や<大太刀>などの特殊武器の製造方法も伝授され、<松田幕府>及び傘下ギルドの優位性を決定的なものにしていた。


「召喚:<堕武王:リョウマ>」


以前に召喚した時とは違い、スケルトンではなく、肉のついたグールのようになっていた。そして以前よりも凄みが増しているような気がする。せっかくなのでもう一人召喚することにした。


「召喚:<堕武王:ソウジ>」


こちらもリョウマと同じよなグールの剣士だが、心なしかリョウマより殺気に溢れている。

二人に中にいるものは全て殺すように指示を出し、ゆっくりとクロウは二人が切り開けた門から歩いて入っていくことにした。ギルド内の通路は既に血だらけになっており、どうやら武王の名を冠するリョウマとソウジとまともに打ち合える者はおらず、通路内はあっという間に人っ子一人いなくなっていた。この将軍府は結構大きいので、しばらく時間がかかりそうだなと思い、茶室で震えがっている一般NPCにお茶を入れてくださいと言い、震える彼女を横目に、ぼりぼりと茶菓子と彼女の入れたお茶を楽しんだ。


20分後、刀の血を払ったソウジが茶室にやってきたので、ついていくと<神田将軍府>の宝物庫に着いた。リョウマもそこで待っていたようで、開けてみると、少なくない金の延べ棒や小判、それからいくつかの特殊な刀の製造法に武士特有であろうスキル書が置いてあった。もちろん容赦なく金品は全て拝借し、刀の製造法もスキル書もすべていただいた。代わりと言っては何だが、以前に一念発起して作ったけど結局アイテムボックスでほこりをかぶっている<鬼武者>の鎧と装備一式を入れておいた。


南部王国、ギルド<ブレイドダンサーズ>

剣士が集まるこのギルドでは、日夜、技を鍛えようと打ち合いをするプレイヤーの音が途絶えなかった。そのおかげか、南部ギルドの中でも5本指に入るほどの実力を持つギルドで、NPCギルドの高難易度依頼も数多くこなし、ギルド数大陸1位の南部王国でも、ゆるぎない地位と実力を保っていた。彼らはさらなる強者と出会うため、未知の剣技を知るために、今回のギルド戦争に参加した。


「召喚:<堕剣聖:無天>」


そんな彼らの前で、クロウのそばに黒い深淵のような穴を開けた。そこから()()()()()()()()が現れた。最初、ブレイドダンサーズは剣を持たない剣士をみて、愚かと鼻で笑っていたが、その内の一人が無天の手刀で切り殺されると、直ぐに構えなおした。


「剣士とは、剣を持つものにあらず、剣を持ち、剣意を極め、いずれ己が剣となる。それこそが剣士であり、剣志だろう?」


そういうと、無天は両手を手刀の形にし、踊るように、空を飛ぶように、ブレイドダンサーの剣士達を次々を切り殺していった。剣を極め、剣になった無天に剣はいらず、ただ体を振るわせるだけで剣の()だけで人を殺せる。殺意と剣意の具現化ともいえるその方法は、あらゆる頑強な鎧を貫通し、敵の命を切り裂く。無形の剣。それが堕ちた剣の聖人、無天が<ブレイドダンサーズ>という剣術バカどもにくれてやる一つの道だった。

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