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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
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イベント一日目

クロウの簡単な調査の結果、やはり北帝領にいるプレイヤーはクロウだけだった。逆に他の王国には数多くのプレイヤーがおり、西部王国最大のギルドは<マジックマニアック>、歩く人間巨砲と言われたプレイヤー、ちゃちゃ丸が自ら鍛え上げた精鋭魔法使いが数多く所属しているギルドだ。南部王国最大のギルドは<南部王国防衛軍>と言う、南部王国の国王とも深い関係があるギルドで、ここには移動要塞と言われたプレイヤー、チャーリーがいた。東部最大のギルドは<松田幕府>と言われるギルドで、先のアプデで流浪の武士をまとめ上げ、一大勢力を築き上げた東部王国の実質的な支配者とも言える。他にも小さなギルドがさまざまおり、参加ギルド数が一番多いのは南部、ギルドの強さのランキングでは西部、ギルド単体の人数規模では東部はそれぞれ一位だ。


イベント当日、クロウは自分の小さなギルド部屋で待ってると運営ならぬ天の声が全ての大陸に轟いた。


「ただいまから、イベント<ギルド戦争>を開始します。ギルドへの保護措置が消失します、ご武運を」


短い告知音が響き、クロウは自分のギルドを覆っていた透明な防護壁が消えたのを見ると、


「<飛行(フライ)>」


飛行魔法を使ってまずは上空からそれぞれのギルドがどこにあるかを探す事にした。


「召喚<幽霊鳥(ゴーストバード)>」


空飛ぶクロウから、透明な大鷲が何体も飛び出してきた。そして飛び出た大鷲はそのまま人間大陸各地へと他のギルドの建物を探して飛んでいった。魔法でギルドの建物を隠した形跡もあったが、クロウの幽霊鳥(ゴーストバード)は問題なく見抜けるので、次々とマップに印が追加されていった。2時間後、放っていた大鷲達は全てクロウの元に帰ってきた。どうやら人間大陸に存在するギルドは全て見つかったようだ。以前に新大陸で使った<天雷>で全て破壊するのもいいけど、今回は普通のプレイヤーのように戦う事にした。


***


南部王国、ギルド<ラビットハウス>

新興ギルドの一つであり、平和でマイペースなプレイヤーが多くいるこのギルドは、最近、他のギルドに圧迫を受けていた。フィールドモンスターを奪われ、ダンジョン攻略でも横入りされたり、兎の家と言う名前のように平和主義な彼らには非常に厳しい状況になっていた。そこで彼らのギルド長は今回のイベントに参加する事を決定した。このままどんどん奪われ、廃れていくくらいなら、このイベントにギルドの命運を賭けたのだろう。だが彼らは直ぐにその決断を後悔する事になる。無慈悲な()()()がやってきたからだ。凍てつくような黒蒼の鎧を着て、腰ほどまで長さの、夥しい数の術式が刻まれた折り畳み式の魔杖を持つクロウと、傍には同じような装備をした者が4体、本人の高い背丈を超えるほどの巨大な大剣と大盾を持った者が二体、右手に特大剣、左手に歪な短剣を持った者が二体いた。


クロウは問答無用でラビットハウスのギルドのドアを蹴り開け、あたりを軽く見渡しその場にいるメンバーを確認し、コンと右手に持った杖で地面を小突くと、黒い球体の魔法壁がギルド全体を包んだ。ラビットハウスのギルドメンバーこと兎達はクロウの方を怯えながら見ると、クロウは既に後ろに控えていた者たちに指示を出すと、目を赤く光らせ、手あたり次第に近くの椅子やソファ、その他設備を破壊しながら、剣を抜いて周りの兎達に攻撃を始めた。ギルド長でもLv40に満たない兎達に、推定Lv400を超えるクロウの召喚獣と戦える実力があるはずもなく、兎達が悲鳴を上げながら殺されていく姿は、まるで屠殺場そのものだった。


数時間後、ギルド長たった一人を除いてラビットハウスのメンバーは皆殺され、南部王国の教会に蘇っている頃だろう。クロウはギルド長に宝物庫の場所を聞き、ギルド長に開けさせ、必要な物だけ、いわゆるクロウが持っていないスキル書やアイテムだけを奪った。クロウはこのまま立ち去ろうかと思ったが、横にいるギルド長を見て、一つのアイテムを渡す事にした。


「力が欲しいなら、この()を埋めろ。そして近くのホーンラビットの血と角を磨り潰した粉で育てろ。ホーンラビットが終わったら別のラビット系モンスターを倒してで同じことをしろ」


クロウはそれだけ言うと、システム音が「ギルド<ラビットハウス>が脱落しました」とだけ流れ、ラビットハウスは壊れたギルドハウスと共に安全地帯へ転移された。


西部王国、ギルド<エーデルワイズ>

西部王国では名の知れたギルドの一つで、ゲームが始まってから作られた古参ギルドの一つである。数多くの魔法使いがこのギルドに存在するが、このギルド内でも派閥があり、魔法使い派と魔法剣士派で派閥争いをしていた。エーデルワイズのギルド長も魔法使い派で、このイベントを機会に内部派閥を終わらせ、エーデルワイズの内部派閥を統一させようと思った。だが、その思いはクロウの登場により、全て台無しになった。ラビットハウスの時のように、しかし今回は魔法吸収壁でエーデルワイズの建物全体を包んだ。そして正門から新しく4体の護衛を召喚すると、まずは6体に全員殺すように指示を出した。残りの2体はクロウの護衛として控えさせる事にし、ゆっくりと宝物庫の居場所を探した。エーデルワイズのメンバー達は魔法を唱えようとしたが、MPを消費し、魔法を顕現させようとしか瞬間、魔素は霧散し、建物の外の壁に吸い込まれた。魔法使い派のメンバーは魔法が全く使えなくなり、ただただクロウの召喚獣達の剣の餌食になった。魔法剣士達はなんとか戦えるものの、ステータスでは全く相手にならず、気が付いたら魔術剣や魔剣もろとも真っ二つにされていた。エーデルワイズのギルドが血の紅色で染まり、メンバーが一人も居なくなった時、クロウもエーデルワイズの宝物庫を見つけた。いくつか知らない魔法アイテム、魔道具、スキルや魔法書があったので容赦なくもらっていく。それではなく、邪神の気配がするアイテムと、呪いのアイテムも見つけた。恐らくエーデルワイズの内部にも邪神信奉者がいたのだろう。クロウは容赦なく貰っていく事にした。邪神にも格があるが、これらのアイテムは<格Ⅰ>くらいのしょうもない邪神のアイテムだったので、クロウからしたら屁でもなかった。


「ギルド<エーデルワイズ>が脱落しました」


との告知が流れ、エーデルワイズも安全地帯へ転移された。


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