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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
第一章 アズガルド大陸
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新兵器の試運転です

あいも変わらずクロウは新魔導兵器の研究と解明をしていると、ベルアルから最近、南部王国で傭兵団が活動を開始したとの情報を渡された。詳しく読んでみるとどうやらプレイヤー達が独自に無敵傭兵団と言う名のギルドを立ちあげたらしい。それだけならよくある事なので、特に気にしなかったが、最近この傭兵団は横暴な略奪や放火など、NPC達に多大な被害を及ぼしている。ペトロデルの暗殺部隊を送ろうとしたが、なかなか隙がなく、手を出しずらいのだとか。ベルアルは、この傭兵団が北国領土内に入り次第、即刻抹殺してもよいと言われた。よくわからないけど悪事をしているいわゆるレッドカラーのプレイヤーをわからせればいいと言う事は分かった。クロウはベルアルに俺もプレイヤーだから南部に直接行ってくると言って、霊馬に乗ってできるだけ怖い雰囲気を醸し出そうと黒いローブを羽織って南部から初めて北部に向かった道を辿ってもう一度南部王国に戻る事にした。


「やべぇ!死神だ!」

「おい出たぞ!あの死神が!」

「野郎ども!逃げるぞ!」


南部辺境の草原にて、昼飯を食いながら休んでいた6人のプレイヤーを見つける。彼らもリザードやクルルバードに乗って逃げようとしていたが、霊馬クリスティーナより早く走れるわけものなく、


「召喚:<死神の鎌(リーパーズサイス)>」


クロウは即死効果を持つ死神の鎌を召喚した。青白い霊馬に乗った背の高い黒いローブを羽織った悪魔の死神が己の鎌を振るって罪を裁きに来る。ゲームとはいえ、なかなか恐ろしい体験になっただろう。クロウは倒したプレイヤーが落とした装備や所持金、それと()()()()を見て、一つ思った事がある。クロウはレッドプレイヤー、つまり悪意を持って故意殺人をいた事があるプレイヤー以外は殺した頃がない。逆を言えば、クロウのようなグリーンプレイヤー


「あれ?」


クロウが自分の頭上を確認すると、プレイヤーを表すはずのタグの色は緑色か赤色のはずだが、クロウは黒色になっていた。まあ特にペナルティーもないのでクロウは気にせず、レッドプレイヤーを狩る事にした。


ベルアルに伝書霊鳥で、暫く危険分子を狩ると言い、再び霊馬を走らせた。レッドプレイヤー、故意殺人のプレイヤーは3回他のプレイヤーに討伐されればイエローという、経過観察プレイヤーになり、レッドプレイヤーと違って街や拠点には入れるものの、一部の施設が使用不能になると言う。同時に、レッドプレイヤーは殺されるたびにレベルと所持金とスキルと装備のステータスの一部を3回、殺されるたびに失うと言う重いペナルティーを負う。同時にグリーンプレイヤーもレッドプレイヤーの討伐を推奨されており、クロウのような行いは運営にとって喜ばしい事である。


そこからクロウは3か月間、ひたすら街の近くやモンスターのいる野外フィールドを朝から晩までレッドプレイヤーを見つけてはその血まみれの鎌を振り、赤プレイヤーをかたっぱしから討伐していった。狩って狩って狩ってひたすら狩り続け、ついにはワールドチャットで霊馬に乗った死神がレッドプレイヤーを狩っているとの話が広まった。噂は南部から東部、西部まで走り回り、もうレッドプレイヤーが見つからなくなったあたりで、クロウは大量のレッドプレイヤーが落とした装備やスキル書を持ってペトロデルへ帰った。


「ベルアル~お土産だよ~」


レッドプレイヤーを狩りつくした報酬はまとめてベルアルに渡し、全てベルアルに丸投げする事にした。


そうして再び研究の日々に戻ると、ワールドチャットにギルド<南風開拓隊>からの告知が流れてきた。どうやら新しいワールドボスが見つかったようだ。場所は南部王国の西部、小さな砂地にワールドボス<主亡き銃剣士>が現れたと言う。ワールドボスともなれば、現存する数多くのプレイヤーギルドたちがこぞってその潤沢なドロップ品や特殊スキルを狙って討伐しに来る。クロウも自分の魔導兵器に乗ってステルスモードで南部王国西部のワールドボスの近くまでやってきた。ボスは既にどこかのギルドと戦っているようで、戦い方を見るに、銃とサーベルが一体化した特殊な武器を使うと言う点と、多種多様なトラップスキルや回避スキルも持っており、更に<クラスⅢ>の回復魔法も使えるようだ。正直ワールドボスなだけあってかなり厄介。だがクロウにとってかえって丁度良い実験体だった。クロウは戦っていたギルドメンバー達が撤退したのを見ると、クロウはゆっくりと魔導兵器を解除して、ボスの前に降り立った。どうやら攻撃しなければ向こうも攻撃してこないので、クロウは早速、試験機達を呼び出す事にした。


冥王の心臓(ハデスハート)起動」


クロウは自分の心臓に刻んだ術式の一つを起動した。その瞬間、周りの魔素を一瞬取り込んだと思うと、クロウから魔力炉のようなカンカンカンと言う魔素粒子分裂時の音が響き渡った。だが魔力炉と違い、分裂音は一定ではなく、秒針を刻むごとに反応音は早くなり、大きくなった。そして反応音がクロウの望む速度と反応量になった時、


「憑依召喚<機神>」


六道術の憑依術と召喚術の召喚と魔導、魔術式の組み合わせ、MPの元である魔素、その魔素を構成する魔粒子をぶつけ合い、分裂させる事で最終的に無限のMPとMP上限を手に入れる、そしてその無尽蔵のMPを持って不可能だと言われた神を召喚する事に成功した。六道術の神霊下ろしとは違う、本当に神を召喚できる術だ。残念ながら今回は肉体を用意していないので、クロウの身体に直接憑依させる事にした。


(興味深い肉体、今度また私を下ろす。可?不可?)

「可」

(感謝)


クロウはそのまま機神の権能の一つである、<完全完璧な機械操作>を行使する。

「専用型魔導装甲兵器Ⅰ号からⅤ号、そして汎用型と女帝型、その他諸々全部起動!」

ここぞとばかりにクロウは今まで研究していた魔導装甲兵器を全て起動した。


***


搭乗型人型魔導装甲兵器

新しい鉱石である魔王の心臓(デーモンコア)やコラテラル・クリスタル、マナベール鉱石と獄凍鉄をふんだんに使用した人が搭乗できる魔導兵器、魔王の心臓(デーモンコア)に動力生成、魔力炉兼エンジンの役割を持たせ、コラテラル・クリスタルで作った小さな異空間の中に魔導装甲兵器やその他の兵装を保管し、マナベール鉱石で魔王の心臓(デーモンコア)からMPを動力として出力する。簡単に言えばガ〇ダムとかアー〇ードコアだ。


***


クロウがそういうと、空から龍の嘶きのような音が聞こえてきた。天空から白い騎士、白い女帝、黒い龍騎士、紅い剣士に青い槍戦士、緑の修道女に黄色の魔導師、他にも無数の人型魔導兵器が飛んできた。音速を超える速度で飛んできた魔導兵器たちはクロウの近くに寄ると、クロウは全ての魔王の心臓(デーモンコア)を起動した。それぞれの魔導兵器の眼に光が宿る。白い騎士は6つの羽を顕現させ、剣を構え、黒い龍騎士は亜空間から巨大な両手剣を召喚し、紅い剣士は腰に履いた8本の剣の内、2本を抜き、青い槍戦士は右手に槍を持ち、姿勢を低く構え、緑の修道女は冥府に祈りを捧げると、他の全ての人型魔導兵器にバフと増幅祝福をかけた。そしてクロウも自分の専用機である冥府の支配者(アビスルーラー)を呼び出し、搭乗した。そのままクロウは()()()()()()()に戦闘指示を出した。


***


ワールドチャットにて


「おいおまいら!南部王国にあった<主亡き銃剣士>が討伐されてるぞ!」

「うせやろ?」

「まじまじ、深夜に討伐告知出てたぞ」

「うそやろ...ほんまや!」

「でもだれが?」

「わからん、最後に戦ってたのは<南風開拓隊>じゃなかったか?」

「でもあいつら撤退したはず」

「じゃあ誰が!?」

「東部の<神田将軍府>か?」

「西部の<マジックマニアック>か?」

「まさか...」

「ああ...」

()()()じゃないか」

「あいつか..」

「やっぱりな...」

なぜかワールドチャットで統一した声が上がった。

「魔王だろう...」

「おい馬鹿名前を出すなって...」

「恐らくだけど、少し前のレッドプレイヤー狩りも魔王がやってたってうわさだぜ」

「ああ、闇ギルドが9割滅ぶなんて、魔王以外ありえないだろう」

「おまいら、動画があるぞ」

「ま?」

ワールドチャットの動画のリンクを開いてみてみると、海外のプレイヤーが偶然クロウと<主亡き銃剣士>が戦っているところを録画しており、それを見た他のプレイヤー達は口を揃えてこう思った。

「いじめじゃん...」

元より大人数で倒すべきワールドボスに、いじめじゃんと言うのもおかしな話だが、魔導装甲兵器でボスを袋叩きにする様子は、本当に他のプレイヤー達を絶句させた。


***

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