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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼⅡ
221/227

リリィとシャルの修行

「え、荒修行って?」

「悪魔召喚:ウィンディゴ」


クロウの周囲に黒い召喚陣が出現し、そのから背の高いやつれた人間が出現した。精気の無いその顔からは、彼らが悪魔に類する邪悪な存在だと見て取れる。


「悪魔狩りだよ」


***


無数の悪魔が自身に襲い掛かる。彼の魔法陣からは止めどなく新たな悪魔が生み出され、私は必死に神聖魔法でそれらの悪魔を倒すしか方法が無かった。彼の呼び出す悪魔は容赦なく、まるで私に恨みがあるように激しい憎しみと怒りを向けて襲い掛かってきた。持てる限りの魔法で必死に抵抗する。魔力も気力も根性も尽きそうだが、確実に強くなっている事は分かる。


***


(神聖魔法ってどういう区分なんだろう)


クロウは神聖魔法がさっぱり使えないので、具体的に魔法の腕がどれだけ伸びたかは分からないが、全体的に強くなっている事は分かる。


「よし、日も暮れてきたし、リリィ以外はここで野宿していってね」

「え、私は?」

「リリィはセシリアの所で神聖魔法の訓練だな」

「あっ、わかりました」


クロウはポータルを開ける。リリィはそのポータルを潜るだけで王宮の入り口にたどり着いた。


***


「お帰りなさいませ!」

「お疲れ、お母様はいる?」

「は!セシリア様は執務室におられます!」


近くの近衛隊と軽く話をした後、私は浴室に直行した。今はアリアンナもいないので、他の侍女に着替えを持ってこさせる。


「ふぅ....」


身体中の疲労がとんでもない。彼の召喚した悪魔は()()である事は本能的に理解できる。彼らの殺意を踏み越え、生き残るために戦う事は楽じゃない。だが、私も確実に強くなっている事は実感できる。以前は光に触れなければ武器として使えなかったが、今では自らの身体に聖光を纏ったり、自らの魔力を聖光に変換したりすることができる。


彼曰く、あの聖者みたいでちょっと嫌


と言っていた。少し凹む。


***


「よし、みんな野宿はしたことあるのか?」

「多少なら」


フェリスとシャルは家族旅行の際に少しだけ、タタは無い、アリアンナはバッチリだと言っている。


「よし、じゃあ今日は全員改めてサバイバル訓練をしよう」


そう言いながら、クロウは全員を連れて近くの森林へとやってきた。


「中央王国の周囲は森林部が多いから、森でのサバイバル訓練が最適かな?もし機会があれば今度は北の極寒地や西部の砂漠地帯での訓練もしようね」


クロウは後ろを振り返ってみると、全員が近くの石に腰かけて休憩していた。


「あれ?」

「クロウ、ちょっと....休憩...」


山道には慣れていない彼女達であった。


その晩、なんとか川辺を見つけ、クロウの指示通り枝と木、それから葉っぱで簡単なテントを作り、小さなたき火を起こして全員眠りについていた。


ただ、クロウはまだ眠気が無かったので、1人少し離れた川辺で考え事をしていた。


「クロウ」

「ん?」


眠ったはずのシャルがクロウの後ろに立っていた。


「クロウ、私も、力が欲しい」

「.....」


彼女は大きな月明かりを背にクロウをまっすぐ見つめている。


「シャル、本気で言っているのか?」


正直シャルのエインヘリアルや武器は並みの魔王なら安々と倒せる。プレイヤーもクロウやアマネのような上位ランカーではない限り、いい勝負をすると思っている。


「ああ、先日の戦いで私はまだ弱いと気が付いた。私の気持ちは以前と変わらない。もっと強くなりたい」

「分かった」


クロウは鎖を30本ほど解除し、アリアンナに加護を与えた時の魔王モードではなく()()モードを起動する。


「天鎖解除、<魔帝再臨>」


何もない空間が歪曲する、クロウの背後の空間からは七色の光が出現し、同様の空間から無数の魔王クラスの霊体が出現して、クロウの前に跪く。


「魔帝の権能を持って世界に命ず。シャルロット・リヒテン・ロゼに魔王の権能を与えよ」


クロウがそう言ったのもつかの間、シャルの身体に変化が訪れる。彼女の身体へどんどんと魔素が集中していき、彼女の両手の甲に()()()が刻まれた。


「良きかな良きかな」


クロウは跪いている霊体達を帰らせ、シャルの魔王紋を満足げに眺める。自分に鎖をかけなおし、いつもの状態に戻ったクロウにシャルは手の甲の紋様について尋ねた。


「それは魔王紋、後天的に魔王の権能を手に入れた者に現れる紋章だよ」


クロウはそう言いながら自らの服をたくし上げる。クロウは右腹部の隠れた魔王紋に魔力を通すと、それは赤黒い光を伴って浮き上がった。


「シャルの紋様はそんなに複雑な形をしていないから、使える権能も少ないけど、悪魔化や神聖属性への不適応とかのデメリットも非常に少ないと思うよ」

「良かった、私はどんな権能を手に入れたんだ」

「<魔素操作>だけじゃないかな?でもそれを極めれば、<魔法強奪>とか言って呼ばれる最強の<反魔法>スキルになるよ」


シャルはあまり実感が無かったので、他のみんなが寝ている間に、こっそり2人で魔王権能の訓練をした

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