表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼⅡ
220/227

五人の修行内容

「魔王...」


シャルはしかめっ面でその言葉を吐き出す。


「なんか現存の魔王や以前の魔王の行動が悪すぎて悪名の代名詞になってるけど、本来の魔王は悪魔の王じゃなくて、魔法の王だからね?」


多分きっとそう、ゲームの設定資料集とかにはそう書いてあった。


「まあ魔王については追々話すとして、まずはシャルに聞こう」


クロウはシャルに向き直り、真剣な顔で尋ねる。


「シャル、魔に身を落とし、それを引き換えに魔の主となる覚悟はあるか?」

「.......」


シャルは俯いて何も言わない。まあ無理もない。魔王と言えば残虐非道な悪魔、そんな固定概念が拭いきれないままでは誰もが嫌がるだろう。


「まあ急ぐほどの話でもない、覚悟が決まるまで他の魔法を教えよう」


クロウはシャルにいくつかの付与魔法を教える。属性付与ではなく、あくまで装備の性能を高める<尖鋭化>や<裂傷付与>などの付与魔法を伝授した。


「よし、じゃあまずはアリアンナからな」


クロウは全員の属性を改めて確認した後、手始めに1人ずつへの特訓を始めた。


「アリアンナは土属性だったか」

「そうだ」

「ふむ、土属性は防御に優れている。リリィを守る上でも非常に適した属性でもある。それに土と言っても土壌や岩、石に限らず、鉱石類も土魔法に含まれる」


クロウはそう言いながら右手を地面にかざし、クラスⅡの<土槍>を発動した。


「クラスⅡの<土槍>、基本魔法レベルの魔法だが」


クロウは生成した土槍に魔力を注ぐ。すると、その槍はみるみると鈍い灰銀色に変化した。


「クラスⅤの<鉄槍>になる。クラスⅡの土槍を鉄槍に変換する際の魔力量は、直接クラスⅤの魔法を発動するよりもかなり少量で済む。そういうわけだアリアンナ、まずは様々な鉱石を出すから、それらの鉱石を解析、記憶していつでも使えるようにしてくれ」


クロウはアイテムボックスから賢者の英石を取り出し、数多くの鉱石を生み出す。鉄鉱石、鋼、白銀、銅、アダマンタイト、魔鉄、魔鋼などなど。数多くの鉱石を抱え、アリアンナは少し離れた場所でそれらの鉱石を分析しようとにらめっこを始めた。


「よし、じゃあ次はフェリス、フェリスは火属性だよな?」

「そうね」

「なら単純な破壊力を追求しよう」


クロウはクラスⅠの<火球>を右手に出現させる。


「フェリスもやってみてくれ」


フェリスも難なく火球を発動する。2人共赤い色の火球を召喚していたが、突如としてクロウの火球は黄色に変化した。


「できる?」


クロウは挑発するようにフェリスにそういう。フェリスは驚いたように自分の火球を凝視するが、全く変化するそぶりは見えない。


「火球と言うより、火炎全体に言える事だけど、必要以上の酸素と材料があれば、炎はその温度を増す。つまり魔素を酸素や易燃性の物体に変化して自らの火炎魔法に注げば....」


クロウはそう言いながらどんどんと火球の温度を上げる。黄色だった火球は白色に変化した。


「あっつ....」

「白色火炎弾」


クロウは白色まで温度が高まった火球を弾丸状に圧縮し、遠く離れた山に撃ちだす。暫く弾丸が飛行した後、山の天辺がまるで噴火したように消し飛んだ。視界で驚いたフェリスは、数秒後に遅れてやってきた衝撃派に再度驚く。


「そういうわけだ、温度と破壊力を高める方法を学んだら、最後にその魔杖に頼らない方法で火炎弾を撃ち出せる方法を体得しよう」

「分かったわ」


フェリスも同様に、少し離れた場所でまずは火球の威力を高める練習を始めた。


「次はタタ!」

「はい!」

「タタは木魔法だったかな?」

「はい、でも木と言うより自然?の方が近いかも」

「なら、タタには自然魔法と治癒、それから近接格闘を補助する魔法を教えようかな」


クロウはタタの前に手の平を翳す。


「タタ、手を乗せてくれ」

「えっ!?」

「あっ、いや、まずは肉体戦闘を向上させる魔法を伝授しようかなと」


クロウはタタの手から木属性の自然魔法である<自然肉体戦闘力向上>を発動する。


「おお、暖かいような、くすぐったいような」


タタは温泉に浸かったような、ほっこりした顔を浮かべていた。


「正直この魔法はなかなかチート染みた性能があるから、なるべく早く身に着けてね」

「ちーと?」

「あー、めっちゃ強くなれるってことだ」


---


<自然肉体戦闘力向上>

効果:毎秒全ステータス1%向上、HPMP自然回復量20%向上


---


効果は短いが、シンプルに強い。上限も何のないこの魔法は、自然魔法の中でもクラスⅨに匹敵する難易度を誇るが、タタならその血統もあり、直ぐに覚えられるだろう。


「それと戦闘を補助する木魔法をいくつか」


クロウは両手を地面にかざす。すると、地面を割くように無数が伸びて、そのままクロウの手にアイアンクローのように固定した。


「そういうわけだ、タタも練習してみてくれ」

「は、はい!」


タタもまずは<自然肉体戦闘力向上>から練習を始めた。


「リリィ、どうする?このままセシリアに学びに行くか、それとも俺と荒修行をするか、どっちがいい?」


1人で光魔法の練習をしていたリリィの元へクロウがやってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ