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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼⅡ
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魔法狂い達

魔導と魔王の導きを(マギアデモンダラ)。お初にお目にかかります。私は魔法狂い(マニアマジア)第五席のローン」

魔導と魔王の導きを(マギアデモンダラ)。私は第六席のムーンです」

「クロウだ」

「我らの王、生きとし生ける狂った魔の王。ここに貴方と相まみえられる幸運に感謝します」


白いコートのフードを下ろし、その素顔を露にする。ローンは顔の左側にその特徴的なタトゥーを、ムーンは顔の右側にその特徴的なタトゥーを入れている。所属を表すそのタトゥーの他に、彼らは両腕にいくつかの魔法攻撃力増加とMP消費量減少の魔術刻印を入れており、彼らはそんな刻印を恍惚とした表情で頬擦りしていた。


「狂った覚えはないし、お前たちの王でもないし、自ら魔の王を名乗ったつもりもない」

「我らの王、ご報告を、かの偽魔王、アルイタは神の祝福により西部蛮族領で蘇生を果たしましたが、我らに捕縛、脳みそを摘出され、人造魔力炉の供給源となっております」

「それで?」

「我らの王よ、貴方の為に魔王を始末したその功績を称え、どうか我らに尊き魔法の神髄の一端を....」

「なんで俺?」

「貴方様の実力は、我らが名誉主席達がその身を持って体験しております。どうかその魔法の神髄を...」


昔のギルド戦争イベントの件を思い出した。心当たりがあるな....


「何が見たいんだ?」

「なんでも構いません」

「なんでもいいって言われても....」


クロウは手の平に立体魔法陣を出現させた。


「立体魔法陣って何か分かる?」


ローンとムーンはその立体魔法陣を食い入るように見ている。


「通常の魔法陣は一面だけの限定性があるから、最大でもこれくらいの魔法しか生み出せないけど」


クロウはそう言いつつ掌にクラスⅨの<白星の終焉>と言う土火混合の爆裂魔法を生み出す。


「立体魔法陣はその魔法陣を相互に組み合わせる事で相互作用を引き起こすことができ、魔法の威力は数十倍、数百倍になる。だけど、その分魔法陣の並列起動が必要だし、相互作用ではなく属性や効果の反発作用を上手く打ち消せなければ、そのまま魔力暴走を引き起こして死ぬこともある。爆弾解除くらいの繊細さが必要だよ」


クロウはもう片方の手で立体起動したクラスⅨの<白星の終焉>を作り出した。通常の魔法陣で作り出した白星の終焉は橙色の太陽をサッカーボールほどのサイズまで圧縮したような見た目だが、立体魔法陣で生み出した方は煌々と直視できないほど、テニスボールほどの小型球体が浮かんでいる。


「基本は話した、人が来るからお前ら隙を見てここから逃げろよ?」


クロウはまずは通常魔法陣の白星の終焉を空に打ち上げる。大きな橙色と赤色の綺麗な花火が上がった。

次にクロウは立体魔法陣の白星の終焉を空に打ち上げる。高く空に打ちあがったテニスボールほどの球体は、1拍の隙を置いて、一瞬で爆発を引き起こした。あまりの威力に夜空の雲に穴が開き、周囲の建物のガラスは尽く割れ、人々は朝がやってきたと思い、次々と起き上がった。


「て、敵襲!」

「クロウ殿!大丈夫ですか!?」

「ああ、大丈夫だ。狂ったネズミがいたもんだから、魔法で追い払った。もういないはずだ」

「あ、ありがとうございます!すぐに砂王に報告します!」


ひと騒ぎあったものの、アルイタ討伐の祝賀会は無事に終了した。


***


「はぁ....はぁ....見たかムーン...」

「うぅ......はぁ.....見たよローン」


隠れ家に転移したローンとムーンの2人は、先ほどまでのクロウの立体魔法陣と、その魔法が生み出した威力に恍惚としていた。


「本部へ...戻ろう....はぁ....はぁ..早く研究しなきゃ」

「うふふふふふふ、あはははっはは!」


狂ったように歓喜に陥った2人は、隠れ家の装置からそのまま本部へと転移した。


***


「五席、六席、つけられたな」

「!?」


四席と三席は第一席のその言葉を聞いて、今日クロウから見聞きした内容を聞く間もなく、すぐさま魔法を展開した。


「<反魔法(アンチマギア)>」


展開した魔法は突如としてガラスのように砕け散った。魔法陣も同じようにまるで切り取られたようにバラバラになり、詠唱も突如として詠唱者が言葉を失ったり、声が途絶えたりしていた。


「まさか名誉主席?いや、ここまでの精度、まさか!?」


暗がりからクロウが顔を出す。夜行服に着替えたクロウは、漆黒の鴉のように周囲の人間を見渡している。


反魔法(アンチマギア)はお前のような魔法狂いにとってのいい勉強になるだろう。下手な事をするなよ?お前達お得意の魔法行使を封じる方法なら後6つほど残っている」


クロウは灰色の反魔法(アンチマギア)弾を空中に展開しつつ、近くの椅子にふてぶてしく座った。


「狂った魔法使い共め、今お前達を殺さない理由を一人ずつ言う時間をくれてやる」

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