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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼⅡ
211/227

アルイタ討伐戦その1

<爆裂王・イグニス><黄金騎士・アマネ><流浪の賢者・アカリ><鍛冶王・ホムラ><暗武・影丸><殲滅帝・ちゃちゃ丸><庇護王・シュレミー><護王・チャーリー><戦舞・パパイラッタ><修羅人・辰巳><冷血・セセラ><神棄・ゼクス><獣王・ペデロ><天女・キララ>


数えきれないほどの世界ランキング上位プレイヤーがこぞってクロセルべ西部に集まってきた。流石のカバネも堂々たる面々に驚き、もしかしてセシリアが全員呼んできたのではないかと聞いてみたら、どうやら()()()()が開催しているようで、それらの報酬目当てにプレイヤー達がやってきたようだ。もともとは緻密な作戦でも立てようかと思っていたカバネだが、プレイヤー達は殲滅数を競うそうなので、特に何も言わず、前線の大舞台を彼らに丸投げし、クロウには別動隊として直接アルイタと戦ってもらう作戦を立てた。


「任せろ」


戻ってきたクロウはそれだけ言うと、直ぐにカバネに背を向けて行動を開始した。


***


西部城塞の1つ、ジュレン、アルイタのいる居城でもあり、西部最大のオアシスでもある。先の大戦から数十年経った今、アルイタは西部蛮族を完全統一、そこから更に繁栄を繰り返し、20万人ほどだった自分の部族は今や百万を超える大群と化していた。それだけではなく、7人の息子達や3人の娘、10人の義理兄弟など、自らの血族も数多く準備した。それだけではなく、事前に邪神にも生贄を捧げており、禍々しいながらも今回の侵攻の為の邪神の加護も用意した。前線は既に大勝利しており、西部最大のオアシスの1つでもあるジュレンもこうして自らの物になった。


「唯一の懸念と言えば....」


息子を3人も殺した()()()()。その人物だけが彼を不安にさせた。


***


西部蛮族兵、アルイタの統治と訓練の元、重装騎馬を主力とする高速機動の部隊は、古代に国均しの悪魔と呼ばれた彼らを彷彿とさせる恐ろしさを醸し出していた。クロセルべ王国ほぼ全域が近未来的な技術を手に入れているとはいえ、蛮族兵達も同様の科学技術を学習している。魔法やスキルを効率良く効果的に彼ら古来の戦闘方法に組み込んだ彼らは、今や見る人誰もが恐れおののく存在と化していた。事実、クロセルべ王国が頼りにしていた防御防壁も彼らの重装騎兵の突撃数回であっけなく無効化されてしまい、元にこうしてジュレンも陥落した。


「報告!前線に多数の敵発見!恐らく強力なプレイヤーだと推定、既に壊滅的な損害を出しています」

「ふむ、<静かな世界(マギアゼロ)>を起動しろ。そしてその間に重装騎兵隊を両翼から突撃させろ」

「はっ!」


数多くのプレイヤーが前線で戦っている合間に、蛮族兵達は戦場の両翼に巨大な脈打つ球体の装置を運び込む。そうして準備が整った後、蛮族兵達はスイッチを起動すると、装置の上の球体が脈打つように収縮と膨張を繰り返した。数回鼓動すると、その球体は物凄い勢いで周囲の魔素を吸収、同時に装置から数本伸びたホースを魔導蛮族兵が背中に装備すると、物凄い勢いでプレイヤー達へ無際限の魔法攻撃を開始した。


魔王の特徴である魔素吸収、その効果をアイテムと技術の力によって擬似的に模倣した巨大な反魔力領域製造機、<機械仕掛けの魔心>


アルイタ達の切り札の1つであり、プレイヤー達を苦しめる大きな要因の1つでもある。実際、アルイタの作り上げたこの装置は非常に効果的であり、数多くの魔法使いをジョブに持つプレイヤーだけではなく、MPを消費してスキルを発動するスキルファイター達も非常に苦しい状況に陥った。


「重装騎兵の突撃が来るぞ!散開!散開!」


蛮族兵達の魔法砲撃が終わったと思うと、次は恐ろし勢いで突撃してくる無数の重装騎兵。MPが尽きた今、盾戦士や近衛兵のジョブを持つ彼らの防衛や防御スキルも使えず、一部のプレイヤーはただ散開するしかできなかった。重装騎兵の突撃が終わった後、アルイタの軽装騎兵がバラバラになったプレイヤー達を一人一人刈り取っていく。ランキング屈指のプレイヤー以外、まともに相手をする事も出来なかった。


「重装騎兵の突撃は終わった!近くのプレイヤーはすぐに集まれ!背を向けるな!馬の脚を狙え!奴らを叩き落とせ!」


防衛戦では右に出る者がいないチャーリーがすぐさま生き残ったプレイヤー達を指揮する。バラバラだったプレイヤー達はすぐに4人1組になり、何とか以前のように各個撃破されることは少なくなった。だが、重装騎兵と軽装騎兵が遠くへ引くと、再び魔法砲撃が再開、折角集まったプレイヤー達も、再び散らばってしまった。


「くっそ!影丸!パパイラッタ!お前ら両端の装置を破壊しに行けるか?」


チャーリーはMPに依存しないプレイヤー達に次々と装置破壊を頼んでみる。


「行ける、が、人が足りない」

「俺も行く」


顔に大きな逆さ十字の傷があるプレイヤーが影丸と共に行くと言った。グループチャットのアイコンから彼の名前はゼクスと分かる。


「スキル等は使えるのか?」

「大丈夫、俺は元々MPが無い」

「そうか、頼んだぞ」


チャーリーは戦場から彼らが装置へ向かったのを確認すると、急いでもう1つの装置へ誰か破壊に行けないかメンバーを探し出した。


「チャーリー、もう1つの装置は俺らが行く」


獅子のような巨大な四足歩行の獣人と、二頭四腕の赤肌の阿修羅のようなプレイヤーがチャーリーの傍にやってきた。


「がるる!任せろ」

「辰巳とペデロか、任せた!」


辰巳は豹に変身したペデロに乗ってもう1つの装置へと向かった。


「後は時間の問題か」


チャーリーは彼らが装置を破壊する間、どうやって蛮族兵達を食い止めようか思考を巡らせていた。

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