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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼⅡ
209/227

魔王討伐戦準備

「3...2....1....起動します」

「ぐぅうう!」


クロウ領にある12の魔力生成炉を同時起動する。MP量にして1億MPを日夜生成できるこの魔力炉1基の起動だけでも数百万のMPを吸収する。無尽のMP量を持つクロウでも、1度に数千万のMPを消費しては堪える。


「起動成功です。中央管理システム再起動、クロウ領防壁システム起動、北星領からの交信申請受諾、クロウ領の新式、旧式衛星兵器及び通信衛星再起動....」


ソラが次々と停止していた機能を再起動する。煌々と空高く燃え上る魔力炉は、青白い光を周囲に照らし、近未来的な防壁はクロウ領上空数百mすらカバーしていた。


「惑星間テレポート及び大規模移動用ワームホール以外の全機能修復及び再起動完了」

「クロウ」


ソラの再起動成功通知を聞いていると、いつの間にかクロウの横にプログラム投影されたベルアルが立っていた。


「ベルアルか、久しぶり、そっちはどう?」

「問題ない、それよりも、惑星間テレポートと大規模移動用のワームホールは修復できそうか?」

「うーん<スキャン>....」


後方の広場に破損した機械が2つ、既に修復ネフィリムとメンテナンスネフィリムをソラが派遣している。


「多分大丈夫、ソラが修理用ネフィリムを既に派遣してる。数日もすれば直るだろ」

「よし、直ったらまたそっちに行く。新しい惑星でいくつか未知の鉱石が見つかったんだが、今の北星領の技術では解明できない」

「マジか?マキナも?」

「ああ、彼女曰く専門外だと」

「それもそうだな」


マキナは機神、鉱石は専門外だ。


「分かった。直ったらこっちから連絡するよ、多分ソラに言えばなんとかなるよね?」

「お任せくださいマスター、既に北星領との交信は成功しております」

「おっけ、じゃあ早速ホルスとケンタウロスの生産を開始しよう」


クロウは12の魔力炉の内、8つを全て軍工場に向ける。クロウも残りはソラに任せ、ホルスを50万体、ケンタウロスを100万体製造するつもりだ。もちろんこれらの数のネフィリムを作るのにも大量の資源を消費するので、クロウは密かに魔力炉の内の1つを<賢者の英石>がある資源生成ラインに回し、大量生産を始めた。


それと同時に、クロウはセシリアのいる宮殿へ向かう。目的はセシリアにクロセルべでも爵位とクロウ領の自治統治権を要求するためだ。その代わりにクロセルべには毎年食料や資源を譲渡する契約でも結ぼうかと思ってる。


「良いよ!」


開口一番、セシリアは許可した。


「え?話聞いてた?」

「いや、良いと思うけど、他のみんなは?」


各省の大臣達も反対の意思は見受けられず、むしろ首を縦に振って賛同していた。


「よし、じゃあそう言うことで、後で細かい約束を決めようか」


話し合い、もといセシリアが再びクロウに晩食を強請った結果、当時ベルアルと結んだ時とあまり変わらない内容になった。


---

セシリアは旧クロウ領を含む北部のを自治統治権を全てクロウに与える。

セシリアは旧クロウ領へ干渉してはならない。

セシリアはいかなるクロウの所有物、人物を奪う事ができない。

クロウはクロセルべ王国存亡の危機に関する戦いには必ず参加しなければならない。

クロウは毎年一定量の資源をクロセルべ王国へ譲渡しなければならない。

---


要求される資源も基本的に北部でしか取れない貴金属や食料がおもなので、正直に言えばクロウに取っては何の問題もなかった。自領に戻った後、クロウはソラと共にホルスとケンタウロスの生産状況を確認する。既に半分ほどの生産が終わっており、残り半分も数日あれば生産が終了する予定だ。


「いいね、じゃあ俺はいくつか兵器を新設しようかな」


クロウはそう言うと、久しぶりにスケルトン・ビルダー達を大量召喚し、恐ろしい戦略兵器の開発を始めた。


***

神聖魔法耐性のある魔族、そんな彼らを打ち倒すための準備を整える。クロウは新しく地対地ミサイルを開発。それだけではなく、砂漠で迷わないように新しく衛星もいくつか打ち上げる。クロウ領を改造しているうちに、ソラの惑星間テレポート装置も修復完了したようで、久しぶりに帰ってきたベルアルもクロウにいくつかの外惑星鉱石を持って帰ってきた。その内の1つに食魔虫(しょくまちゅう)と言う外惑星生物を鉱石の中に見つけた。とある死んだ惑星で見つかった魔素を喰らう昆虫であり、ベルアルの探索隊曰く、その星はこの食魔虫の急速増加のせいで魔素が枯渇して死んだらしい。クロウはそんな虫を数匹だけ残してそれらの特性を調べる事にした。その結果、これらの昆虫は特定の魔素を追跡する機能があるようで、クロウはソラと共にその昆虫の追跡能力と追跡方法を解析、習得した。そのおかげで、クロウは自ら生み出した兵器に魔素追尾機能を付与。同時に周囲の魔力を喰らってエネルギーに変化する機能も追加。おかげでクロウはどこまでも相手を追跡するミサイルの開発に成功した。それから更に数か月、クロウ、ソラ、ベルアル共同のクロウ領兵器開発・改造は進んでいき、セシリアにも同様の小型魔素追尾ミサイルを譲渡していた。クロウ達の準備が終わる頃、王国西部からの急報が王宮に届き、クロウとアルイタの戦争が始まろうとしていた。


***

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