天仙郷黎明期その1
「?????」
詳細を押して詳しく自分のステータスについて調べてみる。
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名前:クロウ
修練段階:魔帝大成期(大帝期)
武力:天地開闢
精神力:無量大数
仙力:唯一無二
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魔帝大成:修仙が大成した証。天地同等かそれ以上の寿命と完全な不老不死を得る。
武力・天地開闢:天地を切り開くほどの武力を手に入れた証
精神力・無量大数:そこの無い深淵のような精神力を手に入れた証
仙力・唯一無二:比肩する者が無いほどの仙力を手に入れた証。天変地異を好きに引き起こせる。
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「心当たりが全くないのですが???」
寝て起きたらこの世界の大悪役になってたよ。どうなってんだこりゃ。このままここにはいられないのでとりあえず<次元移動>で久しぶりにクロセルべに帰ることにした。
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クロウのいない間、天仙郷では相も変わらず日が進んでいき、80万人の天仙氏もつつがなく暮らしていった。やがて各国の間でも天仙氏の噂は広がり、彼らを天の使いとして崇めることになった。それもそのはず、いきなり人間が雲を乗り物代わりに空からやってきて、死にかけの人間を丹薬1つ食べさせることで完全復活させられる存在など、仙人としか言いようがない。そうして各国の人間が天仙氏のメンバーに連れられて彼らも長い登山の末、天仙郷を訪れた。こうしてクロウの作り出した天仙郷と、各国の交流が生まれ、のちに一大修仙時代の幕開けとなるのであった。
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「ただいま~」
誰もいないが、一応天仙郷の自分の部屋に戻ってくる時についついそう言ってしまう。
「む?」
家の庭に、知らないうちに動物がいくつか住み着いているようだ。鶏のような鳥に、犬?やけに神々しいな....それに蛇もいる....
「よしよし」
クロウの近くに犬と鶏がやってきたので優しくなでる。そうして犬には魔獣の骨を、鶏には米を餌としてあげることにした。
「無明!」
以前よりも早く無明が現れる。あまり時間は経っていないが、既に仙人の第一歩である筑基は超えているようだ。
世界に溢れる気を吸収し、己の力とするのが練気
気を自由に吸収し、己の丹田を構築、仙人としての基礎を固めるのが筑基
丹田を固め終え、生物として一段階昇華したのが金丹
自ら鍛えた金丹を打ち破り、新しい肉体や生物として生まれ変わるのが元嬰
新しい自分が成長し、神に近しい存在に化ける化神
化神し、陽(実体)と陰(虚体)という2つ以上の自分を作り出せる練虚
2つの実体をそれぞれ極限まで鍛え上げ、統合する合体
仙人一歩手前の、天のルールを破る準備をする大乗
そして今まで鍛え上げた自らの肉体、仙法、道具、持てるものを全て使い、天の罰を乗り越える渡劫
天のルールを打ち破り、世界と次元を自由に行き来し、人の生死と事象も意のままにできる帝仙
クロウの小世界である天仙郷では、実力の目安がこのように細分化されていた。
「なるほど、無明お前意外と早いな、才能ある?」
「は!マスターに貰った修練法のおかげかと」
「なるほどね、それで、みんなどんな感じ?」
無明の話によれば、80万人のうち、それぞれ無明、涼、金の3人を筆頭に勢力は分割したようだ。
無明の元にいるのは約10万人、全員が影寒無心訣を修練しており、暗殺と諜報、それから化相に特化している。
涼の元には約20万人、全員が荒天開闢体を修練しており、比類なき肉体の強さと戦闘力を手に入れたようだ。
金の元には30万人、全員が陰陽心眼鋳を修練し、行商の傍ら、その洞察眼と読心術で大儲けしているらしい。
残った20万人は修練の才能が無く、世界に漂う気も感じられないので、以前と同じように行商や物流、更には定住など、平和に過ごしている。
「なるほどね、じゃあ俺もここで長閑に過ごしていようかな」
「では」
「おう、涼と金と無明はいつでもここに来ていいからね~」
再び空へ黒い霧が消えていく。クロウも長閑に自分の畑にどんな野菜や果物を植えようか考えながら、のんびりと自分のアイテムボックスを漁りだした。
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クロウの小世界はあらゆる生物を育む。それは人間も含めてだ。いつの間にかクロウの小世界には最初に連れてきた80万人以外の人間も生まれていた。彼らもクロウの連れてきた人と同じように天仙郷で凡人として、あるいは仙人として修業をするためにクロウの手下の元へやってきた。そうしてクロウがのんびりと日々を過ごしている頃、天仙郷と外の世界では大きな変革が生まれていた。
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「え?弟子?」
小世界内で10年、新世界で10日ほどが経ったくらいの時間、涼は無明と金を連れてクロウのいる霊峰の家にやってきた。