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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
諸国動乱編
186/227

幽燕公の日常その5

「まずは食料、芝﨑城の場合、相手は梧国からやって来ている手前、食料は全て前線である幾国内へ輸送されてくる。これを断てば相手の指揮は削がれ、戦力は2割減少すると計算してもいい。ではどうするべきか」

「はい!5千の騎兵を持って奇襲!幾国内で全て押収!」

「半分正解、だけど、まあ騎兵に必要な馬は今のように蛮族領や宇国からまだ購入できないから、この場合だと、<伏兵>と<焼き払い>がベストかな?」

「伏兵...」

「うん、この場合、幾国内の要所に火弓を持たせた兵を潜伏させ、食糧輸送隊を襲撃、食料に火をつけさえすればいいよ。川から遠く離れた場所を狙えばさらに効果倍増。自分されて嫌な事は相手も嫌。これ真理ね」

「もったいない」

「もったいない?いいやそんな事は無い、食料は燃やしてもまた作ればいい、種さえあればいくらでも作れる。だけど兵力には限りがあるし、そもそも防城戦の優位性がプレイヤーと言う存在で覆っている以上、兵力が劣っている今、一兵卒足りと失いたくはない。だから、ここは燃やしてある程度戦ってさっさと引くのが上々」

「確かに....」

「次は飲料水だね。これは俺が実際にやった事でもある。下剤だ。彼らは山の麓に陣地を構えており、対してこちらは山の上、近くを流れる川も1つしかない。だから、水を食い止めるか、下剤をドバドバ入れるか。どちらかだ」

「だがそんな事をしては城民が」

「薬と毒は紙一重、下痢効果のある薬草もあれば、下痢を止める効果の薬草もある」

「確かに....」

「次は営地問題だが、これは今回触れなかったので、特に気にしなくてもいいだろう」

「えっ」

「うん、また今度いい例があった時に話す、最後は睡眠」

「長期戦での睡眠不足は大敵」

「大正解だ香織、今回の場合だと、俺は夜襲を繰り返して相手の睡眠を妨害、それに加え下痢による腹痛もあって、20万の兵力は10万になったと言っても過言ではない」


クロウは自分の目の前にある模型をタップし始める。香織と彩花の目の前にある3Dシュミレーション模型もクロウの操作につられて変化していく。クロウはまず最初に芝﨑城の内の兵士5000名を選択、彼らを食料護送ルートの近くの森に隠し、それらの兵士に<火弓による襲撃><襲撃後、けん制しつつ撤退>と言う指示を送る。そうしてまずはシュミレーションを開始してみる。梧国の食料輸送隊が潜伏していた兵士達の範囲に十分に入り込むと、こちらがわの兵士は素早く火弓を食料を乗せた馬車に向かって放つ。護衛部隊は2000人ほどいたが、半分は必死に食料に着いた火を消そうと水を探しに、半分は火矢を放った伏兵に襲い掛かってきた。こちらの伏兵も適宜応戦しつつ、どんどんと森の奥へと撤退していく。こちらは400名ほどの損失を出したが、敵国の食料輸送隊は壊滅的な98%と言う損失を受けた。


「お、上手くいったようだね、さて、シュミレーション、つまり模倣している手前、1つ1つ見る事になるけど、本当の戦場では食料襲撃と下剤散布、それから夜襲は同時に行うべきだ。だから時間を巻き戻して他2つの指示も出しておこう」


クロウは模型のシュミレーション時間を巻き戻し、食料運送隊襲撃の指示をそのままに、クロウは10万の増援部隊の内、100名の弓兵に敵営地に潜伏、<夜襲>と<危険時散らばって撤退>と言う指示を出しておく。同時に城内から近くの山に潜って下剤の元となる薬草を取集させ、それらをすりつぶし、川に投げ入れる。


「本当は下剤の他にももっと強力な薬を入れたけど、今回は下剤だけにしておくよ」


そうして全ての指示を終えた後、実際に時間を進める。3D模型上では梧国兵士の士気と戦闘力指数がみるみると下がっていき、20万の大軍の最終的な戦闘力は40%にまで下がっていた。


「ここまで来たらこれはもう逆に攻め込んでいもいいと思う。プレイヤーがいなければね」


更に時間を進めていくと、梧国軍の中から大きな魔法陣が浮かび上がる。そうしてその魔法陣から大きな火球が生まれ、爆音と共に芝﨑城に致命的なダメージを与えた。


「と言う感じに、プレイヤーの存在1つで今までの作戦が全部無駄になるから、ホントプレイヤーっておかしいよね」


クロウはそういいつつ、2万人の兵士を崩れ落ちそうな城門から外へ出し、配置させる。同時にクロウは食料襲撃隊を敵軍の営地後方に配置し、合図を出す。すると、こちらからは2万の守城兵の他に5万の兵士が梧国の本舞台へ攻撃を開始した。彼らが戦いを開始すると、敵軍の両脇から夜襲をかけていた弓兵が敵軍後方へ矢を放ちだす。それにより、後方の兵士がばらばらになった所、食料襲撃隊が強襲。20万の兵士は空腹、寝不足、腹痛、下痢、脱水等の体調不良により、戦いが開始してから1時間もかからず降伏。先ほど魔法を使っていたプレイヤーも魔法で1万人ほどを倒したが、あっけなく乱戦の中で殺された。


シュミレーション結果は芝﨑城守城側の勝利。


「と言う事で、今日の授業のまとめ、<兵ではなく人を攻めよ>以上!お腹すいた!食事にしよう!」

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