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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
諸国動乱編
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幽燕公の日常その4

食後、クロウは2人に実際に食器洗浄機や浴場の使い方、それからクロウ特製の石鹸も使い方を教えた。


「じゃあ、2人共、夜になったら俺の部屋に来てくれ」

「え!?」

「え?」


なんで2人がそんなに驚いているか分からないが、まあとりあえず気にせず自分の部屋に戻る。そうして日が沈んだ頃、クロウの部屋のドアがノックされた。


「あっ、準備できた?じゃあ」


ドアを開けると、ネグリジェを着た彩花が恥ずかしそうに身体を腕で隠しながら、顔を真っ赤にして待っていた。


「か、香織様には手を出させない.....きょ、今日は私で我慢しろ」

「え?」

「え?じゃない!夜に呼び出しとは、そういうつもりなのだろう?」

「違うけど?」

「な?!」

「いやお前気が早すぎるだろ!普通に話をするだけだ!どこに初日から侍女に手を出す野郎がいるんだ!」

「ななななな!」

「全く、ほら、部屋に戻って普通の服に着替えてこい、リビングで待ってるぞ」


クロウはバタンとドアを閉じる。数分後、思いっきりドアをドンッ!と蹴られた気がするが、どうやら彩花は自室に戻ったようだ。


クロウは一足先にリビングに行き、魔法で2人の為のカモミールティーを入れておく。紅茶が程よく出来上がった頃、2人共ちゃんとした格好で出てきた。


「ふんっ!」


彩花はクロウを見ると、ぷいっとそっぽを向いてしまった。香織は申し訳なさそうにクロウに平謝りをしている。


「まあ大した話でもないけど、座ってくれ」


クロウに言われるまま、2人はリビングの椅子に座る。クロウは人数分の紅茶を注ぎ、話を始めた。


「改めまして、俺の名前はクロウ、幽燕大公の冠名を貰った()()()()()だ」


クロウの剣呑な雰囲気を察した香織は、きちんと彼に向き合って自己紹介を始めた。


「初めまして、クロウ、私は燕香織、現国王の次女です」

「私は彩花、皇族近衛兵所属、香織様の専属侍女だ」

「うわ~オドロイタ!(棒)」

「嘘くさ過ぎるだろ」


流石の彩花もクロウの大根芝居にツッコミを入れる。


「冗談はさておき、2人ともなんで侍女だと偽ってやってきたんだ?」

「それは....」

「私が話します」


香織が彩花の話を遮って話す。


「ま、大方俺を引き留めるために結婚とかなんかする予定なんだろう?」

「あっえっその」

「大当たり、でもなぁ」


クロウは困った顔で2人を見る。


「でも、私は」

「悪いけど、俺は一生ここに残る気はない」


クロウはきっぱりと2人に言う。


「でも、燕国と敵対するつもりもない。だから2人は俺が国王に代わって預かるって事にする。それとも追い出した方が良かったか?」

「それは....」

「そう言う事だ。これからは2人に必要な事を教える。プレイヤーとして彩花には兵法や武道を、香織には.....心理学を教える事にするよ」

「心理学?」

「そそ、簡単に言えば、人と心を操る術だよ」


2人は恐ろしい顔でクロウの方を見た。


「将来的には彩花には大将軍とかになってほしいし、香織も人の上に立つものとして、人を使う術を知らなければだめだ。だからそこは厳しくする」


有無を言わせないクロウの気迫に押されて、2人は頷く事しかできなかった。


「よし、じゃあ明日からは授業するから、今日紹介した学習部屋に来てね」


クロウはそれだけ言うと、足早に自分の部屋に戻った。


***


翌日、朝食を終えた2人は早速クロウの待つ学習の間にやってくる。クロウは早速2人に今後の案内について話す。とは言っても簡単なもので、月曜日は彩花の授業の日、香織は自由参加、火曜日は香織の授業の日、彩花は自由参加と言った感じで交互に授業をする事になっている。2人にはクロウが自ら作った紙と鉛筆を用意しており、簡単に使い方を教えると、早速月曜日である彩花の授業を始めた。


***


「大規模投影発動」


クロウが魔法で投影魔法を発動させる。部屋を暗くして、クロウは実際の戦場を有様を投影した。同時に3人の目の間には3D模型も浮かび上がらせ、魔法で実際の戦場を模倣した。クロウの操作1つで実際に戦闘や移動が行われるこの模型は、2人にとって脱帽するほど革新的な物だった。


「芝﨑城防衛戦、知ってる?」


2人とも首を縦に振る。


「これは俺が実際に指揮した戦いでもあるから、正直勝てたのは<プレイヤー>であるからとも言える。そこで2人には実際にどうしたら防げるかを研究してもらおう」


2人共死んだような目をしている。


「おーい、どした?」

「いえ、正直この戦いはクロウ様でなければ、勝ちえなかった戦いです。私たちのような一般人では...」

「はぁ、分かったよ、じゃあまずは解説する」


そうしてクロウは2人にクロウの作戦と意図を告げる。


「そもそも城の攻防において、防衛側が圧倒的に優位なのは分かる?」

「うんうん」

「通説によれば攻城側は防城側の3倍から5倍の兵力が必要だと言われてる。だけどそんな格差はプレイヤーと言う存在で掌のようにひっくり返せられる。つまりその城塞の優位性はほぼないに等しいと言う事だ。だから、相手を軍隊とか、兵力とかそういう差と規模で考えるのではなく、相手を人間として、考えるんだ。プレイヤーは本当に例外だから基本的には考慮しないけど、大規模な人を動かすには大規模な食糧が必要、大規模な飲料水が必要、大きな営地も必要だし、長期戦ともなれば睡眠も必要、これらの人が生きていくうえで不可欠な点が、相手にとっての弱点でもあり、こちら側で最も重要視するべきものだ」


2人は必死に紙にクロウの授業内容を記していた。


「じゃあここからは実際に3D模型を利用して解説していくよ?」

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