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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
諸国動乱編
183/227

幽燕公の日常その2

「クロウ!待ってたぞ兄弟!」

「流征!呼びに行く手間が省けた!」

「なんだその服は?」

「あー、私服だ」

「そうか、今度良い服を買いに行こう」

「助かる。まだここらへんの服屋には詳しくなくてな」

「うん、そんな事より」


クロウは大きな扉を開けて、流征達を招き入れる。流征も話を遮って、馬車の中から何人かの人間を邸宅の中に入るように促す。


「今日はお前のために侍女を用意した!」


軽快な効果音が聞こえてきそうなポーズと共に、クロウの前には6人の美女が侍女の服を着てクロウに一礼した。


「要らない」

「全員麗しえ?」

「えー、一人で良いよ、別に困らないし」

「そんなこと言うなよ、てかこれ親父の案内なんだ、断ったら王命抗議で処刑もんだぞ」

「おま先に言えよそう言う事は!」


でも6人もいらないので、クロウは<スキャン>して必要なスキルを持つ人間だけ残すことにした。


(スキャン.....ん?)


---

名前:燕香織

武力:54

知力:100

政治力:90

統率力:60

魅力:105

特性:才色兼備<魅力+15、知力+10、政治力+10>

スキル:覇王佳人<戦争や戦時に関わる事を行っている場合、武力+10、知力+10、統率力+20>

---


(とんでもない人物紛れ込んでんなこれ)


---

名前:彩花

武力:90

知力:64

政治力:50

統率力:85

魅力:77

特性:防衛者<主人と認識した者が危機に陥った場合、武力+10、統率力+10>

スキル:従者<主人と認めた者がいる場合、武力+5、統率力+5>

---


(む?香織の従者か)


「じゃあ流征、彼女と、彼女を残して、他は帰らせてくれないか?」


クロウは香織と彩花とスキャンされて表示された2名を選び、他は全て帰らすように流征に言った。流征は一瞬固まって香織の方を見たが、彼女は小さな動きで頷くと、彼も承諾して他のメンバーを再び馬車に乗せた。


「えと、初めまして?」

「初めまして、幽燕公、私の名前は香織(かおり)

「私は彩花(あやか)です」


下を見ていた2人が改めて顔を上げる。香織は黒い髪を腰辺りまで伸ばした、出る所は出ており、引っ込む所は引っ込んでいる傾国の美女と言った高貴な雰囲気を醸し出している。だが、あえてなのか、顔にはそばかす、唇は色を薄くしており、傾国の美女から村のべっぴんさんと言った感じ雰囲気で自分の元の雰囲気を隠していた。


(変装も出来るのか?)


正直スキャンがなければ中の上くらいの美女だと思っていた。恐らくはクロウの事を好色の悪者か何かだと思っていたのだろう。


(まあ、しょうがないか)


幾国での悪ぎょ....もとい実績を考えれば無理もない。芝﨑城へ攻撃してきた敵兵を懐柔、さらには外国の兵士を挙って徴兵、他国を訓練と言う名目で辺境紛争に派遣し、蛮族領を厩舎と呼んでたびたび侵攻して馬を略奪。さらには幾国蜂起の際に従わない領民を見境なく虐殺、あまつさえ幾国大臣の近衛兵の首を手すりに並べ、首を刎ねた大臣の死体で玉座を作る。うーん自分で言っておいてなんだけど、良くないねこれ。


自然と彩花がクロウと香織の前に出る。


「確かに私たちは侍女ですけど、無理矢理手を出すのは法律違反ですからね!」

「え?ああ、うん。まあ荷物とかあると思うから、とりあえず君達の部屋に連れていくよ」

「え?」


燕国では、侍女は最低限の生活の保障しか法律で義務つけられていない。そのせいで、だいたいの侍女は離れのタコ部屋で雑魚寝と言うのがお約束だが、クロウはそんな2人に専門の部屋を用意すると言った。


「うーん、君達仲良さそうだし、同じ部屋で良い?」

「え、あっ、はい」


香織も少し慌てたようにクロウの話に頷く。2人はどんどんとクロウに連れられて、どんどんと屋敷の奥へ入っていく。そうして2人はクロウの用意した大きな空き部屋に到着した。


「俺の部屋は通路の奥にある。とりあえず2人はその部屋を使ってくれ、荷解きが終わったらまた呼んでくれ」


クロウは通路奥の自室のドアを指さし、そちらへ歩き出す。香織と彩花の2人はクロウにお辞儀すると、彩花が一足先に部屋を開けた。


「うわぁ~!」


彩花が堪らず声を出す。ドアの先には大きな部屋が広がっており、左右で丁度良く対称的に必要な家具が全て常備されていた。手前には広い机、本棚、デスクライト、座り心地の良いふかふかのオフィスチェアが用意されており、その奥には大きな衣装棚、20着ほどの服をハンガーで吊るせる広さに、肌着等を入れる引き出しも6段ほど用意されている。


そこから更に奥にはベッドが用意されており、クイーンサイズのベットは寝返り数回うっても落ちないほどの十分な広さだった。最奥には丈夫なガラス張りの窓が用意されており、これはクロウが改めて作った窓だったが、香織が住む王宮よりもはるかに優れた透明度を誇っていた。ガラスの外はクロウの畑に面しており、鶏が元気に走り回る姿や、ガチョウが池で泳ぐ姿、少しだけ芽を生やした桜の木や畑も見える。


ガチョウたちが泳ぐ池はクロウがいくつかの魚の特性を考慮して、小さな自己循環する滝も作った。おかげで香織達の部屋からはガラス窓を横に引いて開ければ水の流れる音も聞こえてくる。さらに部屋の壁にはスイッチが2つ付いており、1つはライト、1つはエアコンと書いてあるライトのスイッチをONと言う方にすると、部屋に光が灯った。2人はONとOFFの意味は分からなかったが、何度か試すことで、本能的に仕組みを理解した。エアコンのスイッチも同じようにONとOFF、それから温度調節のボタンもついており、2人はこれらを調節することで、部屋の温度が変わっていくのを感じた。

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