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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
諸国動乱編
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芝崎城全域改造計画

それから3か月の間、クロウは芝﨑城の城下町等の居住区に住むと決めた2万人の兵士の様子を直々に確認しに行く。懐柔策を取ると決めたからには、できるだけ彼らに良くしなければならない。彼らはクロウがやってきたのを見ると、全員感激しながらクロウの下へ飛んでくる。彼らに生活の不自由が無いかを聞いたり、近所付き合いはどうかなど、細かい部分まで聞いた。彼らは皆問題ないと言い、同時に、クロウの下で兵士として恩を返したいと言ってくれた。


「良いんだ、まずはゆっくり休んでくれ、長年の辛い思いを、まずはここで癒してくれ」


敢えて焦って承諾したりはせず、クロウは引き続き彼らを休ませる。そうして全員を確認し終わったのち、城主と共に城内の治安や新しい条例について話し合っていた。そこから更に1週間後、クロウは待ち望んでいた燕国の王命がやってきたという知らせを部下から受け取り、急いで使者の元へ駆け寄った。


「燕国王命である!心して聞くように!百人長九郎!此度の出兵にて、目覚ましい功績と軍功を残した事を称え、ここに<耀幽候(ようゆうこう)>の名を授ける!」

「ありがたき幸せ!王命感謝いたします!」


クロウは頭を下げ、使者から多くの軍令符を受け取る。候、つまり侯爵に任命された事により、クロウは将軍として千人長以下の任命権を得た。


「使者様、ありがとうございます、それと、少し聞きたいことが...」


そう言いながらクロウは使者にこっそり金の延べ棒を3本ほど袖の下からこっそり渡した。


「耀幽候、おめでとうございます、なんでもお聞きください」

「十五は、獅国は?」

「流征将軍は獅国の反乱鎮圧の際に目覚ましい功績を上げたことにより、その将軍の位に復帰されました。現在は燕虎大将軍として、王の側近になりました」

「良かった、良かった」


(何とか撃退出来たようだな)


「それから耀幽候、これは内緒の話ですが、燕王は獅王の反乱に非常にお怒りの様子、それに今回の一件で近隣諸国との同盟に不信感を覚え、近々獅国と幾国の2か国に侵攻し、合併するかもしれません」


それだけ言うと、王命の伝えに来た使者は戻っていった。


「よし、じゃあまずは徴兵だ」


待ち望んでいたものを受け取り、クロウは早速自分の芝﨑城改造計画を始めた。


一つ目、まずは人手集めの為も兼ねて大々的に徴兵。これは芝﨑城内だけではなく、行商人の力も借りて幾国内全員に知れ渡るように仕組んだ。今回の徴兵の売り文句は家と土地の所有権を与えるというものだ。これも城主と話し合って決めた話だが、山間に囲まれた芝﨑城は農地の開拓が難しいので、まずは人手を集めるところから始める。そうして集まった人手を借りて山を切り開くなり、土地を開拓するなりする予定だ。


クロウの知らせはすぐに幾国中に広まった。自分の土地、自分の家が貰えると聞いた彼らは続々と芝﨑城に集まった。幾国だけではなく、幾国の隣国である梧国や幾国の南部に位置する宇国からも続々と人が集まってきた。


「うわ思ったよりも多いな」


続々と各地から集まってくる人々は既に30万人近く集まっており、徴兵令を発表してから1か月が経っているが留まる事を知らない。それを見たクロウも城主と共に急いで次の計画を始めた。


「よし、まずは大きな仮設住宅を設立、数十万人が泊まれるほどの巨大なものにしよう。図は俺が描く、建設及び建築経験のある者を筆頭に、力のある者は全て加われ、もちろん建設に加わるものは給金をきちんと渡すし、一日三食きちんと支給する」


徴兵で集まった彼らはそれを聞くと、目を輝かせて服を脱いだり袖をまくり上げたりして、工事を開始した。クロウの手下だけではなく、自ら集まった一般人や守城兵も加わり、建築経験者もいることから、1週間足らずでクロウの巨大仮説受託は完成した。大きな寮のような形になったが、それでも彼らは自ら作った事で愛着が湧いたのか、みな併設された銭湯のような場所で素早く体を洗った後、みな大部屋で足早に眠った。


翌日、クロウはまずは城主と共に城内や城下町の家々の改築を始めた。新しい家が欲しい人々はみな仮設住宅に一時的な引っ越しを済ませている。その結果、ほぼ全ての古い住宅を改築する事が出来た。


「お前らぁ!ぶち壊せぇええ!」


本当は解体はきちんと危険なく行うべきだが、ゲームの世界ということもあり、クロウは一部の家を除いて、<一括解体>ができる事に気が付いた。もしかしなくてもだが、ここ最近城主と頻繁にこの芝崎城改築や拡張について動いているおかげで、ゲームシステムにここはクロウの領地だと思われたのかもしれない。所有者と領地主はちゃんと違うけど。


(これはこれで)


一括解体した家はきちんと素材としてクロウのアイテムボックスに収納されているようで、なんとも便利だった。


(なんだか昔、北帝領を開拓した時みたいで楽しくなってきた)


クロウはそれからも毎日毎日城主と夜遅くまで次の建築について話し合う。新しい家々を作る前に道路の整備、それから排水システムの構築、貯水庫でもあるダムの建築、浄水場などなど、毎日毎日毎晩毎晩城中町中ひっきりなし皆仕事をしていたが、これは町を活気づけるきっかけにもなり、商売の匂いを嗅ぎつけた商人達も集まり、仕事を求めた人々もさらに集まり、人が人を呼び、芝崎城は過去にないほどの活気と繁栄を見せていた。


一年後、芝崎城を再び訪れた十五こと流征と燕章は驚いた。ボロボロだった道は綺麗な石畳に舗装されており、マンホールなどの排水システムも完成している。ボロボロだった家屋もそれぞれの所有主の望みに合わせた個性豊かなものになっており、10階建ての巨大なホテルに2階建ての風情ある茶屋、広い私塾に煌びやかな賭場など、風情豊かな城下町になっていた。特に芝崎城の一番の見物は城下町中央にある巨大な城主な豪邸。約6000平方メートルあるこの巨大な豪邸は、城主の居住地だけではなく、貴賓接待用の屋敷としても使われる。城主の近衛兵達が住む宿舎もこの中にあり、生活に必要な施設は全て完備されていた。


「お?十五!それから将軍!久しぶり!」

「九朗!昇格おめでとう!遅くなってわりぃな!」

「うむ、お前ももう将軍か!俺の事は将軍とは呼ばず、燕章と呼ぶがよい」

「分かった!まあとりあえず飯にしよう!長旅大変だっただろう!」


クロウは部下に十五と燕章を案内させる。そうして彼らは夜が明けるまで多種多様な料理と酒を飲んで食べて楽しんだ。

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