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勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
諸国動乱編
162/227

旗女村改革その1

翌朝、早朝から村の広場に揃った村人は、それぞれ男性と女性、子供と老人に分かれて並んでいる。彼らの前には村長であるサチエとクロウが立っている。


「全員聞け!今からクロウ様が<天眼>で我々の隠された才能を見てくださる!大人しく従うように!」

「<スキャン>」


クロウは一人ひとりスキャンしていく。そしてそれと同時に彼らの特性とスキルも考慮して彼らに転職を言い渡す。男性30名、女性50名、子供は2人、老人は18名、老人は全員サチエと同じくらいのステータスを持ち、旗手であり従軍経験もあるので、彼らには午前は畑仕事や機織り、午後には教官として村人の訓練を任せる。子供2人は共に女性で、クロウは自ら様々な魔法と兵法、他にも数多くの生活に必要な技術と知恵を教えることにした。女性50名のうち、10名の<天才的な機織り者>、20名の<天才的な農耕者>、10名の<天才的な伐採者>、10名の<天才的な木工技師>が見つかった。スキルも効率を上げるものや質を上げるものが多く、全員見事に食い違った職に就いていたので、彼らにそれぞれ本職を言い渡した。男性30名の内、10名は<天才的な鍛冶師>、10名は<天才的な採掘師>、10名は<天才的な建築家>だ。


(いやいやいやいや、人材の宝庫じゃないかここ)


「全員!自分の天職は分かったな!すぐに引継ぎと仕事に取り掛かれ!」

「「「「はっ!」」」」


村長としての行動している時か、それともサチエの千人長のスキルが発動したせいか、老婆とは思えないほどの気迫と歯切れの良さで話す。全員それを聞いて素早く仕事の引継ぎに取り掛かった。彼らはそれぞれ少し前任者の話を聞くだけで本能的に何をするべきか理解したようで、実際に自ら天職に取り掛かるとすぐさま熟練した手さばきと効率の良さを体現した。


<天才的な機織り者>は限りある材料を使って数多くの服を織り、

<天才的な農耕者>はその畑を数倍に広げ、

<天才的な伐採者>は無数の木々を伐採し、

<天才的な木工技師>はその木々を家具や弓に加工する

<天才的な鍛冶師>は鉄の農具や武器を作り、

<天才的な採掘師>はその坑道をさらに大きく伸ばし、無数の鉱石を採掘する。

<天才的な建築家>は木材と鉱石で村中の家々を改築していく。


クロウは事前に購入していた鉱石や材料を渡そうと思っていたけど、貴重な人材だけあって、彼らは日に日に自らの力で様々な新製品を作り上げていた。それを見たクロウは夜にそれぞれの少数の技術者を集めて、彼ら彼女らに多くの知恵を授ける事にした。


<天才的な機織り者>には新しい布の織り方を

<天才的な農耕者>には二毛作や三毛作と土地の管理について、

<天才的な伐採者>には伐採だけではなく、その後の植林について

<天才的な木工技師>には新しい家具のアイデアや武器のアイデアを

<天才的な鍛冶師>には新しい鉱石と武器、そして鎧のアイデアを

<天才的な採掘師>には効率の良い採掘方法と、爆薬、そして安全な坑道と生存のすべを

<天才的な建築家>には城門や柵、そして(やぐら)などを


それら以外の知恵やアイデアもクロウは惜しみなく彼らに教える。次第にクロウは彼らに先生と呼ばれるようになった。村にやって来てから3週間が経った時、天職と言うバフもあってか、スポンジのようになんでも吸収した彼らは、クロウが3か月かけて教える予定だった内容は全て覚えて実践に移していた。


そこから更に1週間、朝早くからそれぞれの仕事をし、午後になれば全員、家の改築や櫓の増築、村を守る壁の増築などに取り掛かった。


「先生!もう村の広さが足りません!」

「先生!これ以上伐採すると山賊のエリアに入ります!」

「わかった」


クロウはそれを聞いて、村長と全村民を集めて午後に村内会を開くことにした。


「もう村の広さが足りないようなので、村を広げるためにも、山賊達の巣穴を潰しに行こうと思います」

「聞いたか!お前らぁ!武器を取れ!」

「えあっちょ村長落ち着いて!まだ配置とか色々」


クロウの案内もさておき、村民は素早く自分の家々に戻ると、家の中から立派な鎧と弓、矢筒に鉄剣を持ちだした。村長もゆっくりながら自分の家から大きな旗を取り出す。


「時は来た!お前たち!復讐の時だ!」


サチエは大きく<辛>と書かれた巨大な軍旗を地面に突き刺す。すると、クロウは脳内で、


(旗女村が復興しました。村内状況を表示します)


と響いた。


なんだか戦略シュミレーションゲームみたいになってきたなと思いつつ、クロウは改めて内訳を見てみる。老人と子供と、村の守備隊を任されている20人を除く約60名が今回クロウと共にやってくる。20名は弓兵として、10名は斥候として、30名はクロウの護衛兼剣士として、そして村長であるサチエは筆頭旗手として参加するようだ。


「おおよその場所は先生が既に教えてくださった!斥候部隊!山に入って具体的な場所を調べてこい!」

「「「はい!」」」


10名の斥候部隊は素早く山に入っていく。こうして旗女村と長くその村を襲っていた山賊達の最終決戦が始まった。

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