表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼ編
140/227

元ヤンキー達の現状

アイテムボックスから専用の笛を取り出す。ピー!と思いっきり学園中に響くように吹き鳴らす。そうして周囲の驚いた顔も気にせず、一般科2年生の試験会場へ戻る。


***


新入生を含め、あの日シャルに挑もうとしてクロウが無残に倒したヤンキー達はすっかり改心し、一時、クロウの元で残酷な訓練をこなしていた。エインヘリアルが使える彼らだがクロウはそんなのお構いなしに名生身での過酷な練習を課して、その後もセシリアのツテを使ってクロセルべの正式軍の元でさらに過酷な訓練をさせ、全員クロセルべの特殊部隊である<黒虎隊>に認可され、部隊を卒業した後、セシリアが全員ひそかに学園に戻していた。この間おそよ、入学してから期末考査の今日を含めて約半年である。半年でヤンキーを正式な部隊にたたき上げたクロウと特殊部隊の指揮官、双方ともに尋常じゃない鬼畜である


***


クロウが一般科2年生の考査会場に戻る。当然のように、先生と3年生の見張りが無くなった彼らは、好き勝手に雑談したり、勝手にエインヘリアル同士で斬り合ったり、遊んだりしていた。


「指揮官殿、黒虎隊第5大隊所属第3小隊、総勢50名、ここに集合しました」


顔に深い傷のある、戦いと実戦で鍛え上げられた肉体を持つ険しい顔の男がクロウの横に現れる。彼は新緑と茶色の迷彩服を着ており、彼の後ろからも続々と同じ制服を着た男たちが規律正しく駆け足で入ってくる。あっという間に彼らが試験会場を取り囲むと、全員が一律してエインヘリアルに換装した。


エインヘリアル・黒虎


クロセルべの特殊部隊である<黒虎隊>にのみ与えられる王国四大特殊部隊のエインヘリアル。本来は漆黒の色をしているが、王国の技術開発部門により、任務や潜伏環境に合わせて自身の色彩を随時変化させることができるという。おまけに内蔵している武器も遠距離用バレッタライフルから近接用のサバイバルナイフまで幅広く完備しており、軍用魔弾、いわゆる魔法が込められた弾丸も予備含めて多く保有している。彼らの仕事も幅広く、要人暗殺から攻城まで人数さえあつまれば何でもできる。


「よし、小隊長は?貴様か、名を名乗れ」

「は!自分はジュノーと言います!」

「よしジュノー、今から貴様らにはこの一般科2年生達の期末考査の監査役を行ってもらう。考査自体はまだ動ける先生達が主導して行うため、最優先保護対象を学園教諭とし、彼らに危険が及ぶようなら即座の武力鎮圧を許可する。ただし殺害は禁止だ。また、教諭の話を聞かない阿呆共への武力での服従も許可する。同様に殺害は禁止だ。最後に、もしまだ2年生の中で俺に挑もうとする輩がいるなら連れてこい、そんな阿呆共も俺が三途の川の水を飲ませてやる」

「了解しました!指揮官殿!」


ジュノーはメモした内容を片耳に付けたインカムで全員に伝える。その後、すぐさま生き残っている教諭の傍にそれぞれ2名の黒虎隊の隊員が護衛として両脇に立つ。素早い、よく訓練されているな。


クロウは感心しながら後方の椅子に腰かけ、後ろで座って休憩する。


「指揮官!挑戦者です!」

「マジで?」


驚いた。こんな恐怖政治みたいな環境でクロウに歯向かおうと思う学生がいるなんて。1年生だからと舐めているのか、それとも圧政の元に必ず生まれるという反逆者なのか。


「新式エインヘリアル起動:<ウェポンマスター>」


百の武器と千を超えるスキルを使いこなす、武器大師(ぶきたいし)。武を極めたマスタークラスの近接格闘士。そんなウェポンマスターのエインヘリアルは、防具も何も無く、換装を終えたクロウは、使い込まれた軽い布の服と、手に持った2mほどの赤い棍棒だけだった。旧式のウェポンマスターはアイテムボックスから無数の防具や武器を一瞬で取り出せる特徴を持つが、新式は棍棒1つで十分。


「アルフレッド家長男!リレック・アルフレッド!参る!」


何の特殊加工もない銀でできた無駄にきらびやかや専用エインヘリアルを着た坊ちゃまが突っ込んでくる。

あー、親のスネカジリで天狗の鼻になった金持ちのボンボンか。


「<昇天棍><天空連棍><天狗落とし><翔鷹>」


無数のコンボスキルを使い、空中に打ち上げたり地面に叩きつけたりして延々とリレックをボコる。そうしているうちにエインヘリアルの操縦者保護システムが作動し、安全な場所へテレポートされた。気絶したリレックを放っておき、引き続き考査を見守る。クロウにボコられたリレックという例があるので、その後の2年生達は大人しく考査を受けていた。想定終了時間を少し超えてしまったが、何とか考査は終わった。クロウは黒虎隊達を引き続き学園内に潜伏させ、特待生の寮に戻る前に医務室へ寄ってシャルとタタの様子を見ることにした。


いつも世話になっている医務員と共に2人の様子を見る。タタは特に身体の不調なく寝ているので、午後7時になったら呼び起こすようだ。シャルは既に起きており、頭と両腕に包帯を巻いていた。どうやら過度にエインヘリアルの機能を使用したようで、エインヘリアルの動きに肉体が付いていけず、頭部と両腕の筋肉を傷めてしまったらしい。だが数日もすれば完治する程度なので、特には問題ないようだ。


2人の安全と無事を確認したクロウは、安心して自分の寮へと歩き出す。歩き出しつつ、クロウはセシリアに連絡を入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ