表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勘違い魔王のVRMMO征服記  作者: 愛良夜
学園都市ロゼ編
124/227

試験勉強その1

翌日、クロウが1年から3年のヤンキーまで全員医務室送りにした事は既に学園中に広まっているようで、元より遠かった同級生との距離は、より離れて行ってしまった。悲しいかな。


「く、クロウ、お、おはよう」


午前の授業が終わり、食堂へ行こうとすると、教室の出口でシャルが待っていた。お?なんか見たことないピンセットしてるな?


「おはようシャル、そのピンセット可愛いね、似合うじゃん」


女性の変化は素直に褒める。これも職場でのマナー。セクハラって言われないと良いけど。


「そ、そうか、ありがとう」

「それで?どしたんだこんなところで」

「その、なんだ、一緒に昼食でもどうかなって思って」

「あー」

「先約があるのか?」


シャルが悲しそうな顔でクロウを見上げる。実の所、今日はリリィに昼食に呼ばれていた。友達がいれば連れてきても構わないと言われていたが、横にいるアリアンナは「下手な友人を連れてきたら〇す」と言うおっかない視線を向けていた。


(だがまあ、シャルなら大丈夫だろう)


学園代表みたいな人物だし、めっちゃ強いし。


「いや、シャル、友達と一緒に食べるんだけど、シャルも一緒にどうだ?」

「本当か!行く!」


この時シャルはまだ、クロウがどんな友達と一緒に昼食を取るか知らなかった。


図書館11階、屋上の庭園にて。


「リリィ!待たせたか?」

「こんにちはクロウ様、時間ぴったりですわ」

「良かった、今日は友達を一人連れてきたんだ」


なぜかクロウの後ろでガチガチに緊張しているシャル。


「ククククロウ殿??あ、ああ、貴方はリリィ・サウフォード様とめめ、面識があるのですか?」

「え?どうしたのその口調、あるけど」

「こ、ここ、この方がどんなお方がご存じで?」

「え、セシリアの養女で、先輩?」

「それだけではありません!聖母セシリア様の養女にして第二皇女、本当の皇族にして、貴族科主席兼理事長代理補佐、この学園で最も権力と名声があるお方です!私が一般科の代表として学生や市民の顔役ならば、リリィ・サウフォード様は学園と国を代表して国交すら築けるお方です!!」


捲し立てるようにシャルが一気に話す。


「へー、リリィすげぇじゃん」

「いえいえ、そんなクロウ様ほどでは」

「呼び捨てにするなよクロウ!相手は皇女様だぞ!」


アリアンナは感心するクロウに、「これが本来あるべき態度だぞ、改めたらどうだ?」と言う挑発的な視線を向けてきたので、無視する。リリィ本人が気にしてないし、別にいいだろ。


「シャルさんの事はよくお聞きになりますわ、こうしてお会いするのは初めてですよね?初めましてシャルさん。私はリリィ・サウフォード、気軽にリリィと呼んでください」

「私はアリアンナだ」

「いえいえそんな滅相も無い、私はシャルロット・リヒテン・ロゼです。顔を上げてくださいリリィ様、アリアンナ...アリアンナ!?」

「どうしたシャル、あの鬼畜メイドの名前を呼んで」


物凄い形相でアリアンナに睨まれるクロウ。


「アリアンナ様を知らないのかクロウ!?<大英雄>アマネ様の弟子の一人にして、セシリア様直属の女帝近衛兵の一人。無数の戦功を持ち、蛮族と魔王軍をそのナイフで切り刻んだ<千切将(せんせつしょう)>のアリアンナ様だぞ!」

「アリアンナお前千切り上手いのか」

「〇す」


眼を赤く光らせたアリアンナがナイフを投げてこようとする。シャルはクロウの代わりにぺこぺこ謝罪しており、リリィはそんな3人のやり取りを見て、品よく笑っていた。


そんなやり取りを終え、4人は昼食を取る。今日のメニューはサンドウィッチと紅茶、それからデザートのロイヤルプリンだ。クロウが男の子と言う事を考慮して、いつもより多めに作ってくれたが、恐らく作ったアリアンナ本人も固形食に慣れているせいか、まあ、食べられない事は無いと言う味だった。道理でセシリアがクロウに食事をねだってくるわけだ。今度レストランでも開こうかな。


シャルもだいぶリリィやアリアンナと打ち解けたようで、昼食が終わるころには、3人は分け隔てなく自然と話せるようになっていた。クロウの午後の授業は引き続きマナプログラミング、シャルは野外模擬戦闘場でエインヘリアルを着た状態でモンスターとの戦闘のシュミレーションをするらしい。楽しそうだ。


そんな感じで上半期はリリィやシャルと仲良く過ごしていると、そろそろ中間考査の時期になってきた。

クロウのような1年生の中間考査はデバイス行使とマナプログラミング。シャルのような2年生はエインヘリアルで魔王軍との戦闘シュミレーション。3年生であるリリィ達は実戦訓練だと言う。シャル2年生だったんだ。知らんかったわ。デバイス行使に関してはいわゆる規定範囲内のMPを消費して規定威力以上の魔法を叩きこめば良いと言うもので、デバイス行使の試験に使われる魔法は、事前に自分でマナプログラミングした魔法じゃないといけないらしい。そんな事で、今日から一か月、授業は全て参加自由の自習となり、いわゆる考査準備月に入った。クロウとシャルはいつものように図書館11階のリリィの庭園に来ており、みんなで一緒にテスト勉強をすることになった。


「そういえばみんなは1年生の時、どんな魔法を使ったんだ」


空中でマナプログラミングをしながら、クロウは他の3人に尋ねた。


「私は確か、風属性のウィンドカッターを改造した、<ストームブレード>だったな。武器や手に圧縮した風を纏って、遠隔攻撃したり、そのまま斬りかかったり」


シャルはそう言いながら、右手をピンと伸ばし、ストームブレードを使って見せた。いらない紙を一枚、左手で端を掴んで持ち上げると、彼女は右手に纏った風の魔法で綺麗に両断した。


「私は確か、マジックボールを改造した、<バウンスボム>だ」


アリアンナは配給カートから手を放し、右手に白い魔力の球を作り出した。そして一度地面にバウンドさせると、その白い球からピ、ピ、ピと言うカウントダウンが聞こえてくる。そしてアリアンナはクロウの方へ投げるフリをして、魔法を解除した。


「私は神聖魔法を改造した、<サンクチュアリ・ブレード>でした」


リリィは外から()()()()()()()()()()()と、そのままその光を剣の形へ作り替えた。


「ほえー、みんなすげぇの作ってるな~」

「クロウはどんなのにする予定だ?」

「まだ迷ってる、一応、フレイムランスを改造して、<フレイムランス・ガトリング>とかにしようと思ってるけど」

「でしたら、皆さんで模擬試験を受けてみましょう」


リリィのその一言で、3人は場所を移すことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ