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ベース⚾ガール!!!!  作者: ドラらん
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48/56

47th BASE

《お疲れ様! 挨拶できなくてごめんね》

《いやいや、寧ろ来てくれただけで感謝だよ。勝てなくてごめんな》


 亀高へと帰るバスの中、スマホで椎葉君へメッセージを送ると、返信は案外すぐに返ってきた。本当は試合終了後に少しでも話せれば良かったが、球場から出てきた彼は報道陣に囲まれており、とてもじゃないが声を掛けられる状況ではなかった。これが男子の甲子園大会なのかと驚くばかりである。


《謝ることないよ。椎葉君のピッチングは良かったし、胸を張って良いと思う!》

《そうかな? 自分としても負けたのは悔しいけど、今はここまで来られた達成感の方が大きいかも。甲子園出場の目標は叶えられたしな》


 この言葉は椎葉君の本心に違いない。サヨナラホームランを打たれた瞬間の晴れやかな表情が、やれるだけやり切ったという思いを物語っていた。


《亀高で甲子園に行くなんて凄い快挙だよ! ほんとにおめでとう》

《ありがとう。柳瀬も改めて優勝おめでとう! 生で見て良かった>ᴗ<》


 椎葉君が可愛い絵文字と一緒に祝い返してくれる。昨日の時点でも祝福のメッセージは貰っていたが、こうして連絡を取り合うことはできていなかった。


《帰ったらお祝いさせてくれ!》


 続けて椎葉君からメッセージが届く。それに対して私は無意識に微笑みながら返信する。


《ぜひともお願いします! 私も椎葉君のことお祝いしたい(*⌒▽⌒)/》

《まじ? じゃあ決まりだな!》

《うん、楽しみ!》


 二人で共に約束を果たしたのだ。盛大に祝わねばならない。


《椎葉君はどうしたい? やっぱり焼肉食べ放題とかかな》

《良いね。けどそれは野球部でやりそうなんだよなあ》


 確かに椎葉君の言う通りではある。女子野球部でも祝勝会で焼肉に行くだろう。別に焼肉なら二度でも大歓迎だが、せっかくなら椎葉君の好きな場所に行きたい。となると……。


《だったらさ、スイーツ食べ放題とかに行くのはどう?》


 これは我ながら名案ではないか。甘い物好きな椎葉君なら食い付いてくるはずだ。


 ところがすぐに返信が来ない。一応送ったメッセージは読まれているみたいなので、応答が無いのは気掛かりだ。急に用事が入ったのか、それとも私の提案が気に召さなかったのか。私は忙しなくメッセージアプリを閉じたり開いたりを繰り返す。


「どうしたの? さっきからそわそわして」

「へ?」


 隣席の紗愛蘭ちゃんから唐突に聞かれる。決して悪いことはしてないが、私は何故か焦ってしまう。


「え、えっと……、メッセージのやり取りしてた人から中々返信が来なくてさ。気になっちゃって……」

「ああ、椎葉君か」

「な、何で分かったの? まさか見てた?」

「見てないよ。普通に分かるでしょ」


 紗愛蘭ちゃんは何食わぬ顔で答える。普通は分からないと思うのだけれど……。


「どうしたんだろうね。まあ今はあっちもばたばたしてるだろうし、あんまり気にしても仕方無いんじゃない? 気長に待つのも良いもんだよ」

「ああ……。紗愛蘭ちゃんもそうなの?」

「わ、私? ど、どうして?」


 途端に紗愛蘭ちゃんの目が泳ぐ。私としては何気無く聞き返したのだが、彼女の様子を見て察する。


「あ、深い意味は無いよ。純粋にそうするのかなと疑問に思っただけ。暁君に限らずね」

「あ、ああ! ……いや、私も暁君を思い浮かべたわけじゃないからね。えへへ……」


 咄嗟に弁解する紗愛蘭ちゃんだったが、口元が緩み切っているため説得力は一切無い。それだけ暁君のことを想っているのだと思うと微笑ましいし、ちょっと羨ましくもなる。……ん、羨ましい?


 そんな呑気な会話を紗愛蘭ちゃんとしていると、ちょうど椎葉君からの返信が来た。私はほんの少し心配な面持ちで内容を確認する。


《良いのか? 俺は嬉しいけど……》


 良かった。椎葉君は乗り気のようだ。単にすぐに返信できなかっただけなのだろう。私は安堵しながらメッセージを返す。


《良いも何も、私が行きたいと思ったから提案しただけだよ!》

《そうなの? なら良かった!》


 よし、これで行く場所は決まった。私は早速、スイーツ食べ放題の店を検索してみる。候補は色々と出てくるが、高校生としてはあまりにも値が張るところは避けたい。あとは甘い物以外に主食になりそうな物があれば嬉しい。制限時間も可能な限り長い方が良い。そう考えながら候補を二つくらいに絞り、椎葉君に提案してみる。


《こことかどう? 安いし美味しそう》

《良いね! 俺としてはここもありだと思ってる。柳瀬のところよりはちょっと高いけど、その分色んな物が食べられると思う!》


 椎葉君も探してくれていたみたいだ。こうして互いに案を出し合って行く場所を考えているだけなのに、もう既にとても楽しい。


《じゃあここにするか。予約しておくよ》

《うん。ありがとう!》


 店が決まり、椎葉君が予約まで済ませてくれる。私は胸を弾ませ、彼にお礼のメッセージを送った。



See you next base……

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