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魔法の木エニシダの香り  作者: 文乃木 れい
慧の目にうつる世界
26/50

楽園

 <正しい雑巾がけ>   

「年長さんになったんだから、ぞうきんがけをしてもらいます。」

 とさの先生が言って

 ホールとテラスのぞうきんがけを僕たちはしなければならなくなった。

 お昼寝をしない替わりにということらしい。お昼寝をよりはいいかと最初は思ったけど、けっこうめんどくさいんだよな。

 女の子たちは 競争!とか言って楽しそうにやってるけど、男の子たちは、びちょびちょの雑巾をふりまわして、先生に怒られても、まじめにやらない。

 

「けい!ぞうきんの絞り方がまた反対!」ほら、また注意されちゃった。


 正しいぞうきんがけがあるらしい。


 「もっとしっかりしぼらないと、だらだらお水がたれてるよ。」

 でもぞうきんがびしょびしょのほうがよくすべっておもしろいよ。

「なあー」とたっくんとけらけら笑ってたら、

「ほれ、もっと手に力を入れて、あしをけって、超特急でいきなさーい」ってさの先生におしりをポーンとたたかれた。

「行って帰って5回、おうふくぞうきんがけをしたら、それからプールするからね。」

 うん、もうーしょうがないなー。ホールのはしからはしまで 行って帰ってきたら、もう汗びっしょりだ。

 「みんな、おうちでぞうきんがけしないの?」

 だって、こんな部屋ないもん。ってせいこが言った。

 うちは、かあさんが台所をふいてる。こんなホールみたいに広くないけど。

 そうだ、こんどやったげようかな。と僕はおもった。

 

 「そっちのはじまでいったら、ぞうきんをひっくりかえすのよ。‥

 こっちにかえってきたら、ばけつできれいに洗ってね。‥

 あ、けい、バケツ替えてきて。そう、汚い水だからこぼさないようにね。」

 ひゃー重たい、

 こうじが、いっしょに持ってくれた。

 

 ぼくは、じゃーっとバケツの水を捨て、ついでにとなりの水道の水をだし 頭をつっこんだ。

 頭に水がしみわたって、顔のまわりにじゃばーっと水が落ちてきた。

 プールで 水に顔をつけた時と同じ感じがした。

「ひぇ- けい 何やってんのお?」とこうじが目を円くした。

「気持ちいいぞー」 ちょっとどきっとしたのを隠して、僕は大声を出した。

 あと、3回も往復だ。

「競争すんべ」とたっくんがもうおしりをあげて ぞうきんがけのスタートをきったので、

「ずるー」といいながら、こうじや、ようこと追いかけた。

 先生が、

「けい!まっすぐ!しっかり手に力いれて、足けって」と応援してくれた。

 


<水なんて 平気>

  みんな5回往復して、へとへとになった。

「きれにになったねー、ありがとうね。さ、汗かいたしね、プールに入ろうか」と しませんせいがバケツをもちあげて言った。


「みんな、雑巾は 足洗い場に置いときなね。あとで、水着になった時に、しっかり洗おうね。手洗い場で手を洗って、着替えてから、はだしでプールに集合ね。」

 みんな、へたってたのに、「やったー」って言いながら、かけていく。

 僕は、プールに最初に入る時に先生がホースで頭から水をかけるのと、面かぶりをやらされるのが、好きじゃない。ちょっと怖い気がする。

 さの先生が後ろから来て僕に聞いた。「けい?さっき、水道で水かぶったの?」

 「うん」

「蛇口の下に頭をつっこんだの?」

「うん」

「気持ち良かった?」

 先生が僕の前にしゃがんで 僕の顔を見た。

「今晩から頭あらうの 全然平気になるね?」

 と言ってから、さの先生は僕の頭をくしゃくしゃっとして、どっこいしょっと立ちあがった。

 僕は、シャンプーの時,顔に水がかかるのが、大嫌いなんだ。

 でも、平気になったかも。

 プールに入る時の水も平気かも。

 へいき へいき。

 水着にきがえて、プールのとこにくと、.

 らいおんさんたちは、並んで順番を待っていた。

 しま先生にホースで頭から水をかけてもらいながら、プールの回りをぐるっとひとまわり歩いたら、プールに入れるんだ。

 

 ようこは けらけら笑って「きっもちいー」と大きく手を振って歩いた。

 まりちゃんはにこにことしてたけど小声で「ひゃー」と顔をしかめた。

 そして僕。最初に水がかかるときが嫌なんだ。どきっとする。

 あ、でも今日はいつもみたいではない。そんなに息が詰まるほどじゃなかった。

 水、もう平気。

「けいちゃん、ばしゃっとかけても全然平気。みんな拍手!けいちゃんもう水怖くないって、すごいすごい。」先生もホースを置いて拍手してくれた。

 僕は どぼん!とプールに入った。体が軽くてどんどん泳げるような気がした。

「ほら、かっちゃん、顔をあげて歩くんだよ、」

 ぼくとかっちゃんは水が苦手だったけど、僕が急に平気になっちゃたので、かっちゃんは余計元気がないように見える。

 嫌そうにプールの中に入ってぼくの横にきたので、

「かっちゃん」て笑いかけたら、いきなり頭をはたかれた。

 せいこが

「せんせー かっちゃんがけいをぶったー」と先生にいいつけたので、ぼくは せいこをおもいっきりにらんでやった。

 しま先生が

「さあ、めんかぶりしようか」って手をたたいた。

「体の力を抜いて、水に顔をつけてそのままふわーっと手足をのばしてね。」

 水に顔をつけたら 先生がぼくのおなかに手を入れてささえてくれた。

            

 <収穫>

  みんなお昼ねをしている間に おおきいらいおんさんたちは畑に行って、とうもろこしをもいできた。

 あんなちっこい種からこんなに大きくなって、もっといっぱい蒔いたらよかった。一本ずつほしかったなあ。みんなで分けて食べるんだって。

 ねぎとなすもたくさんとってきた。

 保育園に戻って、とうもろこしの皮をむいた。

 たっくんが皮を頭に乗せて「がいじーん」とふざけた。先生たちが庭でゆでてくれた。

 みんなが昼ねから起きてきたら テラスでとうもろこしをたべるんだぞ。


<劇>

 ようこが「七匹のこやぎやろう!」って「やろうやろう、おいらがおおかみ!」ってたっくんとようこが言った。ぼくもやりたかったので、3人でじゃんけんした。ぼくが勝っておおかみになった。

 さの先生が狩人になってくれた。ホールのほうへは行っちゃだめだよ。お昼寝してるから。教室のほうを使ってね。

 こやぎたちはみんな静かに隠れてなきゃいけないから、ちょうどいい。みんな静かに劇をした。ぼくもそおっとみんなのことを探し出した。 でも さの先生がぼくのおなかをじょきじょきって石をとりだすまねをしたときにはくすぐったくて笑ってしまった。

 ぼくが川におっことされて死ぬまねしたとき、みんなぼくが苦しむ様子がおもしろくて、とうとう大きな声で笑ってしまったよ。さの先生もしま先生もお腹を抱えて笑ってた。



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