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美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件  作者: 夜依
美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件
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第8話

 慣れとは怖いもので、4日目ともなると罰という名の強制労働に赴くことに、何の気持ちも湧かなくなっていた。去年のといい、俺の社畜適性は案外高いのかもしれない。嫌だなぁ。

 ぜひ企業には働き方改革を積極的に進めていただき、ブラックな感じはやめていただきたい。一応大学に進学するつもりではいるから、俺の就職まで6年弱といったところだ。結構猶予があると思うけどどうだろうか? などと、どうしようもないことを考えながらパソコンの画面と向き合い続ける。


「やあやあ、どんなもんだい?」


 手持ちの仕事がひと段落ついたのか、会長がこちらにやってくる。


「まあ、あと少しですよ」

「うん、それは結構」


 そう言いながら、めっちゃ画面をのぞき込んでくる。

 俺の報告まったく信じてないじゃん。まあ、仕事を割り振る側としては、どの程度の量がどれくらいの速度で終わってるか、確認しておいたほうが都合がよいのは分かるが。というか、これが出来ないのが上にいると、何も考えず勝手に仕事もらってくるし地獄と化す。


 会長、近い、近いよ。それと近い。


 あと副会長が俺を睨んでくる。安心して、あなたの彼女さんに手を出したりしないから、だからその目やめて。


「想像以上に順調だ。本当に優秀だったんだね。よし、こんなところでいいよ。あとはこっちで終わらせられる」

「大丈夫か?」


 会長の言葉を聞いた副会長が反対側から画面をのぞき込んできたので、椅子ごと後ろに下がる。

 パソコンの画面を見ながら話しこんでいた二人だが、話し終わって顔を上げるとお互いの顔の近さに驚き顔を赤らめそむけた。

 純情(ピュア)かよ。こういうカップルは応援したくなるなぁ、と思いました、まる。


「僕も確認したけど問題なさそうだ。あとは最後の調整と引き継ぎ準備くらいだから、宮野先生に終わった旨を報告して終わりにしようか。助かったよありがとう」


 あれ? もしかして俺の仕事終わった? 刑期満了? 俺ってば優秀だったのか。


「今日で終わりってことでいいんですよね?」


 一応確認しておく。もし今日はこれで終わりって意味だったら、宮野先生に絞められるか、刑期が伸びるか。あるいはその両方だろうからな。


「ああ、そうだ。4日間お疲れ様」

「生徒会役員になってほしいと思うくらいの手腕だったよ。生徒会長選挙の立候補者も挙手制の他の役職もまだ募集してるからね」


 ハハハ、と会長に乾いた笑いをしてから

 お世話になりました、と頭を下げて会議室を後にする。




「おや? 仕事はどうした? 逃亡か?」


 職員室へと続く廊下をスキップしたい気持ちを抑えて歩いていると、向こうから宮野先生がやってきた。なんで俺に話しかけるときは、いつも指をぽきぽき鳴らしてるんですかね?


「終わったんですよ。もう十分だって。先生風に言うならば刑期満了ですよ」

「そうか。案外早く終わってしまったな。追加で何かやるか?」


 自分でも表情筋がひきつったのが分かる。

 え? なにそのシステムこっわ。というか、他にもこんなヤバ気な案件があるの? この学校マズいでしょ。


「なに、冗談だよ。そんなに嫌そうな顔をするな」

「そうっすか」

「とりあえずはお疲れ様。これに懲りたら遅刻するなよぉ」


 最後にウインクしながらデコピンをされた。

 痛い。バチンって音したけど大丈夫? 頭蓋骨へこんでない? そろそろ手加減ってものを覚えてくれないかしら。

 額をさすっているとピロン、と携帯が鳴った。

 密林さんに何かを頼んだ覚えはないんだけどなぁ。携帯を開いてメールボックスを開く。祐奈からのようだ。


 お兄ちゃんへ、お友達の家でお泊りすることになったから夕飯は一人で食べてね!


 外食はあまりしないし、どこになんの店があるか詳しくないから祐奈に任せていたんだけど、今日は頼れないようだ。まあ、少し早めに終わったし駅前を散策して適当なところに入るのがよさげか。




 昇降口で靴に履き替えて校舎を出る。

 夕日は眩しいくらいに輝いていた。校庭の横を通り正門を目指して歩いていると、校庭では運動部の面々が声を出しながら部活動に励んでいる。

 見慣れた顔がいるかと少し探してみれば、黄色い声援を浴びて走っているのが目に入った。

 部活に戻れているあたり、問題なく再試を突破出来たのだろう。しっかし、やたらモテるなあいつ。そのうちなんかのトラブルに巻き込まれそうだ。その時はぜひ苦しんでもらおう。人一倍モテるんだ、その辺で苦労しないと釣り合いが取れん。

 正門をくぐり、駅前まで続く大通りに出る。歩道と車道の間に自転車用レーンは無く、車道では車が休み無く行き来しているので自転車通学を断念させられた通学路だ。

 童謡をアレンジした5時を告げる町内放送がかかる。

 昔はこの放送がかかったら急いで帰ったっけ、時間の経過を感じるなぁ。小学生の時は友達沢山いた気がするんだけど、どうしてこうなったんだか。などと考えていると目的地の駅前につく。

 夕飯を食べるにはまだ早い。どこかで軽く時間をつぶすか。

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