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美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件  作者: 夜依
美少女ギャルにこの夏休みの間に振り向かせるから覚悟して! と言われた件
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第12話

「ごめん、お待たせ」


 お手洗いを済ませ、ついでに朝着ていたスカートに着替えた芽衣がこちらにやってくる。


「あー、その、なんだ。さっきのもだが、今のも似合ってると思うぞ」


 昨日、一昨日と、母さんと祐奈によるデートのマナー講座が再び開講した訳だが、そういうのを抜きにしても似合っているとは思っていたので、ちょうど良いタイミングだし一応言葉にしておく。


「あ、ありがと」

「おにいちゃん、あかりは?」

「朱莉ちゃんも似合ってるし可愛いよ」


 そういって空いている手で、軽く頭をなでてあげる。すると朱莉ちゃんは満足げに、でしょ! と笑顔で言ってくれる。


「おう。じゃあ行こっか」


 俺の左手をしっかり握っている朱莉ちゃんの速度に合わせて、子供向けの区画へと向かう。


「最初はメリーゴーランドに乗るんだっけ」

「うん!」

「メリーゴーランドとか見るのも懐かしい気がするな」

「それ、ジェットコースターの時も言ってたじゃん」


 朱莉ちゃんの左手をしっかりと握ってる芽衣が、そう言うと、グイっと左腕が引っ張られる。どうやら、おねえちゃんじゃなくて私の相手をしろ、との事らしい。


「朱莉ちゃんはメリーゴーランドでどれに乗りたいの? 馬? それとも馬車? あとはなんだ? 何かあったっけ」

「お馬さん!」

「お馬さんか。じゃあ並ぼっか」


 メリーゴーランドは混んでいなかったので、列に並んでから5分と待たずに乗れることになった。


「お兄ちゃん、こっち。この子」

「えっ、俺が朱莉ちゃんと乗るの? 芽衣じゃないの?」

「朱莉は壮太がいいみたいだし、一緒に乗ってあげて」


 おう、と返事して、朱莉ちゃんを抱き上げて一緒に馬にまたがる。

 それから間もなく、メリーゴーランドは音楽とともに動き出し、ゆっくりと上下しながら回りだす。


「楽しいか?」

「うん!」


 わざわざ振り返って大きく頷いてくれる朱莉ちゃん。横で一人、馬に乗っている芽衣も満足げな、そして優しい表情をしていた。そして、傍から見ている他の子の親御さんたちは、そんな俺らになぜか温かい目を向けてくる。なんでそんな目を向けるんだ? いや、事案じゃないかって言われるよりかはよっぽどいいけど。


「終わっちゃった」

「また後でもう一回やる?」


 コクコク、とうなずく朱莉ちゃんを連れ、一旦メリーゴーランドを後にする。


「次はどこ行きたい?」

「ゴーカート行かない? なんとなく見てたら乗りたくなっちゃった」

「ゴーカートか、いいな。朱莉ちゃんもそれでいい?」

「いいよー」


 芽衣の案内で、ゴーカート乗り場を目指す。子供向けの区画なだけあって、そんなに広くはないのですぐに着いた。


「3名様、3人乗りでよろしいでしょうか?」

「はい、3人乗りで」

「じゃあ、こちらになりますね。運転はお父さんかお母さんのどちらかでお願いしますね」


 なっ、なに言ってんだ、この係員は。俺と芽衣と朱莉ちゃんで家族だと思ってるの? いや、確かに兄妹って感じはしない年の差だけどさ。なに? もしかして、さっきからずっとそんな感じで思われてたの? あの温かい目線も?


「シートに座ったらシートベルトをして、前の信号が青になったら出発してください」


 そう言うと、案内をしてくれた係員はまた入口の方に戻っていった。芽衣は先ほどの係員の言葉に顔を真っ赤にして、口をパクパクとさせている。


「おにいちゃんとおねえちゃんが、パパとママ?」

「あのお姉さんにはそう見えたんだろうね。じゃあ、乗ろっか」

「おにいちゃんも、おねえちゃんも、顔真っ赤」

「暑いからね。こうならないように、ちゃんと飲み物飲むんだよ」

「うん!」


 こうも素直に頷かれると、照れてる、と素直に言わなかったことに、罪悪感すら覚え始めるが、しょうがない。とりあえず、ごまかすようにお茶を飲む。


「芽衣、運転するか?」


 芽衣は呆然としていたが、ようやく正気を取り戻し始めたらしく、首を横に振ってから、運転席を開けて座り、朱莉ちゃんが俺の腕をつかまないように注意している。まあ、俺とは目を合わせようとしてくれないんだけど。


「じゃあ、行くか」

「しゅっぱーつ!」


 操作自体は簡単だし、割と何とかなりそうだが、今回は朱莉ちゃんがいるので安全第一だ。朱莉ちゃんの一言に合わせて、ゆっくりとアクセルを踏み込みゴーカートを走らせる。

 このゴーカート、もともと二人乗りのものを、無理やり改造して3人乗りにしているからか、少しばかり狭い。しかし、それを気にする気も湧かないほどに運転に集中した。その結果、一度もレーンに当たったりすることなく、車間距離まで一定に保っちゃうレベルの超安全運転だったが、本来の楽しみ方は出来ずじまい。

 俺は無駄に肩の力を入れたせいで疲弊し、芽衣は係員の言葉のせいで、それどころじゃなかったみたいだ。それでも、朱莉ちゃんは楽しがっていたし、良しとしておこう。


「つぎはねー、動物さんのとこ行きたい」

「動物ってことはふれあい広場か」


 この遊園地の子供向け区画の一角にあるふれあい広場には、モルモットやウサギ、ヤギの赤ちゃんなどがいるらしく、さらにその動物たちと触れ合えるらしい。なんだか動物園っぽい気もするが、まあそこにツッコむのは野暮だろう。

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