05‐ 友軍
サーチライトの光の外から幾つもの小さなプロペラ音がアイリーの耳に聞こえてくる。何の音か。
アイリーは自分が聞き取った音をリッカに検索させた。
『連邦捜査局でもテロ対策専門チームが所有している迷彩ドローンだよ。耳元で聞こえているのは強襲用で地面にも自律型自走地雷が展開してる』
リッカの説明はアイリーに納得よりも驚きを与えた。
救援が間に合った事は理解した。安堵もした。
だが対テロ強襲チームが何故俺の救出に?
市街地を巡回警備している様なチームではない。
事件が起き、対策本部が設立され、初めて出動命令が出るチームだ。
さらにリッカの説明はドローンの作動音から検索で得た情報とは思えなかった。
まるでチームから直接に解説を受けた様な断定情報ばかりだ。
『まあ、わたしに感謝しても構わないよ?』
アイリーの疑問を読み取ったリッカがアイリーの横顔に頬をすりよせる様に近づけて笑った。
当然、アイリーにとっては笑いごとではない。
アイリーを襲ったエレメンタリストにすれば最悪に近い展開だろう。
アイリーの背中から問い質す声が聞こえてきた。
「スウィートオウスと言ったか。連邦捜査局と可愛く名乗っているがこの装備はテロ強襲チーム・侵蝕部隊のものだ。何故お前の救助に連中が出てくる?」
俺にも心あたりがありません。状況判断できなくて混乱してるのは俺も同じです。
本音を返答しても状況は好転しないだろう。アイリーは一呼吸をおいた後に答えた。
「俺が友軍だからだ」
え?俺ってそうだったの?と自問する。
そう答えろとアイリーに囁いたのはリッカだ。
そしてリッカも到着した連邦捜査局からそう伝えろと指示されたと言っていた。
だがその返答の効果は大きかったらしい。
背後でエイミーが息をのむのをアイリーは感じ取った。続いて聞こえてきたのは含み笑い。
「お前が侵蝕部隊の友軍ならチームに撤退は有り得ない。私達と交戦してでもお前を奪還しようとするだろう。自分の言葉に命を賭けてみるといい」
エイミーが大きな声を張り上げた。
声量が大きくなった分、アイリーの耳元で囁いていた様な作った低い声ではなく地声での発声となる。
聞く者の耳に余韻を残す鈴の音の様な声だった。
「エドワード・スタリオン!今この男から剣を引き抜くぞ。いるのなら治療しろ」
宣言と同時にアイリーから剣を引き抜いた。
体の中、自分でもココという特定が出来ない場所で皮膚を何枚も重ねて一度に引きちぎった様な説明し難い痛みが襲う。




