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エレメント・アクティビティ  作者: 志島井 水馬
第四章 治安介入部
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02‐ カイマナイナからの尋問

 カイマナイナよりも数段、頭のいい人だ。とアイリーは安心する。



 何故、自分の名前を知っているのか。

 どこまで知っているのか。



 アイリーの反応を自分はどう感じたのか。



 そんな話題をすべて後回しにして最優先するべき事柄の順番を間違えない。



 またカイマナイナに対する命令の仕方も的確だった。



 可能ならば彼女と交渉を進めたい。

 そう考えながらも激しさを増してくる体内の痛みにアイリーは思わず吐息の様な低い呻き声を漏らした。


 弱みを見せまいと心掛けていたが堪えきれなかったのだ。



『うわ。うわ。アイリーのナマ喘ぎ、エロいわ』



 リッカが顔を赤らめながら両手で自分の頬を隠した。



 およそ信じられない、自分が撃ったミサイルが方向転換して自分に向かってくるのを見たかの様な驚きをもってアイリーがリッカを見る。



 その視線に気づいたリッカの目が泳いだ。

『いや、ほら。いつも終末期再生の時は犠牲者の声になるじゃん? アイリーが地声で呻くとかって普段ないじゃん? 』



 あってたまるか。

 ここにもバカが。ぶっこ抜きのバカが。しかも一番冷静でなくてはいけない者が。



 微動だにできない状況で眩暈を覚えるというのはこんなにも絶望的な気分になるのかとアイリーは初めて知った。



 頭の中の冷静な部分では気づいている。

 リッカのこの態度は絶体絶命の状況の中アイリーが過度の緊張から思考を空転させてしまわない為のリッカの演出だ。本音の反応とは思いたくなかった。



 カイマナイナからの尋問がアイリーの耳に届いた。



「誰の依頼で私達を監視していた?」



「質問の意味が分かりません。俺は無関係だと何度も伝えたはずです」



 アイリーの返答にカイマナイナは笑った。



 浅く日焼けした肌と厚い唇がとても人懐っこい雰囲気を感じさせる。



 感情を打ち消した瞳に気づかなければ親愛の情すら覚えてしまいそうになる魅力的な笑顔だ。



「貴方は私がチームを組んで行動していると知っていた」



 アイリーに思い当たるフシはない。



 カイマナイナの声は確信で満ちていた。



「初対面でそんなのあり得ないでしょう? 私達が作戦を展開中だと知っていて接触してきた。言い逃れはできないわよ、アイリー・スウィートオウス。一人きりでいた私に貴方はこう言ったわ」




 カイマナイナが勝ち誇りアイリーの口調を真似て先刻アイリーが口にしたセリフを繰り返した。

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