・防具屋
武器屋のオヤジに睨まれながら防具屋に入る。
「いらっしゃいませー」
ズッキュン♡
一目惚れするほど、可愛い笑顔に出会った。
「スマイルください」
「パフパフもあるよ?」
「え」
「え?」
刻が……止まる。
「お風呂にする?♡ご飯にする?♡
それともぉ……♡ ワ・タ・シ?♡」
「すみません。オミセ、間違えました」
「ちょっと待って、ちょっと待ってよ」
扉を閉めようとして服の裾を引っ張られる。
「防具屋って、そっち系の『隠語』かなんかなんですか?」
「なんでそうなるの?
防具屋って『あなた専用♡』って意味だよ?♡」
「すみません。帰ります」
「ちょっと待って、ちょっと待ってよ」
扉を閉めようとして裾を掴まれた。
「ワタシはただの店番。
ここの本当の店主はワタシのお父さんで、いまは工房で注文品を製作中。
だから、この時間は私が『お相手』をします」
「まず服を脱いでください」
「はい。さらに服を着てその服を脱ぎました。
これでいいでしょ?
それとも本当にパフパフするの……?
この村ではパフパフのことを『モフモフ』っていうんだけど……?」
「……今日、家に両親は……」
「いないの……」
いきなり、
小学校を卒業したばかりの子供同士による、大人の雰囲気にも合わないメロドラマが始まった!
(中学校一年生の少年少女同士による、まだ色恋沙汰的にもしっくりこない、
乳歯のスッ歯抜けた児童たちの顔同士が見つめ合っているようなママゴトの様を思い浮かべ下さい……)
……目と瞳が合う。
相手が眼を瞑る……。一歩踏み出す。
唇が近づく……。
そして、
それを放置して、品物を見るッ!
(はい!恋愛ドラマには早いですね☆!)
「ちょっと!ここまでしておいて放置するなんて、
ひどいじゃない」
鎧などの甲冑系の防具が見当たらない。
「女の子よりも防具なの?
それとも店員は『男』の方が良かった?
ひょっとしてあなたってホ…… ホ?┌(┌^o|
「うん。ちょっと黙った方がいいと思います」
「女の子に黙れですって?
自分から男の子に近づいていく女の子って、
男の子だったら、すぐに大感激するものじゃないの?」
「ぼくたち、まだ十三だと思うんですけど?」
「中学生でしょ?へーき、へーき。
ここは男の子が少ないから、みんなで争奪戦」
「争奪戦?それよりもみんなで貴重な男子を分け合いません?」
「分け合う?ハーレムにしたいの?」
コクコク。
「何人?」
「え?」
「何人?」
「何人って……何人いるの?」
「ワタシと妹と知り合いのお姉ちゃんや友達も合わせると……十人ぐらいかな?」
「残念ですがぼくは処女厨です。
それに、すぐにそうやって男に迫ってくる女の子は絶対に経験済みです。
ぼくは絶対にそう偏見しますし、差別します。
そんな人は、ぼくの好みではありません。
そしてこんな事を言うぼくも、絶対に君の好みではありません。
だからその時の、経験した時の男の人と付き合って下さい」
「……じゃあ、経験しよ?」
「え?」
「ワタシ、まだ経験したことないから……経験しよう?」
「……ここのお店には、なんで服ばかりがあって、鎧系の防具がないの?」
「君って、男の子に迫る女の子に何か恨みでもあるの?」
「あります。女の子にはいつまでも強制的に徹底的に潔癖症でいて欲しいんです。
清潔でいて欲しいんです。これは偏見で女子差別ですけどそれでも言います。
おばあちゃんになっても男の影の完全に全く無い清楚で潔癖症でいて欲しいんです!
そして、そんな身勝手なぼくはそれを見て、女の子とは一生無縁の一人でお爺さんになって行きたいんです。そして最後にボクは魔法使いになりますッ!」
「でも女の子とは付き合いたいんでしょ?」
コクコク。
「女の子と想像したいことまでしたいんでしょ?」
コ、コクコク。
「なのに我慢するの?」
「自分は、世界中の、全ての可愛い女の子の『初めて』を奪うことが目的であり!
夢ですから!」
「……君ってバカ……?」
防具屋さんの娘さんに『バカ?』と気持ち悪い目で言われて、
なんでこんなことになったのかも分からないまま、
すごく居づらくなり、
しぶしぶ防具屋を後にした。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
防具の話が何も書けてねぇッッ!!!
それは性の事しか書けなかった作者の叫び。
おっと、運営さまがアップを始めました☆
やめて、ヒドイことしないで……。
それは登場人物のセリフならば、きっと何を書いても許されるだろうと甘く考えていた作者の傲りと誤り。
次回! もうどうにもならない、かんたんファンタジー 第七話。
『下宿屋』
今度こそちゃんとしたファンタジーを書くことが出来るのか?
朝っぱらからヘンな物を読まされて、
もうすでに奇特な読者様たちも離れていっているぞ?
しかし、それでも女の子は登場したッ!
ああ、悲しいかな。自業自得とはいえ……、
次回のサブタイトルでさえ、もう、それ系の『伏字』にしか読めない。
(デン♪デンデデデン♪)
来週もまた読んでねー!!♡