・鑑定
村に戻ると、
聖女を無事、宿屋にいる護衛の聖騎士たちのもとまで送り届けて、
その足のまま、武器屋に立ち寄った。
武器屋に入ると、目指したイカツイ親父の店主がいるカウンターに寄って、
「すみません」と言うのと同時に、ゴトリと「例のモノ」を置く。
「……?
なんでぃ、また、おまえさんかよ?
今度は何を持ってきた?」
ゴツイ太い腕を組んでノシノシ近づいてくる。
「……んー?
こいつぁ……。
これ、ドコで見つけてきた?」
カウンターに置いたモノを掴みあげて見ながら、
武器屋の中年の店主が聞いてきたので、
少年も凍える山の方角を見る。
「山の麓にいたゴブリンです。
そいつが持ってました」
「おい、敬語やめろ、つったろ?
気色わりぃ。
……で、そうか。
コイツをゴブリンがぁなぁ……」
「知ってるんですか?……っあ、
……いえ、
その、……知ってるの?」
少年が恐る恐る言い直して訊くと、
店主も頷く、
店主が興味深そうに持っているのは、
先ほど追い払ったゴブリンが持っていた鉱鉄製の棍棒だった。
「ああ、見りゃわかる。
……こりゃ、ドワーフ製だろう。
機能的だが製錬さがカケラもないのがドワーフ製の最大の特徴だ。
アイツラ……また腕を上げやがったな……っ」
「ドワーフ?」
少年の言葉に、
店主も怪訝な顔をする。
「なんだ?知らねぇのか?
この近くのデッカイ洞窟を棲み処にしているドワーフのヤツラだよ。
黒曜石のような、このギザギザに粗く削ったような鋭利な部分を突出させている棍棒状の武器は、ヤツラの傑作品ってワケだな」
「ドワーフ……」
「気になるなら農園にいる「アイツ」にでも聞いてみたらどうだ?
時々、下の農園にも来ることがあるらしいからよ。ドワーフが」
「ほ、本当ですかっ?」
「おいっ」
「あ……。そ、その。
ほ、本当に……?」
恐る恐る少年が訊くと、店主も頷く。
「ああ。
しかも、ドワーフは商売相手を選ばねぇ。
人間でもゴブリンでも、他のモンスターでも誰彼かまわずに自分たちの作品と交換することがある。
金や物であれば、なんでもいいのさ。
あいつらドワーフにとってはな」
「ゴブリンやオークが装備している鎧かなんかもドワーフが?」
少年の問いに店主は頷く。
「そうだ。
モンスターの装備品は大抵がドワーフ製だな。
ドワーフが作ってモンスターが使う。
見た目は武骨だが性能は折り紙付きだ。
そのドワーフが人間にも同じものを配るからタチが悪いッ。
アイツラも悪気はないんだろうが……、
もう少し商売相手は考えて欲しいモンだ……」
「ドワーフが武器や防具を……」
「別に今に始まったこっちゃねぇよ。
それよりもどうすんだ?
こいつ、売る気があるなら言い値で買うぜ?
にぃちゃん?」
「そんな価値が?」
「おうよ。
アイツラ、目利きだけはいいんだよな?
正直、武器の価値より素材の価値で買ってるヤツラが大半だッ。
しかもドワーフの価値感ときたら「食える」「光る」「壊れない」だけだからなッ?
その感覚だけで、貴重なレア素材で造った武器や防具を、食い物や金で交換してくれる」
「武器が作れるドワーフが人間のお金なんて持って何に使うんだろ?」
「忘れた頃に、食い物や布を買いに来るらしいぞ?あと酒だな?
アイツラ、金を「食い物と交換できる券」か、なんかと勘違いしてやがる。
で、どうする?」
店主がゴツゴツと棍棒でカウンターを小突いて、少年に訊く。
「じゃあ、取りあえずドワーフたちと同じ相場で」
「まいどっ。ったく、お前さんもよくよく欲がねえよなッ?」
呆れて笑って、
武器屋の店主は、少年の小さい背中を勢いよく叩いた。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
たとえ何かが起ころうとも……、いつもと変わらない日常は流れていく。
故郷を離れて辿り着いた村、与えられた役割、それを必要とする人々。
少年の日常も、また始まったばかりなのだ。
剣が交錯し、魔法が飛び交うファンタジー世界。
……ん?魔法?あれ?魔法ってワタシって描写したことあったっけ?
次回! 肝心なものが最後まで抜けていた かんたんファンタジー 最終回!
『冒剣の章 終!』
長い間、今までお読みくださり、誠にありがとうございました。
次回のお話で、
挫刹の活動も一区切りつきますが、きっとまたお会いできることと思いますっ!
(デン♪デンデデデン♪)




