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かんたんファンタジー  作者: 挫刹
†そして顛末へ……
64/66

・本当に書きたかった事


 随分、久しぶりに、

 自分の任されていた領域に足を踏み入れてみた。


 凍える山。

 霊凍峰ヒグナス。

 北山の中腹にある雪解けの村モフリを下にくだって出たところにある、

 霊凍峰ヒグナスを南に望むことのできる盆地の平原に立つ。


 その平原から、久しぶりに自分の受け持っている山を見上げたのだ。


 いつ見ても、鋭い岩で切り立った変わらない独立峰だと思う。

 頂上まで続く登山道は数えきれない程あり、

 実はその殆どが、今もまだよく覚えていなかった。


 少年にとって、

 自分が任された山ヒグナスは、まだまだ未開の地だった。


「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」


 そこへ都合よく、少女の悲鳴が轟いた。

 高い凍山まで届こうかというほどの大きな悲鳴だった。


 少年は、目も口も酸っぱい梅干しにする。


「……………………………はぁ」


 目を梅干しにしたまま、

 仕方なく悲鳴がした方へとスタスタと歩いていった。


「こ、このっ、このぉッ!」


 お淑やかな美少女が一人、

 白い法衣の僧侶の格好をして、手に持ったロッドで一生懸命、

 目の前の敵からの攻撃を弾いている。


「あ、う、やっ、」


 一撃、二撃、三撃と攻撃を凌いで残雪の草原の地面に尻もちをついた。


 か弱い僧侶の少女に攻撃していたのは一体のゴブリン。

 よくあるツルツルの緑色の体をした小柄な子供ほどの大きさのゴブリンだった。


 そのゴブリンが手に持ったゴツゴツの棍棒を振り翳して、

 少女に目掛けて振り下ろそうとしている。


「はい、ちょっと待った」


 瞬間移動する程の速度を誇る抜刀剣の移動歩法術「縮置」を使って、

 少年は、ゴブリンと少女の間に割って入った。


 すると、

 即座に振り下ろされた鉱鉄製の棍棒を鉄の剣の一振りで弾き飛ばすと、

 無防備になったゴブリンを更に剣の柄頭でコツンと柔らかく小突いて、

 五メートルほど先まで突き飛ばしてノックバックさせた。


「ギ、キキーーーーーーーッ!」


 吹き飛ばされたゴブリンは地面に落ちて起き上がると一目散に逃げ出したッ!


 少年は、逃げていく初歩的なモンスターのゴブリンよりも、

 ゴブリンの落していった鉱鉄製の無骨な形の棍棒が気になって、拾い上げた。


「あ、あの、助けて頂いて、ありがとうございました!」


 助けてもらった少女が深々と頭を下げる。


「いや、そんなのいいですよ。セーラさん。

あなたはM11級の力が出せる神族でしょう?」


 言い当てる少年の言葉に、

 今まで出番がなかった為に、

 わざわざ初心者の僧侶姿の格好までして今回、

 登場してきた聖地の聖女セーラ・ヒロイムもチロリと可愛く舌を出す。


「……やっぱりバレましたか?」

「バレバレです」


 少女の声に少年は頷いた。


「だって、わたくし……、

今まで、ずっと出番がなかったのですよ?」


 口惜しさを語る聖少女の声に、少年も返す言葉もなく踵だけ返して先頭を歩いた。


「帰りましょう。送りますから」


 青いマントではなく茶色のマントを翻して、

 青剣聖の少年は、今日の戦利品である気になる鉱鉄の棍棒を手にしながら、

 聖少女をエスコートすると自分の村に戻っていった。




(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)



【次回予告】


 村に帰った少年は、護衛の騎士がいる宿屋まで聖少女を送ると、

 そのまま自分の部屋に帰る前に、ある場所に立ち寄ることにした。


 次回! やっと予告らしい予告になってきた かんたんファンタジー 第64話!


 『鑑定』


 え?もう最後が近いはずなのに予告が短い?

 でも本来書きたかった事ってこれですから……。我慢してくださいッ! 

                       (デン♪デンデデデン♪)


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